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輸血、血液製剤製造などのために、血液を有償で提供すること。今の日本では行なわれていないが、戦後間もない頃には売血が行なわれていた。
当時既に日本赤十字社が存在し、日本赤十字社東京血液銀行業務所として健康な人に献血を呼びかけていた。しかし時を同じくして民間企業の血液銀行ができ、それらは赤十字社とは違い人から血液を買っていた。戦後不況から貧しい人達は民間血液銀行に血液を売る、すなわち売血が日常的に行なわれるようになったのである。
売血は肉体の売買と変わらないという倫理面での批判はあったが、対価を支払うという発想は資本主義的には充分ありうる話である。しかし売血方式には欠陥があって、血液の安全性がどうしても解決できなかったのである。これが当時は重大な問題であった。
売血をするような人は低所得者が多かったため、生活のために赤血球が回復しないうちから月に何度も売血を繰り返した。このため血漿分の多い黄色い血液ばかりとなった。売血者の健康もさることながら、このような低品質の血液では輸血しても効果が少なく、肝炎などをよく招いた。患者やその肉親たちは、輸血せずに死ぬか、輸血して肝炎を患うかという二択を常に迫られていたのである。
こうして売血追放運動が各地で起こり、政府も献血の推進を閣議決定、各地に赤十字血液センターを開設し、献血の受け入れ体制を整えていったのである。これにより献血は増え、逆に民間血液銀行の買血は減り、ついに売血は消滅したのである。
海外では、赤十字社の献血者受付業務は概ね血液銀行と呼ばれている。しかし、日本では歴史的事情からこの言葉に悪い印象があるため、血液センターと呼ばれているのである。
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