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日本で広く見られる落葉高木で、日本の国花の一つでもある。原産地は日本。
古い分類法での階層構造は次の通り。
染井吉野は現在、日本中に植えられている桜の代表種であり、日本の国花の一つでもある。
葉が付く前に花が咲くのは染井吉野に限らないが、その圧倒的かつ弩派手な開花ぶりは他に類が無い。
とにかく派手に咲き、華やかに散ちゆく様は、その生死感を美と感じる日本人に深く愛された。
こうして、日本中に植えられ、今では日本の国花の一つにまでなったわけである。
染井吉野は園芸品種である。この桜は元々は、江戸時代末期の品種改良ブーム中に、江戸の染井村(現在の東京都豊島区巣鴨付近)の植木屋が作り、品種名「吉野桜」として売り出したのが初とされる。このため現在では東京都の県花でもある。
これまでの通説では、日本在来の野生種である「江戸彼岸」と「大島桜」の自然雑種であるとされていた。
そして千葉大や静岡大などの研究チームの遺伝子解析結果によると、伊豆地方に固有の野生種「大島桜」と、東京・上野公園などにある「小松乙女」の交配で産み出された可能性が高い、と判断された。「小松乙女」は「江戸彼岸」の栽培品種であり、旧来の通説ともほぼ一致する。つまりこの遺伝子解析結果は染井村説を強く裏付けている。
さらに2014(平成26)年には森林総合研究所の研究グループにより更に詳細な報告がなされ、葉緑体DNAは「江戸彼岸」と一致することから、母親が「江戸彼岸」由来であることは確実となった。ソメイヨシノの遺伝子の由来は、「江戸彼岸」由来が最も高く、次に「大島桜」由来であり、三番目には「山桜」由来も見いだされた。このことから、父親については、大島桜に山桜が少し混ざったものであることが、DNAの特徴から推定された。
また同研究グループは、王桜(和名エイシュウザクラ)は「江戸彼岸」と「大山桜」の種間雑種と位置づけ、染井吉野(「江戸彼岸」と「大島桜」の種間雑種)とは別種であることを示した。
以上により、染井吉野は純日本産の桜であり、日本の桜そのものであることを明確にした。
染井吉野の名は、1900(明治33)年に藤野寄命という植物学者が命名したものである。
そもそも、植木屋が付けた「吉野桜」という種名は、桜の名所である奈良の吉野山にちなんだ命名と考えられているが、実は既に吉野山の桜として存在しており、しかも別種であった。
そこで、染井村で産まれた吉野桜ということで染井吉野の名が与えられたのである。
染井吉野は雑種である。一般に雑種は不稔であり、繁殖能力がなく子孫を残すことができない。異種間では減数分裂で染色体が正常に分配されないため、胚発生が起こらないからである。このため、通常は実を付けることはない。
更に、桜は自家受粉しにくい。つまり、同じ樹に咲いた花の雄蕊の花粉を雌蕊に付けても、実を結ばないという性質を持っている。
これら性質から、染井吉野は原則として実(サクランボ)を付けることはなく、自力で子孫を残すことはできない。しかし、染井吉野が他の桜(大島桜や山桜)と交雑したとき、染井吉野は実を付けることがあり、この実の種は繁殖能力がある。但し、これは染井吉野と他の桜の雑種であり、染井吉野ではない。
染井吉野は寿命が短く、長くても100年が限度とされる。しかし上述のように、種子では純粋な染井吉野は繁殖できない。
そこで、人の手により接ぎ木によって数を増やす。これは言いかえればクローンであり、人間の手なくして染井吉野は生きていけない。
江戸時代に作られた一本の木から挿し木や接ぎ木で数が増やされ今の数になったことから、全国の染井吉野のDNAはほぼ同じである。
日本は昔から接ぎ木などで高度な技術を持っており、これが現在にも受け継がれているのである。
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