呼吸不全

読み:こきゅうふぜん
品詞:名詞

原因となる幾つかの疾患のため呼吸器機能が低下し、もって血液中の酸素濃度が危険水準に低下したり、二酸化炭素濃度が危険水準に上昇し、充分な酸素臓器に送ることができなくなった状態。

目次

呼吸不全とは一つの疾患の名ではなく病態であり、原因となった病名とともに使われる。

これは慢性肺疾患の末期に起こることが多く緊急の治療が必要となるが、急性呼吸促迫症候群(ARDS)などの重度の急性肺疾患によっても起こりうる。

呼吸不全は経過により慢性と急性に分けられる。

呼吸困難と呼吸不全は同義ではない

「呼吸困難(息が苦しい)」と「呼吸不全」は同義ではない。

  • 呼吸困難: 「息が苦しい」という主観的な感覚、「呼吸の不快な感覚」という自覚症状
  • 呼吸不全: PaO2 ≦ 60 Torr (SaO2 = SpO2 ≦ 90%) という客観的病態

慢性呼吸不全や先天性心疾患の患者の場合、SpO2 80%でも息苦しさを自覚しないことがある。

各値は次の通り。

原因

主として病気(肺結核COPD間質性肺炎・気管支喘息など)に伴う症状が原因となる。

他にも、気道の閉塞、肺組織の損傷、肺の形状を保つ筋力の低下など、呼吸機能や肺に影響を及ぼす殆どの病気は呼吸不全を起こす原因となり得る。

このほか、心不全など循環器疾患、貧血など血液疾患、ふぐ中毒を含む神経筋疾患、腎疾患やそれに伴う肺水腫、精神神経系疾患や中枢神経系疾患などでも起こりうる。

なお、急性呼吸不全の場合、高山病や航空病、あるいは換気不良の室内などで発症することがある。

症状

息切れや息苦しさなど。肺の病状により、咳、痰、喀血などを生じることもある。

病状によっては胸部の圧迫感、SpO2が低い場合は疲労感、眠気や意識障害などを生じる。

診断

上述の通り、呼吸不全は病態であるので、原因となる病気を確認することになる。

  • 採血
  • X線検査(胸部/腹部)
  • 心電図検査
  • 超音波検査(エコー検査)
  • CT検査

呼吸不全は肺の病気でなくても起こりうるため、検査結果や所見、症状などから、総合的に判断される。

治療方法

原因となる疾患ごとに変化する。

主に薬物療法(吸入薬・内服薬)や酸素療法が行なわれるが、重症である場合は人工呼吸器が使用されることもある。

関連する用語
呼吸器

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