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原子核二つが、不対電子をクーロン力で奪い合う関係のこと。名前とは裏腹に、実は "共有" はしていない。非金属原子同士の結合は共有結合となることが多い(N(CH3)4Clなどは例外)。
一番単純なのは水素原子2個が共有結合して出来る水素分子である。水素分子は水素原子2個が一組となった分子である。水素原子は最外殻(K殻)に電子が二つあれば安定化することができるので、二つの水素原子がお互いの最外殻の1s軌道を重ね合わせ、自分の最外殻電子だけでなく、相手の最外殻電子も自分の最外殻に置く。こうしてより大きな電子雲ができ、この中を2個の電子が漂うことになる。
こうすることで、お互いの水素原子は自分の最外殻に電子が2個あるのと同じ状態になり安定化する。この時、2個の電子は二つの水素原子に共有されていることになる(これを共有電子対という)。そして、両方の原子核からのクーロン力を受ける事になり、原子核(+)‐電子(−)‐原子核(+)という電気的な結合が生じることになるので、都合、二つの水素原子は結合する。
より複雑な例として、水(H2O)を考える。これは酸素原子に2個の水素原子が結合したものである。まず結合を考える前に、酸素原子の電子配置を考える。酸素はK殻に2個L殻に6個の電子が入っている。L殻は2sと3個の2pから出来ているが、軌道に電子が入る場合、より低いエネルギーの場所に入ろうとする。エネルギーはs軌道<p軌道<d軌道なので、2s軌道に優先的に入る。また電子は散らばる性質があるので、都合、6個の電子は2sに2個、3個の2pに2個、1個、1個と入っている。
さて、2sは既に埋まっており、また2pの1個も既に埋まっていてこれ以上電子は入れない。これを "非共有電子対" という。残る2個のp軌道は、双方とも1個ずつ電子が入った状態になっている。これを "不対電子" といい、ここに水素の1s軌道が混じりあうようにして結合してくる。不対電子は2個あるわけだから、一つの酸素原子に2個の水素原子が結合する、すなわちH2O(水)になるわけである。
しかし、これでも全ての化学結合が説明できるわけではない。例えば炭素がある。メタン(CH4)で考えるとすると、炭素はL殻に4個の電子が入っているので、素直に考えれば2sに2個、3個の2pには1個、1個、0個の電子が入っていると考えられる。しかしこれでは水素4個が結合する理由が説明出来ない。実は、この時の炭素のL殻では2s軌道と3個の2p軌道が合体し、"sp3混成軌道" という軌道を作っているのである(sp3はs軌道+p軌道×3から命名されている)。そして電子はこのsp3軌道(4個ある)に1個ずつ入っており、水素はここに結合することになる。つまり、炭素のsp3軌道と水素の1s軌道が混ざり合っているわけである。なお二重結合、三重結合が入り込んでくると、混成軌道と混成でない軌道が混在するようになる。
このようにして、共有電子対を仲介として二つの原子核がクーロン力で結びつく結合を共有結合という。
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