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コンクリートやモルタルの素材として使われている、最も代表的なセメント。
ポルトランドセメントの材料である、石灰岩(石灰石)、珪砂(珪石)、粘土、鉄を混合し、乾燥させた後に焼成すると、化学反応により水硬性を有する鉱物へと変化する。この、セメント作りに使われる中間物質とも言える鉱物は「クリンカー」と呼ばれている。
この作られたクリンカーに石膏を混ぜつつ粉砕して、粉末状のセメントが製造される。
最近では、石炭火力発電所より出される廃棄物である石炭灰(フライアッシュ)を混合したセメントも広く使われている。
再生素材の利用によって、産業廃棄物の削減、採石量の削減などの自然環境問題に対応することが目的となっているほか、フライアッシュ混合のコンクリートは通常より高性能になるとされている。
ポルトランドセメントは、水と接すると水酸化カルシウムを生じるため、アルカリ性を示す。
野ざらしの鉄筋が錆びるのに対して鉄筋コンクリートが錆びないのは、この水酸化カルシウムによって鉄筋をpH12以上の強アルカリ性に保ち、鉄筋表面に耐食性を持つ酸化物の薄い膜(不動態皮膜)を作るためである。
強アルカリ性に保たれているうちは鉄筋コンクリートは安全であるが、経年劣化が存在する。この水酸化カルシウムが空気に触れ、空気中の二酸化炭素と共に炭酸カルシウムを生成してその量を減らしていくと、徐々にpHも下がり、コンクリートは中性化してゆく。こうなると不導体被膜は破壊され、鉄筋が錆び、錆びた鉄筋は膨張し、コンクリートのひび割れを発生させる。ひび割れから雨などの水分が流入すると更に錆びは進行し、やがてコンクリートは崩落することになる。
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