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かつてアメリカで起きたと言われているゲーム市場崩壊事件のこと。
当時ATARI社が発売していたVCS(Video Computer System)というゲーム機が市場の主導権を握っていたが、1982(昭和57)年末のクリスマス商戦で予想していた程派手に売れなかったため、親会社のワーナーが営業利益を下方修正した。この影響でワーナーの株価は大暴落し、後にここから始まる一連のゲーム市場不況を「アタリショック」と呼ぶようになった。
一般的には、粗悪なゲームソフトが市場にあふれたために消費者がゲームに愛想をつかし、1982(昭和57)年のクリスマス商戦を皮切りにテレビゲームが全く売れなくなった」とされることが多いが、これは完全な誤りである。1983(昭和58)年は前年度よりもソフトの売り上げは上昇しており、VCS用のゲームも多数新作が発売されている。1983(昭和58)年から1984(昭和59)年にかけて徐々に市場が衰退して行ったというのが事実である。
1983(昭和58)年から1984(昭和59)年にかけては、VCSの衰退と反比例するようにCommodore64が流行りだし、それに追随するようにATARI等のゲーム機メーカーもホームコンピューターとゲーム機の中間的マシンを発売していた。
さらに1982(昭和57)年にはColeco社のColecoVisionというゲーム機が新たに発売された。当時、次世代機と呼べるような物は他に存在せず、VCSの市場にかなり食い込んで売れていた。
しかしながらATARI社は1983(昭和58)年も楽観的な見通しでソフトとハードの生産を続けたために更に大量の在庫を抱え、売り上げは上がっても利益が全く出ない状態に陥っていた。次世代機を発売したくても出来なかったのである。
そんな中で、ウィザードリィ等パソコン用ゲームの名作も次々と生まれて行ったため、ゲーム市場全体がホームコンピューター市場へと移行していくが、ATARIが出していたようなゲーム機の皮をかぶったようなホームコンピューターはことごとく失敗に終わっていた。Coleco社も例外でなく1984(昭和59)年にホームコンピューター事業に失敗し、エレクトロニクス事業自体への興味を失いColecoVisionまでも放棄して撤退してしまう。こうしてゲーム業界は唯一の次世代機を失い完全に空洞化してしまったと思われる。
その状況下で1985(昭和60)年10月に任天堂からNESが発売され、その圧倒的なコストパフォーマンスや同梱されていたスーパーマリオブラザーズの人気などで爆発的な売り上げを達成する。
この顛末が日本でアタリショックなどと呼ばれ、伝説のようにATARI社の株価暴落と市場衰退だけが語り継がれることになった。
元々アメリカには「アタリショック」などという言葉は存在せず、"Video game crash of 1983" と呼ばれていた。このことからも、ATARI社単独の失敗で業界が衰退したわけではないことが伺える。
また1996(平成8)年頃から "crash" などという状況は存在しなかったという議論が起こり、近年では上記したようなホームコンピューター市場への移行説が支持を得始めている。
この時代のATARI社の失敗が白日の下にさらされたのは、1989(平成元)年にATARI社が任天堂に対して起こしたロックアウトチップ裁判である。
ATARI社のゲーム機が売れないのはNESのソフトがATARI社側に配給されないからだとする主張に対し、任天堂がNES発売以前のゲーム市場の状況を初めて克明に数値化し、ATARI社の業績が下がると同時にゲーム業界が消滅していく(実際はホームコンピューター市場に移行していく)のが浮き彫りにされた。
この資料を見た、当時の状況を体験していない日本人が勝手に「アタリショック」と名前を付けて断片的な情報から様々な憶測をしてそれが噂になり、現在の不正確なアタリショック観に達しているものと考えられる。
その決定打はNHKが1997(平成9)年に出版した『新・電子立国』であり、この本が日本のアタリショック観を混乱に陥れたと考えられている。
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