日本国憲法第93条

読み:にほんこくけんぽう・だいきゅうじゅうさんじょう
読み:にっぽんこくけんぽう・だいきゅうじゅうさんじょう
外語:Article 93 of the Constitution of Japan 英語
品詞:固有名詞

日本国憲法第8章にある日本国憲法の条文の一つで、地方議会の設置と議員の選任、および長の直接選挙を規定する。

目次

日本語

条文は次の通り。

第八章 地方自治

第九十三条 地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。

② 地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。

英語

日本国首相官邸公式サイト掲載の英文(正文ではない翻訳)では、次のようになっている。

CHAPTER Ⅷ. LOCAL SELF-GOVERNMENT

Article 93.

1. The local public entities shall establish assemblies as their deliberative organs, in accordance with law.

2. The chief executive officers of all local public entities, the members of their assemblies, and such other local officials as may be determined by law shall be elected by direct popular vote within their several communities.

この条文の、GHQ草案は次のとおり。

英語

CHAPTER Ⅷ.

Local Government

Article ⅬⅩⅩⅩⅥ.

The governors of prefectures, the mayors of cities and towns and the chief executive officers of all other subordinate bodies politic and corporate having taxing power, the members of prefectural and local legislative assemblies, and such other prefectural and local officials as the Diet may determine, shall be elected by direct popular vote within their several communities.

日本語訳

第八章 地方政治

第八十六条 府県知事、市長、町長、徴税権ヲ有スル其ノ他ノ一切ノ下級自治体及法人、府県及地方議会並ニ国会ノ定ムル其ノ他ノ府県及地方役員ハ夫レ夫レ其ノ社会内ニ於テ直接普遍選挙ニ依リ選挙セラルヘシ

憲法解釈

法律の定めるところ
該当の法律は、地方自治法
地方公共団体の長
市町村長
その議会の議員
地方議会議員
法律の定めるその他の吏員
現在、該当の職は存在しない
地方公共団体の住民
その地方公共団体に住む日本国民

判例

選挙人名簿不登録処分に対する異議の申出却下決定取消

  • 判決: 棄却 (1995(平成7)年2月28日 最高裁第三小法廷)
  • 争点: 地方公共団体の「住民」に、日本国籍を持たない永住外国人が含まれるか
  • 判決理由: 「住民」とは、地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を意味するものと解するのが相当
  • 判決文

憲法では「国民」と「住民」という言葉の使い分けがあるが、最高裁判決では、国民とは別の住民という概念を否定した。つまり、憲法上明記されていなくても、国政だけではなく、地方でもその選挙権は日本国民に限られることが示された。

但し、判決理由には次のような文言が含まれている。

我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではないと解するのが相当である。しかしながら、右のような措置を講ずるか否かは、専ら国の立法政策にかかわる事柄であって、このような措置を講じないからといって違憲の問題を生ずるものではない。

これをそのまま受け入れるなら、「永住外国人に地方参政権を与える法律を作ることは憲法上禁止されていない」と解釈でき、永住外国人参政権は合憲であることを示した判例とされる。

但しこれは、本論とは別の付帯的意見である。判決自体は、外国人に地方参政権を与えなくても違憲ではないとしている。

つまり、現在の最高裁判例および憲法解釈上は、外人への参政権付与は憲法違反である。どうしても付与する必要があるなら、憲法のこの条文の改正が必要とされている。

住民投票権

住民投票権は、憲法第93条とは無関係で、さらに、日本国民に限るとするような憲法条文は存在しない。

このため、市町村合併などに関する「住民投票権」について永住外国人に住民投票権を認める自治体が増えており、滋賀県坂田郡米原町(現・米原市)が全国で初めて永住外国人に住民投票権を認める条例を2002(平成14)年1月18日に制定して2002(平成14)年3月31日に住民投票を実施した。

関連法

  • 地方自治法
  • 公職選挙法
  • 日本国憲法第15条 (公務員の選出・罷免、公務員の性質、選挙権、投票の秘密)

前後の条文

日本国憲法第92条 ‐ 日本国憲法第93条日本国憲法第94条

この条文の、GHQ草案は次のとおり。

英語

CHAPTER Ⅷ. Local Government

Article ⅬⅩⅩⅩⅥ.

The governors of prefectures, the mayors of cities and towns and the chief executive officers of all other subordinate bodies politic and corporate having taxing power, the members of prefectural and local legislative assemblies, and such other prefectural and local officials as the Diet may determine, shall be elected by direct popular vote within their several communities.

日本語

第八章 地方政治

第八十六条 府県知事、市長、町長、徴税権ヲ有スル其ノ他ノ一切ノ下級自治体及法人、府県及地方議会並ニ国会ノ定ムル其ノ他ノ府県及地方役員ハ夫レ夫レ其ノ社会内ニ於テ直接普遍選挙ニ依リ選挙セラルヘシ

関連するリンク
法令データ提供システム
用語の所属
日本国憲法
日本国憲法第8章

コメントなどを投稿するフォームは、日本語対応時のみ表示されます


KisoDic通信用語の基礎知識検索システム WDIC Explorer Version 7.04a (27-May-2022)
Search System : Copyright © Mirai corporation
Dictionary : Copyright © WDIC Creators club