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日本における文学としての意識を持った初めての記載文学。書名は、多くの歌の集まりを表わすが、"葉" には "世" や "代" といった意味もあり、長きにわたって語り続けようという祝福の気持ちが込められている。
4500余首、二十巻から成る。
成立年代、撰者はさだかではないが、最終的な編纂者としては大伴家持という説が一般的である。実質上の編集長ではなかったかもしれないが、編纂にかかわっていたという事実は動かしがたい。
作者は庶民から天皇までと幅広い。時代も、真偽は定かではないが第十六代仁徳天皇から第四十七代淳仁天皇の代までの数百年間に及び、歌われている地域も陸奥から筑紫まで及ぶ。
分類は "相聞"、"挽歌"、"雑歌" の三つを基本とする。"相聞" は恋歌である。"挽歌" は本来は死者の棺をひくときに歌ったものであるが、意味を転じて、死者を悼む歌となった。そして "雑歌" は先の二つに属さない行幸や宴会などの歌になる。またこのほか、表現態度や内容、歌体によって分類された巻もある。
歌の分類(歌体)は短歌が全体の九割以上の4207首を占める。次に多いのが長歌で265首。他に旋頭歌が62首、仏足石歌が1首、連歌が1首ある。
万葉集は上代の先行歌集を参考にして成立した古代の歌の集大成である。感情を歌ったものが多く、生活に密着した歌が多い。そのため、感情を率直に歌いあげる「ますらをぶり」が万葉集の根底にある。
表記は万葉仮名で表記されている。
万葉集中には特徴的な歌があり、それらをまとめて "東歌" や "防人歌"という。"東歌" は巻十四に収められている230余の短歌の総称で、すべて作者名を欠くという読み人知らずの歌である。これは遠江(とおとうみ)・駿河から陸奥に及ぶ古代東国諸国の民謡であり、生活に密着した庶民の素朴な情感を東国の方言を交えて歌われている。
"東歌" の中の国名不明の歌の中に5首、巻二十に92首収められているのが"防人歌" である。巻二十の大部分は763(天平宝字7)年二月の「相替わりて筑紫に遣はさるる諸国の防人等の歌」84首である。三年交代であった防人は、辺境警備に赴いたまま帰らぬ人となることも多かった。そうした防人の離別の情や肉親を思う情などが詠まれている。
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