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CMOSを利用した撮像素子のこと。カメラの話で単にCMOSと言った場合は、このCMOS撮像素子を表わす。「CMOSイメージセンサ」とも呼ばれる。以下単にCMOSとも記す。
かつて、CMOS撮像素子は画質が悪く、評判も悪かった。
携帯電話のカメラやトイカメラで良く使われたが、速く動くものが撮れない、ノイズが多い、といった問題を抱えていた。
しかし技術革新の末これらの問題も改善され、現在ではハイエンドのデジタル一眼レフカメラでも採用されるに至っている。
CMOSは半導体なので、様々な電子回路を組むことができる。これがCCDとの最大の違いであり、そしてCMOS撮像素子の改良、研究が進められた最大の理由である。
将来的には、撮像だけではなく、様々な機能を持った素子が作られると期待されている。
かつて、CMOSは動く被写体を苦手とした。
CMOSは各画素ごとにその場で読み出せるが、物理的な都合もあり、データラインはある程度共用せねばならない。概ね縦の列で共用することになる。
この場合、全画素を同時に読み取ることはできず、下から上などの順序で順番に読み取る必要がある。
更に問題は、CMOSは光の照射を受けるのは転送開始からではなく、受光を開始してからである。このため全体としてみると、読み取られたデータは光を受け始めたタイミングも、受け終わったタイミングも、異なるということになる。
かくして、このようにして動く被写体を撮影すると、歪んだ画像となってしまうのである。
CMOSは半導体である。半導体はその製造技術の限界から、ばらつきを抑えることができない。
何百万個という画素を並べ、それぞれに増幅器を付けた時、それぞれの増幅器ごとに特性にばらつきが発生し、ノイズとなって画質に現われる。これを固定パターンノイズという。
具体的には、特定の画素部分に常に一定の明るさの点として写り込むことになる。
動く被写体を、歪ませずに撮影するための最良の方法は、全画素で一定に光の照射を開始し、光の照射を終わらせることである。
このためには光を遮る機構が必要で、つまりメカニカルシャッターが必要となる。
具体的には、銀塩カメラの場合はレンズとフィルムの間にシャッター(板)が置かれており、その開閉で露光をする。これがメカニカルシャッターである。一方、CMOSの場合はフィルムと違って撮影時以外に露光していても何の問題もないことから、シャッターは不要と考えられた。CMOSの使い方そのものがシャッター的機能を持つということで、電子シャッターとも呼ばれる。
だが、この問題の改善のために、メカニカルシャッターを採用することになった。現在ではCMOS撮像素子とメカニカルシャッターを一体化した小型のモジュールも開発され、携帯電話のカメラなどにも使われている。
かくして、動く被写体に弱いという弱点は、周辺ハードウェアの改善で克服されたのである。
CMOSがCCDに優るのは、この読み出しの高速性である。CMOSはバケツリレーをする必要が無い上、全体を幾つかの部分(ブロック)に分け、それぞれで並行して読み取ることも可能である。
読み取りを高速にできると言うことは、次の撮影までに要する時間を短くできるということであり、連写を実現しやすい。
CMOSはCCDと比較し、ノイズで不利である。
いずれも、光を完全に遮断しても発生する暗電流ノイズというノイズがあり、内部で発生する熱などにより電荷が蓄積してしまう。
CCDは読み取るたびに蓄積電荷をゼロにできるため、一旦読み取り、撮影して読み取り、その差を実際の情報とすることで、暗電流ノイズを打ち消すことが可能である。これを相関二重サンプリング(CDS)と言い、このためCCDはノイズに強い。
一方、CMOSの場合は電荷を完全に空には出来ないため、CCDと同し手法ではCMOSのノイズを除去することは出来ないのである。
そこで各メーカーは、様々なノイズの除去の方法を模索した。
その一つとして、電荷を溜める部分と、読み取る部分を分離し、間に敷居を設ける方法が発案された。
かくして、CMOSでもノイズを限りなく減らした撮影が可能となったのである。
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