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支那の書。儒教の経典の一つ。上下二十篇からなる孔子(本名:孔丘-コウキュウ) や、その弟子達の言行録。ただし、孔子や弟子の言葉を記録した部分が多く、行動を記録した部分は少ない。その文章は非常に簡潔だが、飾らない美しさをもち、おおらかな詩情に富み、支那の古典的文学の祖先とされる。その故か、支那古典小説『孔子演義』、中島敦『弟子』、井上靖『孔子』、酒見賢一『陋巷に在り』など多く小説化されている。
孔子の弟子たちが残した口頭伝承を元に、孔子没後100年くらいに原型が出来上がった。その後、魏の何晏(かあん)とその部下達が当時有ったさまざまな論語本文を校訂して出来上がったのが現行の本である。
論語ができた当時は儒教でも余り重要視されなかったが、宋の時代に儒教の革新運動が起って、儒教の原点である孔子の教えを記したこの書物は一躍脚光を浴び、「どこへいっても通用する規範である」(伊藤仁斎『童子問』) とされるに至った。
中心テーマは「仁」である。「仁」は、論理の基礎となる心理状態を言う言葉であり、「自分のわがままをおさえる」という意味もある。すなわち、他人に対する思いやりの発生する源である。
論語は庶民でも最低限の教養として教えられていた。日本でも寺子屋などで多く教えられていたらしく、武士の家訓にも色々な影響が見られる。
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