ウラン
読み:ウラン
外語:U: Uranium

 銀白色の金属元素の一つ。核燃料などに利用されている。ウラニウム。
目次

情報

基本情報

一般情報

原子情報

物理特性

同位体
 質量数は、217から242までが確認されており、その中に核異性体も存在する。
 安定同位体は存在しない。全ての同位体が放射性同位体である。
 崩壊の種類については一例。これとは異なる崩壊をすることもある。
同位体核種天然存在比半減期崩壊崩壊後生成物
217U   
218U α崩壊214Th
219U α崩壊215Th
220U α崩壊216Th
221U α崩壊217Th
222U α崩壊218Th
223U α崩壊219Th
224U α崩壊220Th
225U α崩壊221Th
226U α崩壊222Th
227U α崩壊223Th
228U α崩壊224Th
229U β+崩壊229Pa
α崩壊225Th
230U20.8日α崩壊226Th
自発核分裂(SF) 
231U4.2日EC崩壊231Pa
α崩壊227Th
232U68.9年α崩壊228Th
24Ne核放射208Pb
233U15.92万年α崩壊229Th
自発核分裂(SF) 
24Ne核放射209Pb
234U0.0054%24.55万年α崩壊230Th
自発核分裂(SF) 
Mg核放射 
Ne核放射 
235U0.7204%7億年α崩壊231Th
自発核分裂(SF) 
24Ne+25Ne核放射 
236U2340万年α崩壊232Th
自発核分裂(SF) 
237U6.75分β崩壊237Np
238U99.2742%44億6800万年α崩壊234Th
自発核分裂(SF) 
崩壊238Pu
239U23.45分β崩壊239Np
240U14.1時β崩壊240Np
241U β崩壊241Np
242U β崩壊242Np

性質

崩壊
 234Uはウラン・ラジウム系列233Uはネプツニウム系列の崩壊生成核種であり、また238Uはウラン・ラジウム系列、235Uはアクチニウム系列の最初の核種である。

産出
 天然に存在する元素の中で、最も原子番号が大きい(つまり質量が大きい)元素とされている。また、初めて発見された放射性元素でもある。
 実際にはこれより原子番号の大きい元素もごく微量存在するが無視できる量であり、実質的に人為的に作られたものである。そこで原子番号がウランより上の元素を超ウラン元素という。
 地殻中に4ppm程度存在し、全元素中53番目の存在量である。この量はプラチナの1000倍程度とみられる量である。
 ウランは主にピッチブレンド(瀝青ウラン鉱)という鉱物として産出する。この鉱物の主成分は二酸化ウラン(UO2)や三酸化ウラン(UO3)である。

用途
 天然に存在する同位体は234U(0.0054%)、235U(0.7204%)、238U(99.2742%)の3種類で、全て放射性がありα崩壊する。
 天然に最も多くあるのは質量数238のウラン238だが、ウラン238は臨界に達することがなく核分裂連鎖反応を起こさない。原子炉核燃料核爆弾に使われる、核分裂するウランは質量数235のウラン235である。このため、精製加工でウラン235を集めた後の残滓ウラン238は、劣化ウランと呼ばれている。
 ウラン化合物は紫外線を当てると蛍光を発するため、ガラスや磁器の釉(うわぐすり)としても使われ、ファンも多く持つ。ちなみにウランの量は少量なので、飲み込みでもしない限りは人体への影響はない。しかしウランそのものが規制されていることもあり、近年はあまり作られていない。

酸化状態
 ウランのようにf軌道に電子を持つ原子は、酸化状態が多数ある。
 最も安定な酸化数は6価で、他に3価/4価/5価が存在し、状態に応じて色が変化する。
 3価の溶液、4価の溶液はを呈する。6価は一般に黄色で、このためイエローケーキと呼ばれている。
 ウランの単体は銀白色だが、空気中でも速やかに酸化される。他の金属と違い酸化被膜による保護というものはなく、酸化は内部まで進行するのが特徴である。

バケツ
 日本では、ウランを臨界にするためにバケツが使用されることがある。特にステンレス製がよいとされる。
 JCOでは大事故となった。もし大学で同じことをしたら、校庭10周は確実だろう。

特徴

安全性

適用法令

危険性

有害性

環境影響

発見
 1789(寛政元)年にドイツの科学者マルティン・ハインリッヒ・クラップロート(Martin Heinrich Klaproth)が鉱石ピッチブレンド中から見いだした。
 化学名Uraniumは、1781(天明元)年に発見された惑星である天王星Uranusから名前を取り、名付けられた。この天王星の名は、ギリシャ神話の天の神ウラノスに由来する。
 また1896(明治29)年にはフランスの科学者アントワーヌ・アンリ・ベクレル(Antoine Henri Becquerel)が放射能を発見、後の科学史にその名を残すことになる。

主な化合物

前後の元素
 
 91 プロトアクチニウム ‐ 92 ウラン ‐ 93 ネプツニウム

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