原子炉
読み:げんしろ
外語:nuclear reactor
核分裂
や
核融合
などの核反応を持続的に行なう装置。多くの場合は核分裂を扱う。
目次
概要
構造
部品類
五重の障壁
技術
機構
核分裂
減速材
燃料
分類
減速材での分類
運用目的での分類
概要
日本でも
原子力発電
用途で国内に多数設置されているほか、実験用の原子炉が大学などにいくつかある。
また軍事でも、原子力空母や原子力潜水艦などは、原子炉によって得た
エネルギー
で稼働する。
構造
部品類
原子炉を構成する部品類に、次のようなものがある。
炉心
核燃料
(
燃料棒
)
制御棒
減速材
冷却材
反射体
容器
原子炉圧力容器
原子炉格納容器
五重の障壁
原子炉には、環境への
放射性物質
放出を抑制するための「五重の障壁」があるとされている。
第1の壁「
ペレット
」
第2の壁「被覆管」
第3の壁「
原子炉圧力容器
」
第4の壁「
原子炉格納容器
」
第5の壁「
原子炉建屋
」
技術
機構
原子炉内では
ウラン235
や
ウラン233
、
プルトニウム239
などに
熱中性子
(低エネルギー中性子)を吸収させて
核分裂
を起こさせる。
そして、その時に発生する
熱エネルギー
で
水
を沸かし、その
水蒸気
でタービンを回して
発電
する、というのが一般的である。
核分裂
核分裂では、熱エネルギーの他に数個の
高速中性子
と
γ線
が発生する。
この時発生する
中性子
を他のウラン235などに吸収させると、その核でも同様に核分裂が起こる。
これが継続的に起こる状況を
臨界
といい、この反応により発生する熱エネルギーを利用するのが現在の原子力発電である。
減速材
核分裂によって高速中性子(高エネルギー中性子)が生じるが、高速中性子はウランの核分裂を起こしにくい。
安定してウランの核分裂を継続させるためには、生じた高速中性子を減速させ、熱中性子とすることが必要となる。そのために減速材と呼ばれるものを原子炉では用いている。
ちなみにプルトニウムでは逆に高速中性子の方が核分裂に有利だとされる。
燃料
ウランには幾つかの
同位体
があるが、
天然
に多く存在する
ウラン238
などは、中性子を吸収しても核分裂を起こさない。より効率的に核分裂をおこさせるためには、燃料のウラン中のウラン235の濃度が高いほうが好ましい。
そこで、天然に産出するウランを加工し、ウラン235を2〜4%に濃縮したものを原子炉では使用している。なお
核兵器
に使うウラン235の濃縮度はほぼ100%となっていて、原子炉で使うものとは殆ど別物である。
ちなみに、精製後、余ったウラン238等は
劣化ウラン
と呼ばれる。
分類
原子炉は、
減速材
や
冷却材
に使うものと、制御方式や特殊な運用目的によって分類される(それぞれ順不同)。
呼称には表記揺れがあるが、ここでは、
一般財団法人高度情報科学技術研究機構の原子力百科事典 ATOMICA
での表記を優先して採用している。
減速材での分類
核分裂炉
熱中性子炉
軽水炉
加圧水型原子炉
(PWR)
沸騰水型原子炉
(BWR)
改良型加圧水型原子炉(APWR)
改良型沸騰水型原子炉(ABWR)
超臨界圧軽水冷却炉(SCWR)
重水炉
CANDU炉
新型転換炉(ATR)
ガス冷却重水炉(HWGCR)
黒鉛炉
ガス冷却炉
(黒鉛減速炭酸ガス冷却型原子炉)(GCR)
マグノックス炉
改良型ガス冷却炉(AGR)
高温ガス炉
(HTGR)
超高温ガス炉(VHTR)
黒鉛減速沸騰軽水圧力管型原子炉(RBMK)/軽水冷却黒鉛減速炉(LWGR)
熔融塩原子炉
(MSR)
高速中性子炉
高速増殖炉
(FBR)
ナトリウム冷却炉
鉛ビスマス冷却炉
ヘリウムガス冷却炉
水冷却炉
進行波炉
(TWR)
核融合炉
磁場閉じ込め式核融合炉
トカマク型核融合炉
ヘリカル型核融合炉(ステラレータ)
タンデムミラー型核融合炉
磁場反転配位(FRC)
慣性閉じ込め式核融合炉
レーザー核融合炉
運用目的での分類
高速炉
転換炉
増殖炉
高速増殖炉
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