放射性同位体
読み:ほうしゃせい-どういたい
外語:RI: radioisotope
同位体のうち、安定しておらず(放射性があり)時間とともに放射線を放出しながら安定核になるまで崩壊(壊変)し続ける核種。放射性同位元素、不安定同位体、ラジオアイソトープなどとも呼ばれる。
概要
このような元素は放射能があり、放射線を出しながら崩壊し、他の核へと変わる。こうして現在の核種が半減するまでの時間を半減期という。
日常的には太陽などの恒星の核融合で生成され、宇宙に放たれる。地球にも誕生当時から豊富に存在し、地球に地熱があり暖かい惑星となっているのは、この放射性同位体の放射能の恩恵である。
特徴
種類
全ての元素に、放射性同位体が存在する。
最も質量数の小さい放射性同位体は3H(水素3、三重水素)である。仮想上は2He(ヘリウム2)、つまり陽子2個と中性子0個も想定されるが、これは実在しない。2Heを達成するために必要な強い相互作用が、理論上、ほんのごく僅か足りないためである。
安定同位体が存在する最大の原子番号の元素は、原子番号82の鉛である。
従って、原子番号83(ビスマス)以上の全ての元素は、放射性同位体しか存在しない。
医療
放射性を有効に活用した例としては、医療分野の放射線治療や検査などがある。
例えばコバルト60(60Co)のγ線は人体の深部まで透過可能なため、がんの放射線治療に使用されている。
CTスキャンなどでは、一度の検査でもかなりの量を被曝することになるが、検査しての影響と、検査せず末期で病気が見つかった時とのリスクを比較し、CTでの被曝の方が安全と判断され、使われている。
年代測定
放射性同位体を年代測定に使うこともある。
地球上には、常にある一定濃度の炭素14(放射性同位体)が存在する。従って、生きている間は動物の場合食べ物から、植物の場合光合成に使う二酸化炭素から常に摂取しているため、炭素の代表的な安定核種である炭素12に対する炭素14の比率は一定である。しかし、死んでしまうとそれ以上の取り込みは起こらない。
さて、炭素12は安定同位体であるため半永久的に減らずそのまま存在するが、一方の炭素14は半減期5730年で窒素14に変わっていくことで減少するため、炭素12と炭素14の比率を調べることで年代を測定することができる(ただし半減期と存在比率の問題から、数万年以上前のものについては測定できない)。
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