ネプツニウム系列
読み:ネプツニウムけいれつ
ネプツニウム237からビスマス209までの放射性核種崩壊系列のこと。「4n+1系列」とも呼ばれる。
概要
崩壊系列では、α崩壊、β−崩壊(β崩壊)、核異性体転移(IT)、という三種類が連なる。
このうち質量が変化するのはα崩壊のみで、変化する質量数は4である。
大きな系列を成す崩壊系列は四種類が知られているが、それぞれの崩壊系列は、質量数を4で割った余り(剰余)が同一になる。
ネプツニウム系列の場合は、質量数を4で割った剰余が常に1になる。
特徴
系列
ネプツニウム系列の親核種はネプツニウム237である。
トリウム系列の核種の半減期は、親核種であるネプツニウム237の約200万年が最長で、娘核種の半減期はいずれも短いことから、ネプツニウム系列はこの世に現存していない。唯一、系列最後のビスマス209が従来安定同位体と考えられていたものの、半減期1900京年でα崩壊しタリウム205になることが判明したため、ビスマス209から次のタリウム205までは現存していると言えないこともない。
このため、四系列中で唯一確認できない系列となっていたが、ネプツニウム237から三つ遡ったプルトニウム241を起点とした崩壊(プルトニウム241→アメリシウム241→ウラン237→ネプツニウム237→…)で現存が確認された。
系列表
途中、数ヶ所で枝分かれがあるが、最終的にはビスマス209に落ち着く。
この系列は、確率が低い経路は省かれているため、他の核種が生じる可能性もある点は考慮が必要である。
番号 | 核種 | 半減期 | 種類 | 確率(%) | 娘核種 |
| 番号 |
1 | ネプツニウム237 | 237Np | 214.4万年 | α | | 233Pa | 2 |
2 | プロトアクチニウム233 | 233Pa | 26.967日 | β- | | 233U | 3 |
3 | ウラン233 | 233U | 15.92万年 | α | | 229Th | 4 |
4 | トリウム229 | 229Th | 7340年 | α | | 225Ra | 5 |
5 | ラジウム225 | 225Ra | 14.9日 | β- | | 225Ac | 6 |
6 | アクチニウム225 | 225Ac | 10.0日 | α | | 221Fr | 7 |
7 | フランシウム221 | 221Fr | 4.9分 | α | | 217At | 8 |
8 | アスタチン217 | 217At | 32.3ミリ秒 | α | 99+ | 213Bi | 9 |
β- | 0.012 | 217Rn | 9-1 |
9 | ビスマス213 | 213Bi | 45.59分 | β- | 97.91 | 213Po | 10 |
α | 2.09 | 209Tl | 10-1 |
9-1 | ラドン217 | 217Rn | 0.54ミリ秒 | α | | 213Po | 10 |
10 | ポロニウム213 | 213Po | 4.2μ秒 | α | | 209Pb | 11 |
10-1 | タリウム209 | 209Tl | 2.20分 | β- | | 209Pb | 11 |
11 | 鉛209 | 209Pb | 3.253時 | β- | | 209Bi | 12 |
12 | ビスマス209 | 209Bi | 1900京年 | α | | 205Tl | 13 |
(13) | タリウム205 | 205Tl | ∞ | | | | |
元素
この系列に現われる元素は、次の通り(原子番号 降順)。
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