ウラン・ラジウム系列
読み:ウラン-ラジウムけいれつ

 ウラン238から鉛206までの放射性核種崩壊系列のこと。単に「ウラン系列」「ラジウム系列」、あるいは「4n+2系列」とも呼ばれる。
目次

概要
 崩壊系列では、α崩壊、β崩壊(β崩壊)、核異性体転移(IT)、という三種類が連なる。
 このうち質量が変化するのはα崩壊のみで、変化する質量数は4である。
 大きな系列を成す崩壊系列は四種類が知られているが、それぞれの崩壊系列は、質量数を4で割った余り(剰余)が同一になる。
 ウラン・ラジウム系列の場合は、質量数を4で割った剰余が常に2になる。

特徴

系列
 ウラン・ラジウム系列の親核種はウラン238である。この同位体は、ウランのほぼ全量(99.2742%)を占め、ピッチブレンド(瀝青ウラン鉱)という鉱物として産出する。
 この系列の各娘核種たちは、最終的な安定同位体である鉛206に至るまで、一部を除いて半減期が比較的短いが、途中、ウラン234、トリウム230、ラジウム226は半減期が比較的長いことから、これらは自然界で存在が確認できる放射性同位体となっている。
 また、このラジウム226から作られるラドン222は、主要な放射能泉の放射線源である。

系列表
 途中、数ヶ所で枝分かれがあるが、最終的には鉛206に落ち着く。
 この系列は、確率が低い経路は省かれているため、他の核種が生じる可能性もある点は考慮が必要である。
番号核種半減期種類確率(%)娘核種
 番号
1ウラン238238U44.68億年α 234Th2
2トリウム234234Th24.10日β 234mPa3
3プロトアクチニウム234m234mPa1.17分β+99234U4
IT0.16234Pa3-1
3-1プロトアクチニウム234234Pa6.70時β 234U4
4ウラン234234U24.55万年α 230Th5
5トリウム230230Th75380年α 226Ra6
6ラジウム226226Ra1600年α 222Rn7
7ラドン222222Rn3.824日α 218Po8
8ポロニウム218218Po3.10分α99.98214Pb9
β0.02218At9-1
9鉛214214Pb26.8分β0.02214Bi10
9-1アスタチン218218At1.6秒α99.9214Bi10
β0.1218Rn10-1
10ビスマス214214Bi19.9分β99.979214Po11
α0.021210Tl11-1
10-1ラドン218218Rn35ミリ秒α 214Po11
11ポロニウム214214Po164μ秒α 210Pb12
11-1タリウム210210Tl1.30分α 210Pb12
12鉛210210Pb22.3年β+99210Bi13
α 206Hg13-1
13ビスマス210210Bi5.013時β+99210Po14
α 206Tl14-1
13-1水銀206206Hg8.15分β 206Tl14-1
14ポロニウム210210Po138.4日α 206Pb15
14-1タリウム206206Tl4.199分β 206Pb15
15鉛206206Pb    

元素
 この系列に現われる元素は、次の通り(原子番号 降順)。

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