第一世代電子計算機の時代に、主記憶装置として使われた記憶装置の一種。半導体メモリー以前に使用された技術である。
鋼線の一端からシリアル化されたデータを磁気歪に変換して送り込み、反対側にはトランスデューサーを設けて再び電気信号に直す仕組みになっている。
このままではデータは垂れ流しとなって失われるが、出力を再び入力に戻せばデータは無限ループで保持され、記憶装置として利用できる。
即ち、アナログ仕掛けで作ったダイナミック・シフトレジスターであり、その容量は歪みの伝播速度・鋼線長・ビットレートで決まることとなる。
シリアル構造なので高速動作は望むべくもないが、巨大な周辺回路が必要なコアメモリーよりは格段に簡便なので、鋼線をゼンマイ状に巻いてコンパクトにモジュール化したものが重量級の電卓などに使われていた。
水銀槽やCRTメモリーなどと同じく、ビット単価さえ安ければ、どのような原理のものでも実用化されていた時代の産物である。
代表的な遅延線メモリーとして、水銀遅延線を使った水銀遅延線メモリーがある。
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