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動物実験などを終えた新薬の候補を、実際に人間に使用して効果や安全を確認するもの。この結果を国が審査し、承認したものが医薬品として流通する。
治験は通常、市販前に実施されるもので、「第Ⅰ相」「第Ⅱ相」「第Ⅲ相」の三つの試験段階を踏み、効果が確認できたところで承認され、市販となる。
従って、通常は市販薬となった時点で治験は終了しているが、時間的な制約などから、新薬の承認後、市販後に追加で臨床試験が実施されることがある。これは治験ではなく「製造販売後臨床試験」と呼ぶが、「第Ⅳ相」と呼ぶこともある。
新薬の場合、次のような手順で治験は進む。
厚生労働省が医薬品として承認し、市販された時点で、治験は完了している。
市販後に追加で臨床試験を実施することはあり、これを「製造販売後臨床試験」という。治験の流れでこれを四つ目の「第Ⅳ相」あるいは「第Ⅳ相試験」と呼ぶこともあるが、市販後に実施される臨床試験は実際には治験ではない。ただし、その実施方法、守るべき法的な規制などは、治験とほぼ同様である。
治験は病院で実施する。
薬事法の定めによる、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成九年厚生省令第二十八号)に被験者の安全を守るための定めがあり、要件を満たす医療機関で、要件を満たす医師によってのみ実施される。
医療機関の要件は、省令第35条で次のように定められている。
第二節 実施医療機関
(実施医療機関の要件)
第三十五条 実施医療機関は、次に掲げる要件を満たしていなければならない。
一 十分な臨床観察及び試験検査を行う設備及び人員を有していること。
二 緊急時に被験者に対して必要な措置を講ずることができること。
三 治験責任医師等、薬剤師、看護師その他治験を適正かつ円滑に行うために必要な職員が十分に確保されていること。
医師の要件は、省令第42条で次のように定められている。
第三節 治験責任医師
(治験責任医師の要件)
第四十二条 治験責任医師は、次に掲げる要件を満たしていなければならない。
一 治験を適正に行うことができる十分な教育及び訓練を受け、かつ、十分な臨床経験を有すること。
二 治験実施計画書、治験薬概要書及び第十六条第七項又は第二十六条の二第七項に規定する文書に記載されている治験使用薬の適切な使用方法に精通していること。
三 治験を行うのに必要な時間的余裕を有すること。
以上により、経験豊富な医師によって、治験中に身体に異常を来し容態が急変した場合でも適切な対応ができる環境でのみ、治験の実施が可能となっている。
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