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物理学者シュレーディンガーが1935(昭和10)年に発表した思考実験。
外から中が伺えない箱の中に猫を閉じこめ、その箱の中には半減期が1時間である放射性原子とガイガーカウンター(放射線測定器)、そして検出器が動くと毒ガスを発生する装置が入れられている。このとき1時間後に猫は生きているのか死んでいるのか?という命題。
原子核の崩壊は確率的にしか分からない。箱を1時間経って開けるとき、放射性原子の半減期が1時間であるため、この原子が放射線を放出している可能性は50%である。
一般的な解釈では単に蓋を開けた時に死んだ猫がいるか生きた猫がいるか、どちらかが分かるだけと考える。しかし観測が現象を決定するという量子力学ではこれを確率で解釈し、箱の中には生きた猫と死んだ猫が同時に混ざった状態で存在(Dead and Alive)し、箱を開けた瞬間に一方の猫が実在化し他方が消滅する(Dead or Alive)と説明する。
シュレーディンガーの猫は量子論の概念を分かりやすく知る譬えであるが、ここで量子論では未知と未決定が同一視されており、決定されているものであっても、未知である限り記述できないという問題を含んでいる。
シュレーディンガーはこのパラドックスにより、量子論は不完全なものであるとした。
しかし、ミクロやマクロの世界ではやはり未知であるがゆえに未決定で、一つのものが同時に異なる場所や異なる状態として存在することを考慮しなければならない問題が多く、今もなお研究者にとって重要な難題の一つとなっている。また、当時は単なる思考実験でしか無かったが、今では実際に実験として扱うことも量子光学などの分野でトレンドとなっている。
この命題は「人が必ず死ぬ状況に至ったとき、その人はその時点で死んだと解釈すべきか、あるいはまだ生きていると解釈すべきか」という哲学的命題としても引用され、小説の題材などにも広く用いられている。
他にも決定論と非決定論という現象に対する解釈や認識の違いを題材として取り上げた作品もみられる。
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