ブラックホールの事実上の大きさともいえる指標で、事象の地平面の半径のこと。
実際にはブラックホールに限らず、太陽や地球のようなより質量の小さい天体や、素粒子などにも適用できる概念だが、素粒子ほどに質量が小さいとシュバルツシルト半径は素粒子自体よりも小さくなるため、通常は考えに入れることはない。
また、シュバルツシルト半径がプランク長となる質量を、プランク質量といい、プランク単位系として量子力学の世界で用いられている。
この大きさよりも小さく収縮した天体をブラックホールという。
しかしそもそも、ブラックホールには大きさはない。ブラックホールは、点、あるいは0(無限小)、すなわち「0次元」だからである。
しかしブラックホールの質量に応じて発生する強い重力場のため、その内部の物質や、内部で発生した光は、その質量に応じた範囲内から外に出ることができない。
結果として、この範囲がブラックホールの事実上の大きさであると言うことができ、この半径を「シュバルツシルト半径」という。
なお、質量が0である光すらも脱出できないのは、単に物質が重力で吸い込まれているだけでは無いからである。
一般相対性理論によると、重力とは空間の歪みである。つまり曲がった空間(リーマン空間)である。言い換えれば、時空の曲がり具合が重力場である。
光子は真っ直ぐ進んでいるつもりでも、シュバルツシルト半径内は空間の歪みによって進路が変わり、元来たブラックホールに戻ってしまう。従って、光でも脱出できない。
そこで、このシュバルツシルト半径内の空間のことをブラックホールと呼ぶ。
シュバルツシルト半径Rは、質量をM、光速度をc、万有引力定数をGとすると、次の式で表わされる。
R=2GM/c2
Gとcは共に比例定数である。
これを式に代入すると、シュバルツシルト半径Rは質量Mのみで表わされ、「R=1.485×10−27M」となる(Mをkgとすると、解Rはm)。
例えば太陽質量(約1.98892×1030kg)を代入すればR=約2,954m=約3kmという解が得られる。
ブラックホールにおいては、この半径R内が、実質的なブラックホールであるといえる。
例えば、地球の重力を脱して宇宙に出るには16.7km/s(14.4km/cBeat)、いわゆる第三宇宙速度が必要である。
これは重力が強いほど速い速度が要求されるので、地球より木星、木星より太陽の方が速度が必要である。
ここから、重力が極端に強い天体では光速ですら脱出できないことが想定される。これが、理論的に産み出されたブラックホールであった。
科学には確固たる理論が不可欠で、天文学も例外ではない。
天体望遠鏡を発明したガリレオ・ガリレイ以来、天文観測が行なわれ、次いで理論が確立することで天文学は発達してきた。
しかしブラックホールは、一般相対性理論が登場と、その厳密解をドイツの天文学者シュバルツシルトが解くことで、理論が観測よりも先にできたのである。天文学の一つの転機であったといえる。
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