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酒量抑制剤(習慣性中毒用剤)の成分。吉富薬品の "シアナマイド" などに使われており、アルコール依存症を治療するために使われる。毒物指定。
分子式CH2N2、構造式H2N-C≡N。分子量42.04。常温で白色の結晶又は結晶性の粉末で、僅かに特異の臭いを有する。CAS番号420-04-2(別のCAS番号65931-45-5)。融点45℃〜46℃、沸点83℃(0.5mmHg)。
作用機序は、肝臓におけるアルデヒド脱水素酵素阻害である。
薬効を知るために、まず肝臓でのアルコールの代謝を考える。アルコールは肝臓で連続的に作用する二つの酵素によって代謝される。まずアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)という酵素でアルコールはアセトアルデヒドに変わり、次にアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)という酵素がアセトアルデヒドを酢酸エステルに変える。酢酸エステルは血液に乗り他の組織に移行し新陳代謝される。
さて、酒の弱い人というのは、このうちの後者、アルデヒド脱水素酵素アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)に遺伝的な問題があることが知られている。このような人が多量の飲酒をすると体内にアセトアルデヒドが蓄積し急性アルコール中毒症状(顔面潮紅、血圧降下、悪心、頻脈、目眩い、呼吸困難など)を呈することになる。
シアナミドは、このアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)酵素の働きを一時的に阻害する働きを有し、服用中に飲酒すれば急性アルコール中毒症状を引き起こす。これにより酒量抑制や飲酒癖治療などを実現する。
また、窒素肥料の一つ、石灰窒素(CN2Ca)の除草作用の実体でもある。土壌中の水により石灰窒素は加水分解されシアナミドになる。シアナミドはやがて土壌中でアンモニアとなるため土壌残留はない。
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