地域自治区

読み:ちいきじちく
品詞:名詞

市町村の一部域に、その自治体の条例に基づいて設置される行政組織のこと。

この区は、「○○区」「○○町」「○○村」のいずれかを称することができる。

目次

「地方自治法」の第四節(第二百二条の四〜第二百二条の九)と、「市町村の合併の特例に関する法律」で定義される。

地域自治区は法人格がなく、また設置期限も設けられていない。

基本的には市町村合併時、元の市町村を一つ(以上)の地域自治区とすることで、もって合併後の自治体の権限に属する事務を分掌し、地域住民の意見を反映する地方自治を維持することを目的としている。ただ、地方自治法上は、条例によっていつでも設置できる。

定義

「地方自治法」において、次のような特徴が規定される。

  • 条例で範囲を設定した地域自治区を設けることができる。
  • 地域自治区には事務所が置かれる。事務所の位置、名称、所管区域は条例で定める。
  • 地域自治区の事務所の長は自治体の事務吏員、つまり職員が務める。公選ではない。
  • 事務所の場所は、便利でなければならない。
  • 事務所の長は、上司の指揮を受け、部下を指揮監督する。

「市町村の合併の特例に関する法律」では、次のような例外規定が設けられている。

  • 市町村の合併では、上に書いた特徴を無視し、合併自治体の協議で合併区域の一部区域に一つ以上の地域自治区を置ける。その区域は元の自治体の区域とする。
  • 市町村の合併では、合併自治体の協議で、地域自治区に期間を定めて区長を置くことができる。
  • その区長は合併市町村の長が選任する。公選ではない。
  • その区長の任期は二年以内で、合併市町村の協議で決定する。

扱い

市により、完全に「区」で分けられている政令指定都市のような市と、市内の一部のみが区となっている市がある。

市町村合併に伴い、例えば

  • ??郡 ○○町 大字△△ 字××

が、

  • ※※市 ○○区 △△町 字××

のように、旧自治体→区、大字→町域名、といった変更の例が多いようだ。

合併を機に「大字」を住所から消す自治体が多いことから、※※市○○区、のように住所から田舎っぽさを排除できることは、田舎の自治体にとって、ある種の魅力であったと思われる。

地域自治区のうち、「区」を称するものを以下に示す。

なお、これ以外にも「町」などを称する市は多数存在するが、これは略す。

完全に区で区分されている市

  • 岩手県奥州市 (水沢区、江刺区、前沢区、胆沢区、衣川区)
  • 福島県南相馬市 (小高区、鹿島区、原町区)
  • 奈良県宇陀市 (大宇陀区、榛原区、菟田野区、室生区)

一部が区となっている市

  • 北海道伊達市 (大滝区)
  • 北海道石狩市 (厚田区、浜益区)
  • 青森県八戸市 (南郷区)
  • 岩手県盛岡市 (玉山区)
  • 新潟県上越市 (板倉区、浦川原区、大潟区、大島区、柿崎区、清里区、頸城区、三和区、中郷区、名立区、牧区、安塚区、吉川区)
  • 兵庫県姫路市 (網干区、大津区、勝原区、飾磨区、広畑区、余部区)
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