ニコチン
読み:ニコチン
外語:nicotine
タバコ
の乾燥葉(葉たばこ)に
枸櫞酸
塩や
林檎酸
塩として2〜8%存在する
アルカロイド
の一種であり、
麻薬
の一種。
ニコチンの名は、タバコをフランスに輸入したJean Nicotの名から。
目次
物質の情報
基本情報
誘導体、関連物質の例
物質の性質
薬効薬理
毒性
コチニン
物質の特徴
安全性
適用法令
危険性
有害性
環境影響
物質の情報
基本情報
組成式: C
10
H
14
N
2
分子量
: 162.23
比重
: 1.0097(水=1)
融点
: -80℃(ICSC)
沸点
: 247℃(分解)(ICSC)
CAS番号
: 54-11-5
ICSC番号: 0519
官報公示整理番号
化審法番号: 9-990
安衛法番号: 8-(1)-675、8-(1)-1010
化学名:
(S)-3-(1-Methylpyrrolidin-2-yl)pyridine
3-(1-Methyl-2-pyrrolidinyl)pyridine
beta-Pyridyl-alpha-N-methylpyrrolidine
1-Methyl-2-(3-pyridyl)pyrrolidine
外観: 無色〜微黄色の揮発性油状液体で、不快臭や苦味がある。光や空気により褐変。
溶解性:
水
と混和する
エタノール
、
クロロホルム
など多くの
有機溶媒
に可溶
誘導体、関連物質の例
ニコチン酸
(59-67-6)
コチニン (486-56-6)
物質の性質
薬効薬理
ニコチンは、神経、特に
中枢神経
に広く分布するニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)と親和性が高く、ここに作用し
神経伝達物質
として機能することで薬理作用を示すものと考えられている。
特に依存性にとって重要な部位は、
中脳
の腹側被蓋野、
前脳
の側坐核などで構成される報酬系回路で、
ドーパミン
作動性
神経細胞
が関わっている。通常は、食事、セックスといったもので刺激され幸福感を発生させるが、ニコチンも直接的または間接的に報酬系回路のnAChRを刺激、身体に快感を及ぼす。この快感を継続的に求めるようになり、強い精神依存(強い嗜好性)を来たすことになる。この形態の依存性形成は、
コカイン
(麻薬)、
アヘン
/
モルヒネ
/
ヘロイン
(麻薬)、あるいは
アンフェタミン
/
メタンフェタミン
(
シャブ
、覚醒剤)もまた同様である。
nAChRは
末梢神経
にもあり、末梢のnAChRに作用すると
毛細血管
の収縮作用(
血圧
上昇)などの作用がある。
ニコチン性受容体というのは実際には様々な種類があるが、ニコチンはそれを識別する機能がなく、多くの受容体に親和し作用する。このため科学者の中には、ニコチンは「
アセチルコリン
の粗悪品」と呼ぶ者もいる。
毒性
ニコチンは麻薬の一種ではあるが、毒性が極めて強い
猛毒
である(
LD50
(半数致死量)が極めて低い)ため、麻薬ではなく、毒物及び劇物取締法により
毒物
指定がなされている。
ニコチンの毒性作用は極めて強く、
ヘロイン
の100倍程度。
青酸カリ
にも匹敵し、煙草数本で
人間
を殺せる毒性を持つ。
通常使用量でも心血管系、
中枢神経
系に影響を与えて痙攣、呼吸機能不全を生じることがあり、許容濃度を遥かに超えた場合は死に至る。
しかし煙草を吸っても中毒死しないのは、吸引によって体内に取り込まれる量は比較的少ないという理由による。紙巻き煙草はフィルターを通して煙を吸うので毒性が弱まるが、葉巻煙草などはダイレクトに吸う事になるので毒性・効果ともに顕著である。
コチニン
摂取されたニコチンは、体内で
代謝
されコチニン(ニコチンのアナグラム)となり、
腎臓
から
尿
として排出される。
コチニン自体の毒性は知られていないが、ニコチンの血中半減期が約30分なのに対し、血中半減期が約30時間と長期間残るために、これを検出することで喫煙の有無を判別することが出来る。
物質の特徴
安全性
適用法令
毒物及び劇物取締法(別表第一)
毒物
労働安全衛生法(労働安全衛生法施行令)
名称等を表示すべき危険物及び有害物
消防法(危険物の規制に関する政令)
危険物 第四類(引火性液体) 第三石油類 非水溶性液体
船舶安全法(危険物船舶運送及び貯蔵規則)
毒物類 毒物
航空法(第194条)
毒物類 毒物
危険性
引火点: 95℃(密閉式) (ICSC)
発火点: 240℃ (ICSC)
爆発限界: 0.7〜4vol%(空気中)
有害性
刺激
腐食性: (該当資料なし)
刺激性: 眼、
皮膚
を刺激する
感作性
: (該当資料なし)
毒性
急性毒性
ヒトの
致死量
は1mg/kg体重以下
慢性毒性
: (該当資料なし)
がん原性: (該当資料なし)
変異原性
: (該当資料なし)
生殖毒性: 生殖能または
胎児
への悪影響のおそれの疑い (GHS分類 区分2)
催畸形性
: (該当資料なし)
神経毒性: (該当資料なし)
標的臓器:
神経系、呼吸器系、心臓血管系、消化管 (GHS分類 区分1)
気道刺激性 (GHS分類 区分3)
規制値
一日許容摂取量
(ADI): (該当資料なし)
暫定耐用一日摂取量(PTDI): (該当資料なし)
急性参照値(ARfD): (該当資料なし)
暴露許容濃度(TLV): 0.5mg/m
3
(TWA) (皮膚) (ACGIH 2007)
環境影響
分解性: (該当資料なし)
蓄積性: (該当資料なし)
魚毒性: 水生生物に対して毒性が非常に強い
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