イッテルビウム
読み:イッテルビウム
外語:Yb: Ytterbium

 銀白色の金属元素の一つ。
目次

情報

基本情報

一般情報

原子情報

物理特性

同位体
 質量数は、148から181までが確認されており、その中に核異性体も存在する。安定同位体は7つある。
 しかし、この全てが長寿命放射性同位体であると考えられている。
同位体核種天然存在比半減期崩壊崩壊後生成物
148Yb β+崩壊148Tm
149Yb β+崩壊149Tm
150Yb β+崩壊150Tm
151Yb β+崩壊151Tm
152Yb β+崩壊152Tm
153Yb β+崩壊153Tm
α崩壊149Er
154Yb β+崩壊154Tm
α崩壊150Er
155Yb β+崩壊155Tm
α崩壊151Er
156Yb β+崩壊156Tm
α崩壊152Er
157Yb β+崩壊157Tm
158Yb β+崩壊158Tm
159Yb β+崩壊159Tm
160Yb β+崩壊160Tm
161Yb β+崩壊161Tm
162Yb β+崩壊162Tm
163Yb β+崩壊163Tm
164Yb EC崩壊164Tm
165Yb β+崩壊165Tm
166Yb2.36日EC崩壊166Tm
167Yb β+崩壊167Tm
168Yb0.13%>1.3×1014  
169Yb32.02日EC崩壊169Tm
170Yb3.05%安定核種(中性子数100)
171Yb14.30%安定核種(中性子数101)
172Yb21.90%安定核種(中性子数102)
173Yb16.12%安定核種(中性子数103)
174Yb31.80%安定核種(中性子数104)
175Yb4.19日β崩壊175Lu
176Yb12.70%安定核種(中性子数106)
177Yb1.9時β崩壊177Lu
178Yb β崩壊178Lu
179Yb β崩壊179Lu
180Yb β崩壊180Lu
181Yb β崩壊181Lu
 安定核種に対し、質量数が大きすぎるまたは小さすぎる場合は複雑な崩壊となり、質量数が小さいと陽子放射、大きいと中性子放射が同時に起こることがある。

特徴
 ガラスの色付けなどに使われている。ガラスに混ぜると黄緑色を呈する。
 また、YAGレーザー素子の添加物として使われている。

安全性

危険性

有害性

環境影響

発見
 1794(寛政6)年、ヨハン・ガドリン(Johan Gadolin)によりストックホルム近郊のイッテルビー村で採取された鉱物から発見された。後にこの鉱物はガドリン石と呼ばれるようになり、またガドリンはこの元素にイットリアと命名した。
 但し、このイットリアは実際には純粋ではなく、その後の研究により、最終的には九種類もの希土類元素が含まれていた。
 まず1843(天保14)年、スウェーデンのモサンダーは、イットリアは三つの元素からなることを見出した。そこでイッテルビー村の名を三分割し、それぞれにイットリア、テルビア、エルビアと命名した。このうちイットリアにイットリウムの名が与えられ、残りはテルビウム(Tb)、エルビウム(Er)の名が与えられた。
 1878(明治11)年、スイスの化学者マリニャックは、エルビアが純粋でないことを見出し、新元素を発見した。元素名が地名だったので彼も地名にこだわるが、既に村名は三分割して使われている。そこで村名をそのまま使い、イッテルビウムと命名した。
 しかし、このイッテルビウムも純粋では無かった。1907(明治40)年、フランスの化学者ジョルジュ・ユルバンにより、イッテルビウムは二つの元素からなることを発見した。そのうち一つはイッテルビウムとし、もう一つはユルバンの故郷パリの古称ルテチアからルテチウムと命名された。
 具体的には、次のように単離されている。

主な化合物

前後の元素
 
 69 ツリウム ‐ 70 イッテルビウム ‐ 71 ルテチウム

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