スカンジウム
読み:スカンジウム
外語:Sc: Scandium

 銀白色の金属元素の一つ。
目次

情報

基本情報

一般情報

原子情報

物理特性

同位体
 質量数は、36から61までが確認されており、その中に核異性体も存在する。安定同位体は一つのみ。
同位体核種天然存在比半減期崩壊崩壊後生成物
36Sc  陽子放出35Ca
37Sc  陽子放出36Ca
38Sc  陽子放出37Ca
39Sc  陽子放出38Ca
40Sc  β+崩壊40Ca
41Sc  β+崩壊41Ca
42Sc  β+崩壊42Ca
43Sc  β+崩壊43Ca
44Sc  β+崩壊44Ca
44mSc  IT崩壊44Sc
β+崩壊44Ca
45Sc100.00%安定核種(中性子数24)
46Sc83.79日β崩壊46Ti
47Sc3.3492日β崩壊47Ti
48Sc1.82日β崩壊48Ti
49Sc57.2分β崩壊49Ti
50Sc  β崩壊50Ti
51Sc  β崩壊51Ti
52Sc  β崩壊52Ti
53Sc  β崩壊53Ti
54Sc  β崩壊54Ti
55Sc  β崩壊55Ti
56Sc  β崩壊56Ti
57Sc  β崩壊57Ti
58Sc  β崩壊58Ti
59Sc  β崩壊59Ti
60Sc  β崩壊60Ti
61Sc  β崩壊61Ti
 安定核種に対し、質量数が大きすぎるまたは小さすぎる場合は複雑な崩壊となり、質量数が小さいと陽子放射、大きいと中性子放射が同時に起こることがある。

性質

埋蔵量と価格
 スカンジウムの埋蔵量は、地殻中に22ppmとされている。この量はコバルトよりやや少ない程度で、量はそこそこ多い。
 しかし、埋蔵量と価格は必ずしも一致しないものである。スカンジウムは、かつては工業的な需要があまり無く、採掘も少量に留まっていたため高価だった。当時は、地殻中に0.004ppmしか無いが1gあたり2500円〜3000円である所、スカンジウムは1gあたり1万円程度した。
 近年では、アルミニウムに混ぜると耐熱性や硬度を上げることができ、燃料電池にも使用されるなど工業的な需要も増えたことで価格は下降傾向で、2008(平成20)年秋頃では1kgで約200万円(1gあたり約2000円)とされている。
 以前は、希土類の生産は主として支那大陸のチベットで行なわれていた。後にチャイナリスク回避のため世界各国で生産されるようになったが、いずれにせよ日本は全量を輸入に頼っている。

温泉から採取
 日本原子力研究開発機構などが2008(平成20)年10月7日、さまざまな希少金属(レアメタル)が溶け込む草津温泉(群馬県吾妻郡草津町)の温泉水中からスカンジウムの回収に成功したと発表した。「液体からスカンジウムだけを採取する技術はおそらく世界初」とされている。
 草津温泉の源泉、万代源泉が流れる湯川は、1トンあたり約17mgのスカンジウムが含まれている。今回発表された技術では、1分あたり40リットルを処理でき、回収率は95%以上だとされている。
 今後は、耐久性の向上などにより実用化に向けた研究を進め、また他の希少金属の回収にも応用するとしている。

安全性

危険性

有害性

環境影響

発見
 1871(明治4)年にメンデレーエフが「エカ硼素」として元素の存在を予言した。
 1879(明治12)年にスウェーデンの科学者Lars Fredrick Nilson(ラルス・フレデリック・ニルソン)によって単離された。名前の由来は、スウェーデンがある「Scandinavia」(スカンジナビア半島)から。

主な化合物

前後の元素
 
 19 カルシウム ‐ 20 スカンジウム ‐ 21 チタン

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