PiTaPa
読み:ピタパ
外語:PiTaPa: Postpay IC for Touch and Pay
スルッとKANSAI
協議会の仕様による
ICカード乗車券
の名称。JRの
Suica
と同様に、ソニーが開発した
FeliCa
システムを採用している。
目次
仕様
概要
由来
名称
ポストペイ
有効期限
沿革
特徴
利用方法
券種
チャージ
PiTaPa倶楽部
敬老優待乗車証
利用可能路線
状況
ポストペイ対応
チャージ対応
利用できない路線
電子マネー機能
限度額
ショップdeポイント
なぜポストペイなのか
目標
近畿圏ならではの問題
割引サービス
噂とその後
割引
種類
利用回数割引
利用額割引
京都市交通局
大阪市交通局
区間指定割引
乗り継ぎ割引
仕様
導入: 2004(平成16)年8月1日
カードタイプ: Cタイプ (
FeliCa
)
カード規格: サイバネ規格
ID番号: SU ([S][u]rutto KANSAI)
導入エリア: 近畿エリア私鉄、バス
発行枚数: 235万7000枚 (2015(平成27)年3月末現在、
国土交通省資料
)
相互利用:
ICOCA
、
交通系ICカード全国相互利用
参加
運賃支払い機能
ポストペイ方式による決済機能
プリペイド方式によるSF機能
定期券機能
カード種別
PiTaPaベーシックカード (記名式) PP機能+SF機能
PiTaPa提携カード (記名式) クレジット機能搭載のカード
定期券 (記名式) PP機能+SF機能+定期券機能
デポジット: 無料
会費等: 無料 (年間使用額がない場合は税別1,000円/年)
紛失時: 再発行可能
電子マネー機能: あり (ポストペイ)
その他サービス: PiTaPa倶楽部
概要
由来
2004(平成16)年8月1日より、阪急、京阪、
能勢電鉄
にて導入が開始された、ICカード乗車券である。磁気カードである「
スルッとKANSAI
」のIC版とも言える。
登場時点から
電子マネー
に対応している。乗車券機能はICOCAと相互利用が行なわれているが、電子マネー機能は現在、相互運用されていない。
名称
名前は、「
ピ
タッと
タ
ッチするだけで
パ
ッとスピーディーに!」というキャッチフレーズに由来する。
ちなみに、大阪弁では3音節ある単語は中高アクセントになることが多いが、ピタパのアクセントはこれに従わず「ピ↑タ↓パ↓」であり、なぜか関東のSuicaと同様の頭高アクセントである。
ちなみに、先に導入されたJR西日本の
ICOCA
がなぜか頭高アクセントなので、それに倣ったのではないかと考えられる。
ポストペイ
先にICカードを導入したJR等と違い、PiTaPaでは利用料金を1ヶ月毎にまとめて、あらかじめ指定した口座から引き落とす「ポストペイ」(後払い)方式を採用している(理由については後述)。
後払いであるため、
クレジットカード
と同様に与信審査が存在する。このため、信用によってはカードが発行されないこともある。また発行される場合でも、発行までに2〜3週間を要するという問題点がある。
クレジットカードとは違い入会金や年会費、そして他の交通系ICカードと違いデポジットも不要だが、1年間に1度も利用しなかった場合は、維持管理料として1,050円(税込)が請求される。
有効期限
クレジットカードであるためか、有効期限が設定されており、8年間である。
有効期限はカード裏に記載されており、期限が切れる半月前くらいに新しいカードが送られてくる。
PiTaPa内のチャージについては、新カードに引き継がれない。したがって期限切れまでに使い切るのが望ましいが、残っても期限が切れた後に自動的に手数料無料で口座に返金される。
期限が切れたあとは、たとえ定期券の期限が残っていたとしても、改札口を通ろうとした時にエラーになるので注意が必要である。
沿革
2004(平成16)年
8月1日: 正式サービス開始 (
阪急電鉄
、
能勢電鉄
、
京阪電気鉄道
)
10月1日: 電子マネー機能のサービスを開始
2006(平成18)年
1月21日: JR西日本
ICOCA
との相互利用開始(乗車券機能のみ)
2月1日:
大阪市交通局
、
大阪高速鉄道
(
大阪モノレール線
、彩都線)、
北大阪急行電鉄
、
阪神電気鉄道
・阪急バスの一部、神姫バスの一部が導入
7月1日:
大阪府都市開発
(泉北高速鉄道の前身)、
神戸高速鉄道
、
神戸新交通
、
山陽電気鉄道
、
南海電気鉄道
が導入。一部事業者がIC定期券を開始
9月25日: 会員数50万人突破を発表
10月1日: 大阪空港交通、
北神急行電鉄
、
神戸市交通局
の関西エリア地下鉄が導入。Harecaエリア(岡山電気軌道、両備バス、下津井電鉄)が片道利用開始
10月20日: 神姫バスのほぼ全線と神姫ゾーンバスが導入
2007(平成19)年
4月1日:
京都市交通局
の地下鉄(
京都市営地下鉄
)、
近畿日本鉄道
のほぼ全線、
京阪電気鉄道
の
大津線
、
神戸電鉄
、
奈良交通
とエヌシーバスが導入
9月1日:
神戸高速鉄道
、
神戸市交通局
の地下鉄、
神戸新交通
、
神戸電鉄
、
山陽電気鉄道
の鉄道、
北神急行電鉄
でIC定期券を開始。LuLuCaエリア(
静岡鉄道
、しずてつジャストライン)が導入
10月1日: 京阪バスの高槻営業所が導入
2008(平成20)年
3月1日: 京阪京都交通、阪急田園バスが導入
3月25日: 会員数100万人突破を発表
4月1日: 伊丹市交通局(伊丹市営バス)、高槻市交通部(高槻市営バス)が導入
7月22日: 中鉄バスのうち岡電バスとの共同運行路線が他のHarecaエリアと同様、片道利用開始
9月1日:
神戸市交通局
のバス、神戸交通振興の山手線バスが導入
10月1日: 阪神バス、阪神電鉄バス、神鉄バスの星和台営業所(星和台線、中央病院線、君影団地線、中里線)が導入
10月:
南鮮
において、ロッテカードがPiTaPaを発行開始(海外として初)
2009(平成21)年
3月20日: 3社局にまたがる連絡定期券の発売を一部区間で開始 (阪神・山陽間、阪急・山陽間、阪神・神鉄間、阪急・神鉄間、山陽・神鉄間)
4月1日: 山陽バスが導入
6月1日:
水間鉄道
(鉄道・バス)が導入
2010(平成22)年
3月1日: 京阪バスの大阪エリアが導入
2011(平成23)年
3月1日: 京阪バスの山科営業所と大津営業所管内が導入(京阪バスの全路線バスが導入完了)
4月1日:
京福電気鉄道
(嵐電)が導入
7月14日: 会員数200万人突破を発表
11月1日: 江若交通(京阪グループ)の堅田営業所が導入
2012(平成24)年
3月1日: ポーアイキャンパス線(神戸交通振興と神姫バスの共同運行)が導入
3月17日: 明石市営バスが神姫バス・山陽バスに委譲されたことに伴い、旧明石市営バス路線が導入
12月1日: 近鉄・阪神連絡IC定期券を発売開始 (阪神がPiTaPa定期券、近鉄がICOCA定期券)
2013(平成25)年
3月23日:
交通系ICカード全国相互利用
開始
2014(平成26)年
4月1日:
阪堺電気軌道
、南海バスの一部が導入
8月1日: 公式キャラクターとして忍者「ぴたまる」を制定
12月24日:
京都市営バス
が導入
2015(平成27)年
3月1日: 京都京阪バスが導入
3月14日: 西日本JRバスの金沢営業所が導入
4月1日: 近鉄バス、南海バスの全線が導入
9月18日: 西日本JRバスの若江線(滋賀県高島市「近江今津駅」〜福井県小浜市「小浜駅」)が導入
10月23日: 西日本JRバスの高雄・京北線(京都駅〜周山)が導入
11月1日: 京都バスが導入
12月11日: 西日本JRバスの園福線(園部駅〜福知山駅)が導入
2016(平成28)年
3月16日:
叡山電鉄
が導入
4月1日: 三重交通、三交伊勢志摩交通、三重急行自動車、八風バス、南海ウイングバス南部、尼崎交通事業振興が導入
特徴
利用方法
自動改札機
の切符投入口の上部にセンサーが取り付けられており、このセンサーにカードをタッチするだけで改札機を通る事ができる。
従来の磁気式カード(スルッとKANSAI)では、改札機にカードを挿入しなければ内容の読み書きが出来ず不便であったが、PiTaPaは電波で改札機と交信が可能であるため、定期券入れなどに入れたままで利用出来る。
券種
PiTaPaには、次の種類がある。
PiTaPaベーシックカード (PiTaPa機能のみのカード)
PiTaPaベーシックカード
保証金預託制PiTaPaカード
敬老優待乗車証
PiTaPa提携カード (クレジットカードとの提携カード)
提携カードは、
クレジットカード
やポイントカードなどの機能が追加されたもの。
チャージ
PiTaPaは原則としてポストペイ(後払い)なので事前のチャージ(入金)は不要だが、PiTaPaがまずICOCAと相互利用するにあたり、ICOCA圏でポストペイとすることは合意に至らなかったようである。
そこで、ICOCA圏で利用するための、事前のチャージ(入金)機能が用意されている。
現金によるチャージ
オートチャージ機能(自動入金)
登録することで自動入金が利用できる。カード内チャージ残金が1,000円以下でPiTaPa圏の
改札
を通ると自動的に2,000円が入金される(子供用カードは各々半額)もので、その額はポストペイの額と共に後日請求される。
このチャージ額は、当初は
JR西日本
での乗車でしか利用できなかった。全国相互利用サービス以降は、このチャージ額が全国各地で利用可能となる。
なお、全国相互利用サービス以降も、このチャージ額は電子マネーとしては使うことができない。
PiTaPa倶楽部
インターネットで、PiTaPaの使用履歴、(JR圏の)プリペイド利用履歴や残金、ショッピングでの獲得ポイント数、などを確認することが出来る。
これを利用し、紙&郵送による利用代金通知を不要と設定すれば、以降は毎月の発送料105円(消費税込)も不要になりお得である。
このようなネットサービスは、関西エリア、関東エリア問わずJRでは利用できないサービスの一つである(関東では私鉄の
PASMO
が可能だった)。
敬老優待乗車証
大阪市と神戸市は、敬老優待乗車証(敬老パス)をIC化した。
このICカードは、実際には前払い(プリペイド)専用のPiTaPaである。
大阪市 敬老優待乗車証
神戸市 敬老優待乗車証
PiTaPaエリア内でプリペイド利用ができるPiTaPaはこのカードのみであり、一般に入手できるものはない。
利用可能路線
状況
当初は、近畿圏エリアのPiTaPa圏、ICOCA圏の各駅で利用できた。また、通常はPiTaPa以外を使用しているが、PiTaPaによる精算を受け入れる事業者も多くある。
PiTaPa以外のカードを発行するが、PiTaPaによる精算を受け入れるのは、各社が独自のカードを発行し、かつそのカードでチャージ時にプレミアを付けているためである。バスカードなどの延長線上にあるためと思われる。自社カードを使えばプレミアや利用額割引などが受けられるが、PiTaPaは常に定価での精算である。
ポストペイ対応
2020(令和2)年4月1日現在の状況(記載漏れしている事業者も一部あり)。
PiTaPaの特徴である、ポストペイ(後払い)に対応するエリア(50音順、電車→バス/新交通等の順で記載)。バスはピクトグラム「〓」を追記(表示できない環境あり)。
PiTaPa圏(のうち、独自カード圏でないもの)
あ行
〓 大阪シティバス (旧
大阪市営バス
)
Osaka Metro (旧
大阪市営地下鉄
)
ニュートラム
泉北高速鉄道
叡山電鉄
大阪高速鉄道
(
大阪モノレール線
)
〓 大阪空港交通 (一部便は未対応)
か行
北大阪急行電鉄
京都市交通局
京都市営地下鉄
〓
京都市営バス
近畿日本鉄道
(近鉄) (ケーブル線、ロープウェイ、一部鉄道路線は未対応)
京阪電気鉄道
(ケーブル線は未対応)
神戸高速鉄道
神戸市交通局
神戸市営地下鉄
〓 神戸市営バス
神戸新交通
ポートライナー(ポートアイランド線)
六甲ライナー(六甲アイランド線)
神戸電鉄
〓 京阪京都交通 (高速バスを含む一部路線を除く)
〓 京都京阪バス(一部高速線を除く)
〓 京都バス
〓 近鉄バス
〓 京阪バス
〓 江若交通(京阪グループ) (堅田営業所管内の路線のみ、競艇専用路線、大学専用路線を除く)
〓 神戸市交通局(神戸市バス)
〓 神戸交通振興 (シティー・ループを除く)
山手線バス
ポーアイキャンパス線
さ行
山陽電気鉄道
山陽電車
〓 山陽バス (高速バスを含む一部路線を除く)
〓 神鉄バス (星和台線、中央病院線、君影団地線、中里線)
な行
南海電気鉄道
(ケーブル線でも利用可能)
能勢電鉄
(ケーブル線、リフトは未対応)
〓 西日本JRバス (金沢営業所、若江線)
は行
阪堺電気軌道
阪急電鉄
阪神電気鉄道
(阪神電車)
北神急行電鉄
ま行
水間鉄道
〓 水間鉄道バス (は〜もに〜ばすを除く)
CI-CA
圏 (CI-CAは他のPiTaPa圏では使用不可)
〓 エヌシーバス
〓
奈良交通
(一部路線のみ)
emica
圏 (emicaは他のPiTaPa圏では使用不可)
〓 八風バス
〓 三交伊勢志摩交通
〓 三重急行自動車
〓 三重交通
hanica
圏 (hanicaは他のPiTaPa圏では使用不可)
〓 尼崎交通事業振興
〓 阪急田園バス
〓 阪急バス
〓 阪神バス (リムジンバス除く)
Hareca
圏 (Harecaは他のPiTaPa圏では使用不可)
岡山電気軌道
路面電車
〓 岡電バス
〓 下津井電鉄 (路線バス、一部を除くリムジンバス)
〓 中鉄バス (岡電バスとの共同運行路線のみ)
〓 両備ホールディングス(両備バス) (高速バスとコミュニティバスを除く)
itappy
圏 (itappyは他のPiTaPa圏では使用不可)
〓 伊丹市交通局(伊丹市営バス)
kinoca圏 (kinocaは他のPiTaPa圏では使用不可)
〓 和歌山バス
〓 和歌山バス那賀
LuLuCa
圏 (LuLuCaは他のPiTaPa圏では使用不可)
静岡鉄道
(日本平ロープウェイ除く)
〓 しずてつジャストライン (高速バスなど一部を除く)
Tsukica圏 (Tsukicaは他のPiTaPa圏では使用不可)
〓 高槻市交通部(高槻市営バス)
NicoPa
圏 (NicoPaは他のPiTaPa圏では使用不可)
〓 ウエスト神姫 (一部路線のみ)
〓 神姫グリーンバス (一部路線のみ)
〓 神姫ゾーンバス
〓 神姫バス
なっち圏 (なっちは他のPiTaPa圏では使用不可)
〓 南海バス
〓 南海ウイングバス金岡
〓 南海ウイングバス南部
〓 南海りんかんバス
らんでんカード
圏 (らんでんカードは他のPiTaPa圏では使用不可)
京福電気鉄道
(嵐電)
チャージ対応
ICOCA圏
JR西日本
JR四国
(一部区間のみ)
以下は、2013(平成25)年3月22日の全国相互利用サービスによって相互利用可能となるエリア。
Kitaca
(
JR北海道
)
Suica
(
JR東日本
)
PASMO
(関東圏私鉄)
TOICA
(
JR東海
)
manaca
(名古屋圏私鉄)
SUGOCA
(
JR九州
)
nimoca
(
西日本鉄道
)
はやかけん
(
福岡市交通局
)
利用できない路線
いわゆるPiTaPaのエリア(従来の
スルッとKANSAI
のエリア)であっても、PiTaPaが利用できない路線は存在する。
特に初期にはバスの不参加が多く、その理由の殆どは数億円単位と見込まれる導入費用が捻出できないためだった。これも徐々に改善しつつあるが、スルッとKANSAIの時代と比すると大きく後退した状況であるとも言える。
以下は、スルッとKANSAIを導入していたが、まだPiTaPaが利用できない路線(50音順)。
中鉄北部バス (※南部の中鉄バスは、岡電バスとの共同運行路線のみHarecaを導入)
比叡山鉄道
以下は事業そのものが廃止された。
尼崎市交通局(尼崎市営バス)
また、
スルッとKANSAI
すら導入できなかった事業者のほぼ全てはPiTaPaも利用できない。
電子マネー機能
限度額
PiTaPaの
電子マネー
機能は「PiTaPaショッピング」と呼ばれている。
タッチするだけで買い物ができるが、限度額は、本会員・家族会員の合計で、カードあたり次の通り低めに設定される。
3万円/日/カード
5万円/月/カード
一般の
クレジットカード
のような本格的な買い物には使えず、少額決済用である。
ショップdeポイント
電子マネーを使用すると、「ショップ de ポイント」というポイントが貯まる。
通常は100円ごとに1ポイントだが、店などによって、5倍、10倍、20倍、あるいはそれ以上をサービスするところもあるらしい。
500ポイントたまると、交通利用代金から50円が差し引かれるサービスがある。
1ポイント/100円の最低ラインで計算すれば、
0.1%のポイント還元
(1,000円ごとに1円)があることになる。驚愕のポイント還元率、そのお得感はいかばかりか。
なぜポストペイなのか
目標
ポストペイ(後払い)である最大の理由は、近畿圏で導入された磁気式
プリペイドカード
「スルッとKANSAI」の単なる置き換えではなく、ここで発生した様々な課題を解決し、サービスの改善に繋げつつ事業者の負担軽減を図ることが目指されたためである。
近畿圏は、ようやく磁気カードに対応し普及し始めたが、関東ではSuica初め非接触ICカードが普及し始めていた。近畿圏でも当然、遠からず導入が必要と考えられたが、過重な設備投資を鉄道・バス会社に要求することは出来ない。そこで、もっとも廉価に済む方法として、ポストペイ方式が採用された。
クレジットカード
のように後払いなので、事前のチャージのための券売機の改修が不要で、大規模な出費は改札機の改修だけで済む。また、導入したばかりの磁気カードとの併用が前提となっていたため、異なるコンセプトというのも、必要に応じての使い分けが可能という利点があった。
近畿圏ならではの問題
プリペイド方式にまつわる不満は、全国的に存在した。
磁気式プリペイドカードを買えば、確かに毎度の切符購入は不要であるが、残金が無くなれば都度磁気式プリペイドカードを追加購入する必要があり、結局券売機に並ぶ必要がある。関東ではなぜかあまり問題にならないが、近畿では重大な問題であるらしい。
そして最大の問題は、プリペイドでカードを購入しても、
特典がない
。
関東圏では各社の磁気カードから
パスネット
に移行した際に特典が廃止されたが、不満があっても何となく受け入れられた。しかし近畿圏ではそうは行かず、この
重大な問題
にクレームが殺到したことも、ポストペイを導入した理由とされている。
割引サービス
1ヶ月まとめての後払いなので、利用金額を集計し、利用した各路線の条件に基づいて割り引いて請求することが簡単にできるメリットがある。例えば、社局毎の利用額を集計して割り引きを適用し、その合計額が月の請求額となる。割引は事前登録不要で、自動で行なわれる。
この他、交通機関ごとに、同一運賃区間での利用回数に応じた割引や、事前に区間を登録することで割引が適用されるサービスなどがある。
関東の
PASMO
でも、バス路線では毎月の利用額に応じたポイントが貯まり、一定の累計ポイントごとに自動的にバスの運賃支払いに充当できるサービスがあるが、同様のサービスがよりシンプルに実現できている。
噂とその後
以上は「公式」の説明によるものであるが、おそらく、多くの人は釈然としないだろう。
噂によれば、「阪急がクレジットカードを作らせたい一心でポストペイになった」というあたりが、事の本質だったようである。長々と説明されるよりもはるかに分かりやすい。
当初は自動改札機の更新だけで済むはずだったが、ICOCAとの提携で、チャージ機を新たに設置したり、券売機の更新も必要になったりで、結果としてポストペイは、鉄道会社にとって殆ど負担軽減にならなかったそうである。
割引
種類
PiTaPaはプリペイドではなく後払い(ポストペイ)であるが、それでも様々な割引サービスが存在する。
割引は各社各様だが、概ね次の三種類に集約される。参考までに京都大阪周辺の鉄道会社を併記する。
利用回数割引 … 1ヶ月間(1日〜末日)、同じ運賃区間の乗車回数に応じた割引を自動で適用する
阪急電鉄
京阪電車 (京阪線のみ)
利用額割引 … 1ヶ月間(1日〜末日)、利用額合計に応じた割引を自動で適用する
京都市交通局(地下鉄)
近畿日本鉄道 (一部路線を除く)
大阪市交通局(地下鉄・ニュートラム・バス)
京阪京都交通 (一部路線を除く)
京阪バス (一部路線を除く)
高槻市営バス
区間指定割引 … 事前登録した駅間の1ヶ月間(1日〜末日)、1ヶ月定期運賃を超えない天井付き課金を適用する
阪急電鉄
京阪電車 (京阪線のみ)
近畿日本鉄道 (一部路線を除く)
このPiTaPaとしてのサービス以外に、事業者によっては独自に乗り継ぎ割引などを提供している。
利用回数割引
京阪線の場合、同一運賃区間を1ヶ月間(1日〜末日)に11回以上乗車した場合、その運賃区間について、11回目以降の運賃が10%割引される。登録不要。
区間指定割引を併用すると、1ヶ月定期券運賃に満たない場合でもお得になる。
利用額割引
社局ごとに様々だが、いくつかを例示。
京都市交通局
京都市営地下鉄の場合、利用額に応じて、次のような割引率となる。
3,000円以下: 0%
3,300円以下: 3,000円超過分は100%
3,300円超過: 3,300円超過分9.09%
結果として、利用額に応じて、次のように請求される。
3,000円以下: そのまま
3,300円以下: 3,000円
3,300円超過: 3,000円 + 3,300円超過分×90.91%
この割引率は
トラフィカ京カード
相当(3000円カードで3300円分利用可能)となるように調整されている。
大阪市交通局
大阪市交通局(地下鉄/バス)の場合、PiTaPaを使うと常に割引がある(1万円以下は1割引。1回乗っただけでも)。利用額に応じて、次のような請求額&割引率となる。
1回ごとの乗車料金を1月分(1日〜末日)積算市、それに対して割引を適用し請求する。
なお、一般/学生/シニア/小児とあるが、ここでは自動的に適用される一般のみ示す。学生/シニアは、事前の登録が必要である。
10,000円以下: 利用額×0.9 (10%割引)
10,000円台: 9,000円+端数×0.7 (端数=利用額-10,000)
11,000円台: 9,700円+端数×0.65 (端数=利用額-11,000)
12,000円台: 10,350円+端数×0.85 (端数=利用額-12,000)
13,000円台: 11,200円+端数×0.85 (端数=利用額-13,000)
14,000円以上: 12,050円+(利用額-14,000)×0.75
1万円以下での割引率は回数カード相当(3000円カードで3300円分利用可能)となるように調整されている。
区間指定割引
指定した区間内の利用額が、該当区間の1ヶ月定期運賃を超えない割引サービス。要事前登録。
利用が少ない場合、利用回数割引(11回以上利用がある場合)または通常運賃となり、指定区間の運賃が1ヶ月定期運賃を超えた場合には、その額を上限として請求される。
これにより、IC定期券が存在しないPiTaPaでもPiTaPaを1ヶ月定期券相当で利用できる上、利用が少ない月は定期券を購入するより安くなる。
乗り継ぎ割引
PiTaPa(またはICOCAなども含めて)で、乗り継ぎ割引を提供する事業者もある。
大阪市交通局
(
大阪市営地下鉄
、
大阪市営バス
)
市営バス→市営バス (90分以内)
市営バス→市営地下鉄
市営地下鉄→市営バス
南海バス・
阪堺電気軌道
南海バス→南海バス
南海バス→阪堺電気軌道
阪堺電気軌道→南海バス
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