京都市営バス
読み:きょうとしえいばす

 京都市交通局が運行するバス。主として京都市内を走るが、近隣市に至る路線もある。スルッとKANSAIに加盟している。地元での通称は「市バス」「バス」。
目次

概要

系統
 バス路線は「系統」と呼ばれる番号で区別される。数字一桁から三桁で、数字の前に文字が追加される系統もある。
 郊外の路線ではM・西・北・南の何れかの文字が追加されているが、この文字が違えば別の系統である。例えば1系統、M1系統、西1系統、北1系統、南1系統は、全て別の系統である。しかし一部区間でルートが重複しているので、注意が必要である。

方向幕
 2014(平成26)年3月に大幅に変わった方向幕は、系統の種類に合わせて定められている。
 左から順に、次の情報が詰め込まれて表示されている。
 系統番号の背景は、次の色で路線種類を表わす。

路線種類
 路線は大きく、次の種類に分けられる。前面上の方向幕右端を見ると分かるようになっている。

乗る際の注意
 バスは、常に後ろから乗り、前から降りる。ほぼ例外がない。
 均一区間内のみのバスであれば、後ろから乗って、降りる際に規程の料金を払えば良いだけだが、距離で金額が変わる調整系統のバスに乗るときには注意が必要である。
 方向幕で、番号が白地に黒文字になっているバスの場合、後ろの乗り口に整理券を出す機械が設置されている。現金で料金を払う場合は、必ず整理券を取らなければならない。カードや一日乗車券などを使う場合は必ず後ろの機械にタッチ(ICカードの場合)または挿入(磁気カードの場合)しなければならない。さもないと、降りる際に最大の運賃が請求されることがある。

特徴

カード
 対応する主要な料金支払い方法は、次の通り。
 京都市営バスは、ICカード自体の対応が遅れていたが、2014(平成26)年12月24日から全路線で対応を開始した。ちなみに、約760台のバスの車載器とシステム構築などで事業費は約15億円としている。
 ICカードでは、地下鉄と同様に交通系ICカード全国相互利用に参加するため、Suica含む10種類の交通系ICカードが利用できる。
 PiTaPa導入後も、定期券はIC化されていない。

乗継割引
 「トラフィカ京カード」での利用に限り、市営バスの複数の系統を乗り継ぐ場合には乗継割引がある。均一区間は230円(内税8%)だが、乗継割引を利用すると2回目の降車が90円(小児は40円)割引となる。
 つまり2回の合計で、大人は370円(内税8%)、子供は200円(内税8%)となる。
 また、1乗車目のバス降車から、2乗車目のバス降車までの間が90分以内でなければならない。
 この割引は、スルッとKANSAIや市バス専用カード、またはPiTaPaなどICカード乗車券の場合には適用されない。

無料乗継
 27号系統と203号系統は、無料乗継が実施されている。
 乗継指定停留所(太子道、西大路御池、西大路三条、西大路四条《阪急・嵐電西院駅》の4箇所)で降車する際、運賃箱付近に設置されている乗継券発券機からバス乗継券が発券できる。
 27号系統では203号系統への、203号系統では27号系統へのバス乗継券が発券され、2乗車目のバス降車時はそのバス乗継券に記載された日時までに降車すると無料となる。

利用額割引
 PiTaPaでは、利用額割引に対応する。1日乗車券のような1日上限500円などのサービスは現時点では実施されていない。
 1ヶ月の利用額に応じて、次のように請求額が確定する。

深夜バス
 京都では「よるバス」と称する、22時・23時台のバスがある。これは、2007(平成19)年12月1日に合同会社京都まちづくり交通研究所と京都市交通局が連携して運行しているもので、次の二路線がある。
 基本的には観光客のお帰り用バス(?)で、京都駅へと向かうバスである。
 問題は、深夜まで働いて京都市内に帰ってくるサラリーマン用のバスがないことであった。
 そこで2014(平成26)年3月22日より、京都駅・桂駅を24時に発車する深夜バスが、京都市バスとして初めて運行を開始した。
 次の3系統が運行されている。
 MNは深夜(Mid Night)で、17/205/特西3は昼間のバスと同様の経路を経ることを意味していると思われる。
 MN系統の運賃は、通常運賃の倍額である。

営業
 市バスではあるが、全系統を京都市交通局が直接運行させているわけではない。
 赤字路線などが多く、経営改善のために、京都バス、京阪バス、近鉄バス、阪急バス、エムケイに民間委託している系統がある。公務員の給料は、民間と比べて高すぎるからである。

赤字
2013(平成25)年度実績
 全74系統中で黒字は25系統、残る49系統(66%)が赤字。
 このうち次の4系統は100円の収入を得るのに200円以上の費用が掛かっているとされる大赤字系統である。
2012(平成24)年度実績
 全74系統中で黒字は23系統、残る51系統(69%)が赤字。
 このうち次の6系統は100円の収入を得るのに200円以上の費用が掛かっているとされる大赤字系統である。
2011(平成23)年度実績 (2012(平成24)年11月京都市交通事業白書より)
 全74系統中で黒字は21系統、残る53系統(72%)が赤字。
 このうち次の8系統は100円の収入を得るのに200円以上の費用が掛かっているとされる大赤字系統である。
2010(平成22)年度実績
 全74系統中で黒字は20系統、残る54系統(73%)が赤字。
 このうち次の10系統は100円の収入を得るのに200円以上の費用が掛かっているとされる大赤字系統である。
2009(平成21)年度実績 (2011(平成23)年2月4日に発表)
 全74系統中で黒字は18系統、残る56系統(75%)が赤字。
 このうち次の12系統は100円の収入を得るのに200円以上の費用が掛かっているとされる大赤字系統である。
2008(平成20)年度実績 (営業係数初発表)
 全74系統中で黒字は14系統、残る59系統(79%)が赤字。
 このうち次の17系統は100円の収入を得るのに200円以上の費用が掛かっているとされる大赤字系統である。
 改善傾向ではあるが、それでも黒字になっていないことに変わりはない。黒字系統の収益だけでは赤字を補えないため、京都市の一般会計から多額の補助金を受けて維持されている。

路線

均一系統

中心部路線

均一系統(郊外路線)

均一系統(洛バス)

均一系統(急行)

均一系統(循環系統)

調整系統

シャトルバス等
 利便性などを考えたバスが運行されるようになった。運行当初は方向幕などには番号が書かれず、行き先とバスの種類だけが書かれていたが、2016(平成28)年3月新ダイヤで正式に番号が付けられた。
 以下2路線は、土曜・休日ダイヤで開館時間帯のみ運行。
 2014(平成26)年3月22日、新たなシャトルバスが運転を開始した。
 なお、京都駅〜四条河原町は、4・17205により昼間時間帯は数分単位で結ばれている。
 また、いつの間にか次のような系統も誕生していた(※系統番号は非公式で、実際のバスには表示されていない)。

深夜バス

臨時バスの伝説

臨時バス
 「臨」系統と称して行き先しか書かれていない、時刻表を引くのも困難なやる気の無い臨時系統も少なくないが、臨13、臨南5、臨西2のように定期運行している意味不明な臨時系統?もある。特に臨南5など毎日1時間に1本以上あり、臨の字は単なる記号にしかなっていない。
 観光地であるここ京都では、特定の観光地に向けたシャトルバスも臨時の市バスとして運行されている。運賃はもちろん均一区間の運賃と同額で、条件は他の市バスと同じである。特定の季節にしか運行していないため、番号は付けていないのだろう。必要に応じて設定されるので、年によって運行期間、経路などは違い、ある年に突如廃止されるものもある。
 こういったものは、ファンやマニアの方々が日々研究をしており、次のような貴重な資料がある。
 清水寺、金閣寺、銀閣寺、といった、京都駅から若干距離がある有名観光地行きが臨時として設定されやすいようである。
 そんな中、堂々と番号を振ってお客様をお迎えする豪気な臨時バスだってあるのである。それが750号系統である。

750号系統(東本願寺)
 お役所ではあるが、彼らはかなり柔軟である。
 東本願寺で宗祖の750回忌法要「宗祖親鸞聖人七百五十回御遠忌法要」が開催されるとあっては、臨時で「750号系統」(!)を用意して運行していた。上から貼り付けるという安上がりな方法ではあるが、堂々と「750」「東本願寺」と掲げられたバスは、信徒や観光客には大変わかりやすいものだったことだろう多分。
 この路線の経路は次の通りだった。
 運行期間は次の通りだった。
 東山安井は、第2期から停車するようになった。
 京都駅から東本願寺は近く、また行くための路線は様々あるので、元々臨時便は必要ない。
 この750号系統のコンセプトとしては、烏丸六条停留所を起点として、祇園停留所や京都会館美術館前停留所(現・京都会館美術館・平安神宮前停留所)等との間を結ぶ。これにより、東本願寺から大谷祖廟(東大谷)や「親鸞展 生涯とゆかりの名宝」が開催される京都市美術館まで乗り継ぎ無しで移動できるようになり、相互移動が楽になる。もちろん、多くの観光客で賑わう東山エリア(祇園、清水道、五条坂)から京都駅に帰る一般観光客にも便利である。

急行800号系統(知恩院)
 知恩院 元祖法然上人800年大遠忌法要のためにも臨時バスが運行された。
 800年大遠忌法要なので、こちらも「急行800系統」である。

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