読み:さん
外語:acid

 電子対の受容体。塩酸酢酸硝酸硫酸硝酸などのこと。
目次

定義
 大昔のアレニウスの定義では、水に溶かしたときに酸性反応を示す(水素イオン(H+)を放出する)水素化合物のみを酸とした。
 その後ブレンステッドとローリーはH+の供与体を酸と定義し、より広い範囲を示すようにした。この定義における酸をブレンステッド酸という。
 現在広く用いられているルイスの定義は更に範囲が広く、電子対の受容体が酸であると定義され、H+が存在しなくても酸と塩基の反応であると説明できるようになった。この定義における酸をルイス酸という。

特徴

酸の強さ
 酸の強さは酸解離定数pKaで決まる。同規定度水溶液で見ると、硫酸≒塩酸≒硝酸>燐酸>酢酸>炭酸>フェノール、となる。
 硫酸より塩酸や硝酸の方が僅かに強いが、強弱関係は分析には使えないので≒としている。水中の反応であれば、どんなに強い酸でもH2O+H+→H3O+が起こるだけなので差が付かないのである(非水溶媒では超酸のようなものもあるが)。
 ちなみに、直鎖飽和カルボン酸では炭化水素の部分が小さい方が強く(つまり蟻酸>酢酸>プロピオン酸)、芳香族カルボン酸(安息香酸など)は酢酸より強い。

酸化力の強さ
 酸は金属を溶かす能力を持つ。一般に強い酸の方が様々な金属を溶かすことができる。イオン化傾向が水素より小さい金属を溶かすことができるのは、酸化力の強い酸のみである。
 この能力は、王水>熱濃硫酸≒硝酸>濃硫酸>希硫酸>塩酸の順となる。
 塩酸は酸化力が殆どないので、還元性の酸と呼ばれている。希硫酸も酸化力は殆どないので塩酸と同等である。
 酸としての強さが硫酸より上であるはずの塩酸は、酸化力の強さでは硫酸に負けている。根拠は、塩酸や希硫酸はHよりイオン化傾向が低い金属を溶かさない、熱濃硫酸はイオン化傾向の小さいを溶かす、濃硝酸は銀を溶かす、王水は金を溶かす、ことによる。
 弱酸でも酸化力が極めて強い弗化水素酸(HF)水溶液は銅を溶かす。
 なお、などは濃硝酸には溶けない(不動態)。鉄の表面が濃硝酸により酸化され酸化鉄が生成し、これが鉄表面をカバーするためである。

風味
 酸は、舐めると一般に酸味がある。味は酸の種類により異なる。対する塩基は一般に苦味がある。

皮膚
 酸は皮膚を溶かさない。乾いた手を濃硫酸に入れても(傷がない限り)問題ない(硝酸だと黄色になるが)。
 良い子はまねしないように

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