濃硫酸
読み:のうりゅうさん
外語:concentrated sulfuric acid
濃度の高い硫酸。弱酸である。
概要
市販品の濃硫酸では濃度95〜98%程度で、油やシロップのようにとろみ(粘性)のある液体である。脱水作用、酸化作用、不揮発性、吸湿性などの特徴を持っている。
特に何%以上が濃硫酸、と決まっているわけではない。前述のような濃硫酸の性質を持つものが濃硫酸であるといえる。化学の世界では通常、少なくとも90%以上の濃度のものを濃硫酸という。旧国鉄では、比重1.59(濃度約70%)を超えるものが濃硫酸、それ以下は希硫酸として定義していた。
特徴
弱酸
濃硫酸は殆ど水を含んでいないため、水素イオン(H+)が殆ど電離していない。水素イオンを放出しないため、弱酸である。
そもそも、強酸か弱酸かは電離度による。その物質の濃度は無関係である。水と巡り合えない限り電離しないので、濃硫酸は電離度が低く、弱酸となるのである。
しかし脱水作用が極めて強いので、例えば布に濃硫酸を掛けると炭素まで脱水されてしまう。皮膚に対する影響は殆どない。ただし、皮膚がぬれていた場合には水と混合することで発熱するため、やけどを負うことになる。
水溶液は強酸
一方、濃硫酸を希釈した希硫酸には前述のような濃硫酸の性質はなくなるが、水を含み水素イオンを放出するようになるため、電離度の高い強酸としての特徴を示すようになる。
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