パラジウム
読み:パラジウム
外語:Pd: Palladium

 銀白色の金属元素の一つで、希少金属(レアメタル)の一つ。
目次

情報

基本情報

一般情報

原子情報

物理特性

同位体
 質量数は、91から128までが確認されており、その中に核異性体も存在する。安定同位体は六つある。
 なお、このうちパラジウム102(102Pd)とパラジウム110(110Pd)は長寿命放射性同位体であるらしく、うち110Pdは、一説では半減期60京年とも言われる。
同位体核種天然存在比半減期崩壊崩壊後生成物
91Pd  β+崩壊91Rh
92Pd  β+崩壊92Rh
93Pd  β+崩壊93Rh
94Pd  β+崩壊94Rh
95Pd  β+崩壊95Rh
96Pd  β+崩壊96Rh
97Pd  β+崩壊97Rh
98Pd  β+崩壊98Rh
99Pd  β+崩壊99Rh
100Pd3.63日EC崩壊100Rh
101Pd  β+崩壊101Rh
102Pd1.02%安定核種(中性子数56)
103Pd16.991日EC崩壊103Rh
104Pd11.14%安定核種(中性子数58)
105Pd22.33%安定核種(中性子数59)
106Pd27.33%安定核種(中性子数60)
107Pd650万年β崩壊107Ag
108Pd26.46%安定核種(中性子数62)
109Pd  β崩壊109mAg
110Pd11.72%>6×1017(2β崩壊)110Cd
111Pd 22分β崩壊111mAg
112Pd  β崩壊112Ag
113Pd  β崩壊113mAg
114Pd  β崩壊114Ag
115Pd  β崩壊115mAg
116Pd  β崩壊116Ag
117Pd  β崩壊117mAg
118Pd  β崩壊118Ag
119Pd  β崩壊119Ag
120Pd  β崩壊120Ag
121Pd  β崩壊121Ag
122Pd  β崩壊122Ag
123Pd  β崩壊123Ag
124Pd  β崩壊124Ag
125Pd  β崩壊125Ag
126Pd  β崩壊126Ag
127Pd  β崩壊127Ag
128Pd  β崩壊128Ag
 安定核種に対し、質量数が大きすぎるまたは小さすぎる場合は複雑な崩壊となり、質量数が小さいと陽子放射、大きいと中性子放射が同時に起こることがある。

特徴

用途

生産
 パラジウム生産の約40%がロシアで一位、これと同程度で続くのが南アフリカ共和国である。以降は、カナダ、アメリカ合衆国などが続く。
 パラジウムはプラチナやニッケルの生産の副産物として生産されており、パラジウム生産量はそれら主産物の動向に左右され、価格の変動も激しい。南アフリカのプラチナ鉱山が閉山になった頃には生産量が大幅に減少し、2018(平成30)年11月16日には1トロイオンス=1185.40ドルの史上最高値を付け、1トロイオンス=1220ドル近辺で推移する金価格との差はわずか35ドルに縮まる騒ぎとなった。そしてその後、パラジウムは金の価格を超えた。
 また、2022(令和4)年頭には1トロイオンス=1800ドル台だったが、2022(令和4)年2月にロシアがウクライナに侵攻したことで供給不安が生じ、2022(令和4)年3月2日にはは1トロイオンス=2600ドル台と、およそ40%価格が上昇した。この頃の金のスポット価格は1トロイオンス=1940ドル程度である。また、ロシアに対する経済制裁への報復として輸出の禁止をする可能性があり、更なる価格上昇の可能性がある。

発見
 1803(享和3)年、ウィリアム・ハイド・ウォラストン(William Hyde Wollaston)によって発見された。
 名称は、その前年に発見され話題となっていた小惑星パラスにちなんで付けられた。なおパラスの名は神話由来で、ギリシャ神話で女神アテナの異名とされる。

主な化合物

性質

反応性
 白金族の中では最もイオン化電位の低い元素である。王水に反応するほか、濃硝酸にも僅かながらだが反応する。
 水素の吸着能力が高く、1気圧下では自己体積の約900倍の水素を吸蔵し、加熱で再放出する。C=C二重結合に水素添加する際の触媒としてよく使われている。

合金
 パラジウムは希少金属(レアメタル)だが、京都大の北川宏教授(無機化学)と九州大のチームにより、パラジウムによく似た性質を持つ合金が作られている。
 これは、原子番号で両隣の、ロジウムを材料に、「足して2で割る」方法で中間のパラジウム相当を作り出すという、画期的なものである。単純に両者を混ぜようとしても分離して混ざらないが、それぞれの水溶液を熱したアルコールに少しずつ霧状にして加えることで、二つの金属が原子レベルで均一に混ざった、直径10nmの新合金粒子が作り出された。
 この合金は、水素を蓄える能力をパラジウムの半分程度持ち、またパラジウムが持っている排ガスを浄化する触媒の機能なども持っているとされる。
 研究が進めば、燃料電池の材料などとして、供給量に限りがあるパラジウムの代替として利用できる可能性があるとして期待されている。

安全性

危険性

有害性

環境影響

前後の元素
 
 45 ロジウム ‐ 46 パラジウム ‐ 47

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