クリプトン
読み:クリプトン
外語:Kr: Krypton

 18族に属する銀白色遷移金属元素
目次

情報

基本情報

一般情報

原子情報

物理特性

同位体
 質量数は、69から101までが確認されており、その中に核異性体も存在する。安定同位体は六つある。
 なお、このうちクリプトン78(78Kr)やクリプトン86(86Kr)は、長寿命放射性同位体であるらしい。一説ではクリプトン78(78Kr)の半減期20垓年とも言われる。
同位体核種天然存在比半減期崩壊崩壊後生成物
69Kr β+崩壊69Br
70Kr β+崩壊70Br
71Kr β+崩壊71Br
72Kr β+崩壊72Br
73Kr β+崩壊73Br
74Kr β+崩壊74Br
75Kr β+崩壊75Br
76Kr14.8時β+崩壊76Br
EC崩壊76Br
77Kr1.24時β+崩壊77Br
EC崩壊77Br
78Kr0.35%2×1021(2β+崩壊)78Se
79Kr1.46日EC崩壊79Br
β+崩壊79Br
80Kr2.28%安定核種(中性子数44)
81Kr0.35%22.9万年EC崩壊81Br
81mKr   
82Kr11.58%安定核種(中性子数46)
83Kr11.49%安定核種(中性子数47)
83mKr IT崩壊83Kr
84Kr57.00%安定核種(中性子数48)
85Kr10.77年β崩壊85Rb
85mKr β崩壊85Rb
IT崩壊85Kr
86Kr17.30%安定核種(中性子数50)
87Kr1.27時β崩壊87Rb
88Kr2.84時β崩壊88Rb
89Kr β崩壊89Rb
90Kr β崩壊90Rb
91Kr β崩壊91Rb
92Kr β崩壊92Rb
93Kr β崩壊93Rb
94Kr β崩壊94Rb
95Kr β崩壊95Rb
96Kr β崩壊96Rb
97Kr β崩壊97Rb
98Kr   
99Kr   
100Kr   
101Kr   
 安定核種に対し、質量数が大きすぎるまたは小さすぎる場合は複雑な崩壊となり、質量数が小さいと陽子放射、大きいと中性子放射が同時に起こることがある。

特徴

発見
 1898(明治31)年、イギリスのラムゼーとトラバースが、液化した空気中から発見した。
 化学名Kryptonは、ギリシャ語で「隠れた」を意味するκρυπτο'σ(krypto's)から付けられた。

性質
 希ガスである。放射効率はアルゴンより良く、放電管の封入ガスとしても使われている。
 かつては、長さの単位メートルの定義にも使われた。1960(昭和35)年、1メートルは「クリプトン86(86Kr)原子の準位2p10と5d5間での遷移に対応する光の真空中での波長の1,650,763.73倍に等しい長さ」と定義された。1983(昭和58)年に「1秒の299,792,458分の1の時間に光が真空中を伝わる行程の長さ」に変更されるまで使われた。

生産
 地球の空気には体積割合でクリプトン0.000114%(=1.14ppm)含まれており、この空気から分離して生産される。同様に微量含まれるネオンキセノンを分離する必要があるため、この時にこれらも併産される。
 クリプトンの約80%はロシアとウクライナで生産されている。このため、2022(令和4)年のロシアによるウクライナ侵略により、クリプトンの供給不足が引き起こされた。

主な化合物
 現在知られる唯一の化合物は、クリプトンの酸化数+2の次の物質である。

安全性

危険性

有害性

環境影響

前後の元素
 
 35 臭素 ‐ 36 クリプトン ‐ 37 ルビジウム

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