水素
読み:すいそ
外語:H: Hydrogenium

 百数十存在する原子中、もっとも軽い原子。水素は宇宙で最も多い元素であり、質量では宇宙全体の約半分を占めるとされる。
目次

情報

基本情報

一般情報

原子情報

物理特性

同位体
 質量数は、1から7までが確認されている。安定同位体は二つある。
 通常の水素は質量数1で、陽子1個と電子1個から構成される。
 放射性同位体のうち、質量数3は愛称が付いている。
同位体核種天然存在比半減期崩壊崩壊後生成物
1H99.985%安定核種(中性子数0)
2H0.015%安定核種(中性子数1)
3H微量12.33年β崩壊3He
4H1×10−22s中性子放射3H
5H 2中性子放射3H
6H 中性子放射5H
7H 2中性子放射5H

特徴

性質
 水素は2原子で1分子の水素分子(H2)を構成する。
 しかし地球上では、水素分子(H2)は人工的なもの以外は殆ど存在しない。地球上の水素原子は、その殆どが(H2O)として、無尽蔵に存在する。
 宇宙空間では、殆どが水素原子(H)の状態で存在していると見られる(恒星内や星雲など密度の濃い箇所を除いては、ほぼ真空状態なので他の水素原子との出会いがないため)。

製法
 実験室では、亜鉛などの金属塩酸を注いで発生させることが多い。
 Zn + 2HCl → ZnCl2 + H2
 Fe + 2HCl → FeCl2 + H2
 工業的には(H2O)の電気分解(水電気分解法)や、メタン(CH4)に水を加えて高温に熱し金属触媒を介在させる水蒸気改質法とがあり、特に、安価に量産できる水蒸気改質法がよく使われている。
  CH4 + H2O → CO + 3H2
 これを更に冷却し液体にしたものは液体水素で、ロケット燃料や各種工業用途に使われている。

安全性

危険性

有害性
 理論上は、空気中濃度が高いと酸素の欠乏が起こり、窒息を招く。水素は無色無臭のため、中毒濃度に達しても臭気を感じない。
 現実的には、中毒濃度に達する前に爆発する可能性が高い。

環境影響

発見
 1766(明和3)年にイギリスの科学者キャベンディシュが発見し、フランスの科学者アントワーヌ・ラボアジェが1783(天明3)年に存在を確認、命名した。
 化学名Hydrogeniumは、ギリシャ語で「水を作るもの」を意味する語、υ`'δωρ(hydo^r、水)をγει'νομαι(gei'nomai、作る)から付けられた。すなわち「水の素」。

主な化合物
 水素は様々な元素と化合物を作る。身近な殆どの物質には水素が含まれていると言っても過言ではない。
 天然において、水素は分子(H2)の構造では殆ど存在せず、ほぼ全ては化合物の形で存在する。
 また、殆どの有機物は水素を持つ。
 更に、ブレンステッドの定義でははH+を放出するものなので必ず分子内に水素を持ち、アルカリも定義がOHを放出するものなのでやはり水素がある。

補足
 水素ボンベは赤である。他に酸素は黒、二酸化炭素は緑、窒素ヘリウムなどはグレーとなっている。
 また、ボンベのバルブが左ネジ(メタンなどの可燃性ガスは全て同様)。

前後の元素
 
 1 水素 ‐ 2 ヘリウム

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