ガリウム
読み:ガリウム
外語:Ga: Gallium

 青みを帯びた銀白色の金属元素。融点が低く、手で触れれば体温で溶解する。
目次

情報

基本情報

一般情報

原子情報

物理特性

同位体
 質量数は、56から87までが確認されており、その中に核異性体も存在する。安定同位体は二つある。
同位体核種天然存在比半減期崩壊崩壊後生成物
56Ga 陽子放出56Zn
57Ga 陽子放出57Zn
58Ga 陽子放出58Zn
59Ga 陽子放出59Zn
60Ga β+崩壊60Zn
61Ga β+崩壊61Zn
62Ga β+崩壊62Zn
63Ga β+崩壊63Zn
64Ga β+崩壊64Zn
65Ga β+崩壊65Zn
66Ga9.49時β+崩壊66Zn
EC崩壊66Zn
67Ga3.2612日EC崩壊67Zn
68Ga1.127時β+崩壊68Zn
EC崩壊68Zn
69Ga60.108%安定核種(中性子数38)
70Ga21.14分β崩壊70Ge
EC崩壊70Zn
71Ga39.892%安定核種(中性子数40)
72Ga14.10時β崩壊72Ge
73Ga4.86時β崩壊73Ge
74Ga β崩壊74Ge
75Ga β崩壊75Ge
76Ga β崩壊76Ge
77Ga β崩壊77Ge
78Ga β崩壊78Ge
79Ga β崩壊79Ge
80Ga β崩壊80Ge
81Ga β崩壊81Ge
82Ga β崩壊82Ge
83Ga β崩壊83Ge
84Ga β崩壊84Ge
85Ga β崩壊85Ge
86Ga β崩壊86Ge
87Ga β崩壊87Ge
 安定核種に対し、質量数が大きすぎるまたは小さすぎる場合は複雑な崩壊となり、質量数が小さいと陽子放射、大きいと中性子放射が同時に起こることがある。

特徴

性質
 液体となる温度範囲が元素中で最も広い。
 窒素砒素アンチモンとの化合物III‐V族化合物半導体と呼ばれる化合物半導体であり、ガリウム砒素(GaAs)や窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)等として広く使われている。

生産
 ガリウムは地殻中に、1トンあたり15g含有しており、この量はアンチモンビスマスモリブデンタングステンなどより多い。
 しかしガリウムは現在、アルミニウムまたは亜鉛の製錬での副産物として得られている。このため充分量を得ることができないが、価格面でそれ以外の選択肢がないとされる。
 日本におけるガリウム新地金の国内生産量は0ではないがほぼ無く、ゆえにほぼ全量を輸入に頼っている。
 ガリウム新地金の生産能力は、2006(平成18)年2月金属時評によると次の通りである。
 しかし世界でも最大の需要国とされる日本での2006(平成18)年の需要が168トンとされ世界のガリウム需要の6〜7割程度を占めるが、全く足りていない。そこで採掘からだけでなく、残りは電子部品などからリサイクルされていると予測される(いわゆる都市鉱山)。
 いずれにしてもガリウムは需要が高まる中で安定供給が不安視される希少金属(レアメタル)となっている。

価格等
 ガリウムは国際的な価格決定機構が存在しないため、ガリウム地金の価格推移は完全に需要と供給バランスで決定されているが、その生産の都合によりアルミニウムまたは亜鉛の需給・価格にも左右される。
 ガリウム地金の価格は、1995(平成7)年頃は$200/kg程度だったが、2000(平成12)年に携帯電話機の生産増加と投機筋の介入があり$1000/kgを突破、翌年には$2000/kgを突破する高騰をした。
 その後は世界的な不景気により携帯電話機等の売れ行きが低下し生産も減少したことで価格は再び$200/kg程度に急落、以降しばらくは価格が低迷を続けた。
 2006(平成18)年頃から携帯電話機、LEDの需要が増え、翌年には$750/kg程度まで上昇するが、リーマンショックなどでの景気低迷もあり価格は徐々に低下、2010(平成22)年頃は$400/kg前後で推移している。
 精錬製品の価格では、2005(平成17)年6月現在、99.99%純度のものが42〜45円/g程度となっており、銀と同程度のやや高価な希少金属(レアメタル)である。

発見
 1871(明治4)年にメンデレーエフがエカアルミニウムとして存在を予言した。
 1875(明治8)年にフランスの科学者ボアボードランが発見した。
 名前の由来は、発見者の祖国フランスの古称のガリア「Gallia」から。

主な化合物

安全性

危険性

有害性

環境影響

前後の元素
 
 30 亜鉛 ‐ 31 ガリウム ‐ 32 ゲルマニウム

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