首都圏中央連絡自動車道 |
辞書:国土用語の基礎知識 高速道路名・圏央道編 (EWHTK) |
読み:しゅとけん-ちゅうおう-れんらく-じどうしゃどう |
外語:Metropolitan Inter-City Expressway |
品詞:固有名詞 |
都心から40km〜60kmの圏内(神奈川・東京・埼玉・茨城・千葉)を環状に走る自動車専用の一般有料道路。
関東圏において、外環道よりも更に外側を走る環状路線である。通称は圏央道。
情報 |
起点・終点 |
設計諸元 |
規制等 |
法定路線名 |
通称 |
道路計画 |
最終的には神奈川県横浜市(高速湾岸線(B))〜千葉県木更津市(館山自動車道)を結ぶことになる、総延長約300kmの壮大な道路計画である。この道路に加え、湾岸線(B)とアクアラインを加えると環状路線となる。
既に飽和状態の首都高速道路の環状路線のバイパスとしての機能を持つ予定だが、現在はまだ多くの区間で鋭意建設中である。
圏央道の整備は2003(平成15)年8月に国の都市再生プロジェクトに位置付けられ、2007(平成19)年度内の全線開通を目標とした。
しかしプロ市民の徹底した妨害活動の前にその目標は叶わず、2013(平成25)年になってもまだ全通していない。
長く、放射高速道路を結ぶことさえ出来ずにいたが、2007(平成19)年6月になり、ようやく関越道と中央道を結ぶことに成功した。
関越道は都内からもアクセスが悪い道路であったが、この接続によって都心を通らず中央道へアクセス可能となった。
2013(平成25)年4月27日現在、明確に圏央道とされている距離では合計166.0km、事実上の圏央道(新湘南BP+横横金沢支線=9.2km)を合算すると約175.2kmであり、何とか目標の約6割まで完成している。
沿革 |
以下、今後の予定
今後の予定 |
現時点における、各所の開通予定は次のとおり。IC/JCT名は原則として仮称。
現時点における、各所の開通予定は次のとおり。IC/JCT名は原則として仮称。
通行料金 |
料金区分は、軽自動車・普通車・中型車・大型車・特大車の五段階である。
料金は、初乗り料金は無く、普通車は40円/km(税込42円/km)で、50円単位に切り捨てとなるようである(詳細不明)。
圏央道は高速自動車国道ではなくあくまでも一般有料道路なので、通行料金も全国プールではなく個別採算制である。そして単価が40円/kmと、高速道路よりもかなり高い。この価格は、過激派による激しい妨害活動の影響を、色濃く反映したものともいえる。
ETCを用いれば、常に何らかの割引が適用される。
特徴 |
車線数 |
車線数は片側2〜3車線程度と見られる。
現共用区間における車線数は次のとおり。
連絡する主な道路 |
路線名が()で囲まれているものは、圏央道、または接続先の道路が未完成であるもので、今後連絡予定の道路である。これらについては、IC/JCT名は原則として仮称。
トンネルや橋 |
経由する自治体 |
予定地域含む。
インターチェンジなど |
具体的なIC等は次のとおり。未開通の区間のIC番号は未定である。?が附された番号は、未開通等の理由により、予想の域を超えないものである。
国道16号横浜横須賀道路金沢支線 |
国道468号首都圏中央連絡自動車道(高速横浜環状南線) |
国道468号首都圏中央連絡自動車道(高速横浜環状南線戸塚支線) |
国道468号首都圏中央連絡自動車道(横浜湘南道路) |
国道1号新湘南バイパス |
国道468号首都圏中央連絡自動車道(さがみ縦貫道路) |
国道468号首都圏中央連絡自動車道(都県境〜関越) |
国道468号首都圏中央連絡自動車道(関越〜東北) |
この間未供用 (2015(平成27)年度供用開始予定)
この間未供用 (2015(平成27)年度供用開始予定)
この間未供用 (2015(平成27)年度供用開始予定)
国道468号首都圏中央連絡自動車道(東北〜常磐) |
この間未供用
この間未供用
この間未供用
国道468号首都圏中央連絡自動車道(常磐〜千葉東金) |
ここから未供用
ここまで未供用
国道126号千葉東金道路(二期) |
国道468号東京湾横断・木更津東金道路(東金〜木更津) |
道路は東京湾アクアライン連絡道へ直結される。
建設状況 |
ブロック |
圏央道は、大きく、次の3ブロックに分けられる。
神奈川県内 |
神奈川県内は、次の5つの道路に分けられている。
横浜横須賀道路金沢支線の並木ICを起点とし、横浜横須賀道路の釜利谷JCTを経由して高速横浜環状南線として栄IC/JCT(仮称)まで伸び、横浜湘南道路として藤沢IC(仮称)まで伸びる。
そして新湘南バイパスとして茅ヶ崎JCTまで伸び、以降は都県境までさがみ縦貫道路となり、海老名南JCTで新東名高速道路、海老名JCTで東名高速道路と接続し、都内に入る。
横浜横須賀道路金沢支線と新湘南バイパスは開通した。
それ以外の区間は鋭意建設中または計画中である。
茅ヶ崎JCT〜海老名JCTは2010(平成22)年度の予定だったが、神奈川県高座郡寒川町などで交渉中の土地が約十ヶ所残ったため、2012(平成24)年度に延期すると発表された。発表によると、約96%の用地を取得できたとされている。
2002(平成14)年9月、橋脚工事現場(高座郡寒川町一之宮地先)より、旧相模海軍工廠で製造された思われるビール瓶入りの毒ガス兵器が出土し、作業員が被災した。
発掘された毒ガス兵器は次のとおり。
やむを得ず建設工事は一時中断、機械掘削および人力掘削によりビンの回収が行なわれた(2003(平成15)年10月23日〜2004(平成16)年3月26日)。
同時に掘削残土仮置き場(田端地区)に無害化処理設備、ようするに化学プラントが建設され、2004(平成16)年4月27日から汚染残土の無害化処理を開始、2004(平成16)年5月7日〜2004(平成16)年8月22日にかけ危険物等の無害化処理を開始し、建設工事は再開された。
なお、毒ガスそのものは化学処理、瓶は焼却処分によって無毒化され、土壌は加熱処理で化学剤を揮発させ無毒化、揮発した化学剤は収集し加熱分解により無毒化された。
神奈川県相模原市緑区葉山島(旧・津久井郡城山町葉山島)には、国有地や私有地に捨てられた、不法投棄残土の山がある。
この地域を含む、相模原愛川IC〜高尾山IC区間の14.7kmは2007(平成19)年供用目標だったが、この問題により、用地買収さえできない状態に陥った。
谷の残土量は約400荳m3とも言われており、全て取り除くためには数百億円の費用が必要とされた。しかも単に残土を積んだだけの地盤のため、トンネル掘削にも適していない。
本来は橋を架ける予定だったが、検討の結果、2008(平成20)年6月13日、残土で埋まった谷底から約10m下の自然地盤にトンネルを通す構造に計画変更することを決定した。この方法が最も安価で、事業費約270億円、工期も3年11ヶ月で済むことが分かり、採用を決定した。
また、残土は安定しているため、県は撤去しない方針を表明した。
相模原愛川IC〜高尾山ICの区間は、2014(平成26)年6月28日に無事開通した。
都内(県境〜中央〜関越) |
都県境〜中央道(八王子JCT)〜関越道(鶴ヶ島JCT)が、この区間である。
開通順序だけで考えると、次の区間に分けることができる。
都内では、高尾山の東側をトンネルで通り、高尾山ICで八王子南バイパスと接続(計画線)する。そして八王子JCTで中央道と接続する。
あきる野ICから日の出ICを経て、鶴ヶ島JCTで関越自動車道に接続する。
圏央道の中央道〜関越道区間は、中央道と関越道が首都高速を介さずバイパスされる、初の自動車専用道路の開通であった。東北・北関東エリアと名古屋以西の移動に首都高速を使う必要がなくなり、首都高の混雑緩和が期待される大工事だった。
それだけに、どんな手を使ってでも日本の発展を阻害せんとするプロ市民からの妨害も激しく、極めて難産な道路となった。
都内区間のうち、高尾山より北側部分である。
中央道(八王子JCT)と関越道(鶴ヶ島JCT)を結ぶ区間のうち、東京都内が、この区間である。
日の出IC〜青梅ICは2002(平成14)年3月29日、あきる野IC〜日の出ICは2005(平成17)年3月21日、そして八王子JCT〜あきる野ICも2007(平成19)年6月23日に開通した。
当初この区間は2002(平成14)年度中の完成を目指していたが、プロ市民の徹底した妨害活動により工事が難航し、予定より5年も遅れての開通となった。
中央道から北しばらくは山が連なるため、八王子城跡トンネルなどが掘削された。これらは難工事となり、工事には遅延が生じた。
また、地上部には幾つかICが作られたが、これらはプロ市民が妨害のため立ち退かないため、土地強制収用の行政代執行も行なわれている。
かくして、区間により、遂に中央道と関越道の区間が結ばれることになったのである。
あきる野IC付近で土地収用されたプロ市民らが、収用の取り消しを求め、東京地裁で訴訟を起こす。
一審の担当は、民事で珍判決を連発している札付きの裁判官、藤山雅行裁判長で、事前の予想通り、プロ市民勝訴、国敗訴であった。
曰く、
騒音被害や大気汚染が予想され、交通渋滞の緩和も具体的な裏付けを欠く。
事業の必要性は低く、事業によって得られる公共の利益の判断の過程には、社会通念上見逃せない過誤欠落があり違法だ。
として事業認定を取り消し、更に収用裁決も「事実認定の違法が承継される」として取り消した。
控訴審の2006(平成18)年2月23日、東京高裁の大喜多啓光裁判長は事業認定と収用はいずれも適法と判断し、一審判決を取り消し、請求を棄却するプロ市民側逆転全面敗訴の判決を言い渡した。
高裁の判決は事前の予想通りであり、一審判決以降も工事は順調に進められている。
そして2007(平成19)年4月13日、最高裁第二小法廷(津野修裁判長)は、プロ市民側の上告を棄却し、もってプロ市民が逆転敗訴した二審・東京高裁判決が確定した。
都内で最後に残った障害拠点は、八王子市の高尾山周辺だった。
高尾山IC〜八王子JCTの高尾山トンネル区間は東京のプロ市民の妨害活動最後の砦となり、訴訟を含めて徹底抗戦の構えで妨害活動が繰り広げられた。
山の北、八王子JCT以北が完成してしまって以降、プロ市民は南進を進め、山の南側の建設妨害に邁進している。
工事差し止めの訴訟は2000(平成12)年10月に、東京地裁に提訴された。プロ市民らは「高尾山天狗裁判」と称している。原告団は、プロ市民約1,300人とプロ市民団体7団体(自称 自然保護団体)である。
この裁判は当初、高尾山、ムササビ、大鷹なども原告に加えられていたが、地裁支部は「自然物には当事者能力がない」として訴えを却下したため、プロ市民のみが原告となっている。
それでも、問題の藤山雅行裁判長は既に移動となっており原告敗訴は確実と考えられ、工事はそのまま継続された。
一審判決は2007(平成19)年6月15日に東京地裁八王子支部であり、プロ市民敗訴、国勝訴の判決であった。判決の理由として押切瞳裁判長は、次のように述べた。
大気汚染、騒音などで住民らに具体的危険が生じるおそれを認めるに足る証拠はない。建設には公益性が認められる。
プロ市民は控訴を表明したが、覆る可能性は低いと見られ、建設工事は休まず続けられた。
控訴審の2008(平成20)年6月19日、東京高裁(民事十四部)の西田美昭裁判長は、トンネルに沿って地下水が流出し地下水位や河川水にも影響を与える可能性は指摘したものの「深刻な影響をおよぼすとまでいうことはできない」としてプロ市民敗訴、国勝訴の判決を下した。
プロ市民は上告を表明したが、覆る可能性は低いと見られ、建設工事は休まず続けられた。
そしての2009(平成21)年11月13日、最高裁第二小法廷(今井功裁判長)は、プロ市民側の上告を棄却し、もってプロ市民が敗訴した一審・二審判決が確定した。
高尾山IC〜八王子JCTの2.2km区間では現在、様々な妨害活動を繰り広げている。この区間はトンネルであり、トンネル南側の南浅川地域で土地トラスト1件、北側の裏高尾地域で立木トラスト1件などがある。いずれも2006(平成18)年12月に土地収用法の手続きに入っている。
そして、高尾山トンネルの掘削工事は2007(平成19)年5月28日から、高尾山IC(当時はまだ仮称「八王子南IC」)側より開始された。
朝8時前よりプロ市民約30人(報道による)がゲート前に集まり、工事の妨害をしようとしたものの、この日までに既に掘削機器は搬入が終わっていたためゲートからの出入りはなかった。現場も、プロ市民の扱いに相当手慣れてきたようである。
プロ市民は現場責任者に工事の説明を要求、そして約1時間に渡り工事中止を求める妨害活動を繰り広げた後、抗議書を現場責任者に突きつけ、「高尾山にトンネルは掘らせないぞ」「工事をすれば天狗様のたたりがあるぞ」などとシュプレヒコールを上げて解散したとされる。
プロ市民団体は2007(平成19)年6月19日、都県境に掘削中の城山八王子トンネル(仮称)の影響で地元の沢が枯れたとして、国に工事に伴う地下水データの提供と、実態説明を要求した。
また、八王子城跡トンネルの影響で地下水の低下が起こっているとし、水環境の原状回復や高尾山トンネルの工事中止などを要求した。
八王子JCT以北の阻止に失敗した活動家は、南進を進めているのである。
プロ市民473人は、トンネル建設妨害のために高尾山トンネル南口付近の約30m2に木製デッキを建設した。
そして、2008(平成20)年11月18日、遂に道路法に基づく行政代執行に乗り出し、このデッキの撤去が開始された。圏央道建設で、行政代執行はこれが初めてである。
2008(平成20)年11月18日09:00(@041)、国交省相武国道事務所の職員は、前日夜から泊まり込んでいたプロ市民に対し、デッキ前で代執行を宣言した。
次いでプロ市民は、土地収用法に基づく事業認定について取り消しを求める訴訟を提起。
プロ市民らは、高尾山の自然を破壊するとして国の事業認定などの取り消しを求めたが、2010(平成22)年9月1日、東京地裁(八木一洋裁判長)は訴えを全面的に退けた。
都内区間最南端のICとなる高尾山ICから、高尾山トンネルを通り八王子JCTまでが2012(平成24)年3月25日、遂に開通した。
これによって、圏央道 都内区間の全ICが開通したことになる。
国民はテロに屈することなく、テロに勝利したのである。
東側区間(関越道〜東北道〜常磐道以東) |
現在、共用中の区間は次の通り。
まだ供用されていない区間は、次の通り。
この東側区間であるが、ここは色々と問題含みのようである。例えば東北道と常磐道の間は、当初の予定よりも大きく北に迂回、5kmも遠まわりすることになった。
これは元建設大臣の中村喜四郎(ゼネコン汚職事件で斡旋収賄に問われ一審有罪)が地元の境町を通すために、建設族議員の力で強引に変えさせたのだそうである。
東金IC/JCT〜茂原長南IC(L=約22km)が2012(平成24)年度の供用開始を目指していた。
しかし用地取得が難航したため、国交省が土地収用法に基づく事業認定の告示を2010(平成22)年9月9日付で行なった。事業認定を受けたため、県収用委員会が審理をする収用手続きに入れるようになった。
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