沃素134
読み:ようそ-ひゃくさんじゅうよん
外語:134 I

 沃素(ヨウ素)の同位体の一つで、放射性沃素の一つ。「ヨウ素134」とも。
目次

情報

概要
 天然には存在しない同位体である。
 核分裂により直接生成するものもは殆どない。原子炉中においても生成されるようだが、どのように生成されるのかは定かではない。
 半減期は約53分と短く、β崩壊崩壊)し、電子(β粒子)と反電子ニュートリノ( ̄(ν)e)を放出して、キセノン放射性同位体であるキセノン134(134Xe)になる。
 その後キセノン134は、2β崩壊して、バリウムの安定核種である134Baになる。

特徴

放射能
 放射性同位体であるため、放射線を放っている。
 半減期は約53分と非常に短い。

毒性
 毒性自体は、安定同位体の沃素127と同じ。沃素の単体は、毒物及び劇物取締法により劇物に指定されている。
 沃素134は、日常では原子力発電所の事故などで放たれることが多い。
 甲状腺がんなどを引き起こす可能性は、同様によくある放射性同位体、沃素131と同様と見込まれる。

生体への影響

換算
 科学技術庁告示第五号 平成十二年科学技術庁告示第五号(放射線を放出する同位元素の数量等)における、沃素134の実効線量係数(ミリシーベルト/ベクレル)は、次のとおりである。
 つまり10,000ベクレルを経口摂取した時の実効線量は0.0011ミリシーベルト(1.1マイクロシーベルト)である。

食べたとき
 仮に露地栽培の野菜等に付いたとしても、半減期が非常に短いことから、消費者の口に入る頃には原子炉由来の沃素134の危険性は全くなくなっている。
 また実効線量は、沃素131の1/200程度しかない。
 後述するように何億ベクレルも付着していない限り、食に関して安全性を脅かす可能性は低いだろうし、こんな強烈な放射線を放った野菜が出荷されることはないので、心配することはない。

事故
 福島第一原子力発電所の事故に際し、放水後に2号機にたまったに含まれる沃素134の濃度は、何と1cm3(=1cc)あたり約29億ベクレルと発表され、世の度肝を抜いた。
 これが事実だとして、参考までに29億ベクレルの「アレゲな水」1cm3を仮に飲んだときの被曝量は、何と319ミリシーベルトである。非常に危険である。致死量を8シーベルトとするなら、理論上は25cm3で致死量を達成できる(体内被曝と体外被曝は違うので、あくまで参考値)。
 しかし、東京電力の発表を聞いた原子力安全委員会は「通常あり得ない物質の出かた」として再分析を要請、同じサンプルを東京電力が再調査したところ、違う物質と取り違えた誤りと判明した。当初は半減期が長いコバルト56の誤りの可能性が高いとしていたが、再検証の結果、より半減期の長いセシウム134だったことが判明した。半減期が長く放射線量が少ないため、実際は29億ベクレルなどということはなく、もっと数値は少ない。ただ、正確には何ベクレルだったのかは発表がなかったようである。

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