沃素134
読み:ようそ-ひゃくさんじゅうよん
外語:134 I
沃素
(ヨウ素)の
同位体
の一つで、
放射性沃素
の一つ。「ヨウ素134」とも。
目次
情報
概要
特徴
放射能
毒性
生体への影響
換算
食べたとき
事故
情報
記号:
134
I
原子番号
: 53
質量数
: 134 (
陽子
53、
中性子
81)
天然存在比: なし
半減期
: 約53分
比放射能
: 9.77×10
17
(97京7000兆Bq/g)
比放射能の逆数: 1.02×10
−18
崩壊
の種類:崩壊後生成物
β崩壊
(β
−
崩壊) →
134
Xe
主な由来
235
U
(核分裂)
核分裂生成物
由来
概要
天然には存在しない同位体である。
核分裂
により直接生成するものもは殆どない。
原子炉
中においても生成されるようだが、どのように生成されるのかは定かではない。
半減期は約53分と短く、
β崩壊
(β
−
崩壊)し、
電子
(β粒子)と
反電子ニュートリノ
( ̄(ν)
e
)を放出して、
キセノン
の
放射性同位体
であるキセノン134(
134
Xe)になる。
その後キセノン134は、2β
−
崩壊して、バリウムの安定核種である
134
Baになる。
特徴
放射能
放射性同位体
であるため、
放射線
を放っている。
半減期は約53分と非常に短い。
毒性
毒性自体は、
安定同位体
の沃素127と同じ。沃素の
単体
は、毒物及び劇物取締法により
劇物
に指定されている。
沃素134は、日常では原子力発電所の事故などで放たれることが多い。
甲状腺がんなどを引き起こす可能性は、同様によくある放射性同位体、
沃素131
と同様と見込まれる。
生体への影響
換算
科学技術庁告示第五号 平成十二年科学技術庁告示第五号(放射線を放出する同位元素の数量等)
における、沃素134の実効線量係数(ミリシーベルト/ベクレル)は、次のとおりである。
吸入摂取した場合 (蒸気) 1.5×10
−7
吸入摂取した場合 (沃化メチル) 5.0×10
−8
吸入摂取した場合 (沃化メチル以外の
化合物
) 7.9×10
−8
経口摂取した場合 (沃化メチル以外の化合物) 1.1×10
−7
つまり10,000
ベクレル
を経口摂取した時の実効線量は0.0011
ミリシーベルト
(1.1マイクロシーベルト)である。
食べたとき
仮に露地栽培の
野菜
等に付いたとしても、半減期が非常に短いことから、消費者の口に入る頃には原子炉由来の沃素134の危険性は全くなくなっている。
また実効線量は、
沃素131
の1/200程度しかない。
後述するように何億ベクレルも付着していない限り、食に関して安全性を脅かす可能性は低いだろうし、こんな強烈な放射線を放った野菜が出荷されることはないので、心配することはない。
事故
福島第一原子力発電所の事故に際し、放水後に2号機にたまった
水
に含まれる沃素134の濃度は、何と1cm
3
(=1
cc
)あたり約29億ベクレルと発表され、世の度肝を抜いた。
これが事実だとして、参考までに29億ベクレルの「
アレゲ
な水」1cm
3
を仮に飲んだときの被曝量は、何と319
ミリシーベルト
である。非常に危険である。
致死量
を8シーベルトとするなら、理論上は25cm
3
で致死量を達成できる(体内被曝と体外被曝は違うので、あくまで参考値)。
しかし、
東京電力
の発表を聞いた原子力安全委員会は「通常あり得ない物質の出かた」として再分析を要請、同じサンプルを東京電力が再調査したところ、違う物質と取り違えた誤りと判明した。当初は半減期が長いコバルト56の誤りの可能性が高いとしていたが、再検証の結果、より半減期の長い
セシウム134
だったことが判明した。半減期が長く
放射線量
が少ないため、実際は29億ベクレルなどということはなく、もっと数値は少ない。ただ、正確には何ベクレルだったのかは発表がなかったようである。
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