クォーク
読み:クォーク
外語:quark

 物質の元となる素粒子の一種。対し、クォークを持たない物質の元となる素粒子はレプトンである。
目次

概要
 現在はバレンスクォークシークォークという二種類の存在が知られ、一般に単にクォークと呼んだ場合はバレンスクォークをいう。
 バレンスクォークはハドロンを構成するものであり、2個で中間子(メソン)、3個でバリオンが作られる。
 以下はバレンスクォークについて述べる。

特徴

由来
 アメリカの物理学者マレー・ゲル=マン(Murray Gell-Mann)により、ハドロンの内部は三つの素粒子で構成される、とする仮説を打ち出したのが由来である。
 quarkの名も彼の発案である。ジェイムズ・ジョイス著の小説「フィネガンズ・ウェイク」(Finnegans Wake)で、鳥がquarkと3回鳴いたというところから、この名が取られたとされる。

6種類
 クォークは現在6種類(2種類ずつ3世代)の存在が確認されている。
 全てのクォークはフェルミ粒子でスピン量子数は1/2であり、フェルミ・ディラック統計に従う。そしてパウリの排他原理が適用される。
 但し、クォークで作られる素粒子(クォーク単体ではないもの)は、また性質が異なってくる。

世代と電荷
 クォークは3世代あり、各世代は2種類ある。
 アップ・チャーム・トップ(u‐c‐t)には2/3e、ダウン・ストレンジ・ボトム(d‐s‐b)には−1/3eの電荷が存在する。
 これらは、質量が軽い方から順に並べて、二つずつ組にすると都合が良かった、という程度の分類法で、なぜ世代というものが存在するのかは今なお理論から導かれていない。

色荷
 クォークには色荷(カラー)と呼ばれる、3種類の電荷のようなものが存在し、R()、G()、B()の3色で呼ばれる。
 そのため、場の量子論(量子場の理論)は量子色力学と呼ばれることもある。
 但し、ここでいうカラーとはいわゆる目に見える色とは全く関係が無く、光の3原色になぞらえて考えると分かりやすいという理由で命名されているだけのものである。
 従って、ヌ色、ル色、ポ色、でも構わないのだが、学術用語というのは特に「コンセンサスが得られているかどうか」が重要であるため、RGBという呼び方は当分変更が無いと見られる。科学雑誌などでも、分かり易くするために図はRGBで色分けする例が多い。

質量
 クォークにも質量がある。正確な質量については、現在も鋭意測定中である。質量は、軽い順に次のとおり。2007(平成19)年度版理科年表を元に、最新の情報を加えた。単位は電子ボルトで表わす。

半径
 クォークの半径はまだ定かになっていない。
 標準理論では、実験的な大きさ(形状因子)の上限しか分かっておらず、結果として、クォークの半径Rは、次のように定義されている。
 R ≦ 0.67×10−18m
 上限なので、実際はこれよりも小さい。
 なお、大統一理論が要求する陽子崩壊が実際に起こるためには、クォーク自体がごく短距離に接近する必要があり、それはつまりクォークがそれよりも小さい、点状粒子であることが要求されている。
 クォークが、非常に小さくなければ、陽子崩壊は起こらない。

素粒子

物質
 クォークから作られる素粒子には、次のようなものがある。
 また素粒子ではないが、クォークで出来た天体クォーク星」というものも見つかっている。

バリオン
 バリオンは、R+G+Bで無色になった粒子である。
 陽子(uud)や中性子(udd)などがある。
 理論上は、総クォーク数-総反クォーク数が3であれば、存在が許される。

中間子
 中間子(メソン)はR+反R、G+反G、B+反Bで無色になった粒子である。π中間子K中間子などがある。
 このほか、クォークと反クォークが各n個、計2n個から成る中間子の存在も明らかとなっている。

ペンタクォーク
 大阪大学核物理研究センターは、2003(平成15)年7月1日、大型放射光施設(SPring-8)にてクォークが5つの新粒子、つまりペンタクォークを発見したと発表した。
 この新クォークは1個の反sクォークと2個ずつのu、d クォークの計5個のクォークから構成されており、理論物理学者ドミトリーらが予言したΘ+粒子に極めて近いものと予測されている。

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