バリオン
読み:バリオン
外語:baryon

 静止質量が核子以上の粒子のこと。日本語では「重粒子」という。
目次

概要

構造
 バリオンは、一般に三つのクォークからなるハドロンである。
 現在までに見つかっているものは全てそうだが、理論上は、総クォーク数-総反クォーク数が3であれば、存在が許される。

核子
 最も一般的でありふれたバリオンは、アップクォークダウンクォークのみからなる核子であり、陽子中性子がある。
 また、これら以外にも様々な、不安定なバリオンの存在が知られる。特に、静止質量が核子より重いものは、「重核子」「超核子」などと呼ばれる。

特徴

スピン
 全てのバリオンはフェルミ粒子で、スピン量子数は半整数(1/2、3/2、5/2…)であり、フェルミ・ディラック統計に従う。
 パウリの排他原理が適用される。

色荷
 クォークにはそれぞれ、三種類の色荷と呼ばれる電荷のようなものが存在する。それぞれ、R()、G()、B()と命名されている。
 この三色のクォークを集めると、光の三原色と同様に白色の状態になる。これは色を持たない、色力線を外部に及ぼさない状態であり、周囲に強い力を及ぼさない安定な状態となる。このようにクォーク3個で出来た白色の状態をバリオンと言うのである。
 なお、ここでいうカラー、色とはいわゆる目に見える色とは関係が無く、光の3原色になぞらえて考えると分かりやすいという理由で命名されている。
 従って、ヌ色、ル色、ポ色、でも構わないのだが、学術用語というのは特に「コンセンサスが得られているかどうか」が重要であるため、RGBという呼び方は当分変更が無いと見られる。科学雑誌などでも、分かり易くするために図はRGBで色分けする例が多い。

バリオンの種類

分類
 バリオンはスピン量子数で分けることができる。
 今のところ、1/2と3/2が発見されているようである。

世代

電荷
 クォークは分数の電荷を持っており、そしてこの電荷を世代という。
 アップ・チャーム・トップ(u‐c‐t)には2/3e、ダウン・ストレンジ・ボトム(d‐s‐b)には−1/3eの電荷が存在するため、組み合わせにより1/3ずつ電荷が変化することになる。
 世代が上がるごとにその質量は急激に上がり、同時に安定性が急激に下がる。

第1世代
 第2世代以上のクォークは重く、すぐに崩壊してしまうため、身の回りの普通の物質は第1世代のクォーク(uとd)で出来ている。
 陽子(uud)は2個のu(アップ)クォークと1個のd(ダウン)クォークから出来たバリオンであり、また中性子(udd)は1個のuクォークと2個のdクォークから出来たバリオンである。
 また、「Δ粒子」もuとdのみから作られている。

第2世代以上
 第2世代のクォーク(cとs)、第3世代のクォーク(tとb)で出来たバリオンは、日常の物質には無い。
 複数の世代のクォークを含むバリオンもあれば、その世代のみで作られるバリオンもある。
 「Σ粒子」「Ξ粒子」「Ω粒子」などが該当するが、それぞれs(ストレンジ)クォークを1個、2個、3個含んでいる。特殊なものとして、このうちの一つ以上のsが同世代のc(チャーム)に置き換わったものも知られている。

主なもの
 既知のものを、グループごとに分けて以下に示す。

対応表
 既知のものを、対応表として以下に示す。
 基本的には「udcstb」の順に書かれるため、それ以外の順になる所は埋めてある。

スピン1/2
uudcs t  b 
u 
d陽子中性子
cΣc++Λc+c+Ξcc++
sΣ+Λ,Σ0Ξc+Ξ0
t     
b Λb0    
dudcstb
u
d 
cΣc0Ξcc+
sΣΞc0Ξ
t     
b    
cudcstb
u
d
c 
sΩcc+Ωc0
t   
b    
sudcstb
u
d
c
s 
t  
b   
tudcstb
u
d
c
s
t 
b  
budcstb
u
d
c
s
t
b 

スピン3/2
uudcs t  b 
uΔ++
dΔ+Δ0
cΣc++Σc+Ξcc++
sΣ+Σ0Ξc+Ξ0
t     
b      
dudcstb
u
dΔ
cΣc0Ξcc+
sΣΞc0Ξ
t     
b    
cudcstb
u
d
cΩccc++
sΩcc+Ωc0
t   
b    
sudcstb
u
d
c
sΩ
t  
b   
tudcstb
u
d
c
s
t 
b  
budcstb
u
d
c
s
t
b 

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