電子ボルト
読み:でんしボルト
外語:eV: electron volt
エネルギーの単位の一つ。物理学では、素粒子の質量を表わす単位としても使われる。
概要
1Vの電位差がある自由空間(=電場)で、電子一個が得られる(加速される)エネルギーを1とする単位。
記号は「eV」を使う。
実際には、k(キロ)、M(メガ)、G(ギガ)程度までのSI接頭語を付けて使われることが多い。
特徴
定義等
特殊相対性理論により、質量とエネルギーは可換であるため、量子論の分野では質量の単位、時に温度の単位として使う。
E=mc2なので、m=E/c2で質量に換算できるのである。従って、素粒子などのスケールの話では、質量はおおむねeVで書かれている。
国際単位系ではエネルギー・仕事量・熱量の単位は「ジュール」を使うが、次のように定義される(括弧内の2桁は標準不確かさ)。
- 1eV=1.602 176 565(35)×10−19J (2010年CODATA推奨値)
- 1eV=1.602 176 462×10−19J (2009年度版理科年表)
- 1eV=1.602 176 634×10−19J (SI第9版)
現在は、SIの定義が使われている。
物理学
この単位は、X線より高エネルギー(短波長)の電磁波のエネルギーを表わすときによく使われている。
素粒子物理学の世界では、前述のように素粒子の質量をeVで表わしたり、あるいは温度を表わすのに用いる。
可視光
電磁波の例では、波長λをnm単位、エネルギーEをeV単位で表わすと、E=1240/λの関係がある。
すなわち可視光線の光子は1.6〜3.2eVのエネルギーを持つことになる。
電気製品に多用されている発光ダイオード(LED)が僅か数ボルトの電圧で発光するのは、このような理由による。
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