MIDI
読み:ミディ
外語:MIDI: Musical Instruments Digital Interface
電子楽器同士を接続するための共通インターフェイス。
目次
概要
規格
インターフェイス
特徴
結線
IN/OUT/THRU
物理層
プロトコル
階層構造
通信方式
データの内容
チャンネル
音色
補足
USB
mLAN
概要
規格
電子楽器、音源、
電子計算機
などを相互に接続するために使われる。
日本では、JIS X 6054、標題「電子楽器ディジタルインタフェース(MIDI)」として規定されている。二部構成で、最新版は「JIS X 6054-1:1999」と「JIS X 6054-2:1999」。
インターフェイス
MIDIはあくまでもインターフェイスのみを差す。
MIDIという規格には、
楽器
そのものや、
音源
そのものは含まれない。
電子計算機の音楽でよく使われる音源装置は一般にDTM音源などと呼ばれ、インターフェイスとは区別されている。
特徴
結線
IN/OUT/THRU
MIDI楽器にある
コネクター
の名称は、次の三種類のみである。
MIDI IN
(入力)
MIDI OUT
(出力)
MIDI THRU
(入力をそのまま出力)
そのままの名称なので、余計な混乱は不要と思われる。
INとOUTが別個にあることからも分かるように、MIDIの信号はバスではなく一方的に流れるだけであり、MIDI OUT/THRU→MIDI INのようにのみ接続する。だが、MIDIで使うケーブルは一種類しかない。このため余計な混乱はない。装置側は常に「メス」、ケーブルは両端が常に「オス」である。
このようにして、例えば鍵盤同士を接続してMIDI OUT側の鍵盤を弾けば、MIDI OUT側が(音源内蔵であれば)鳴り、MIDI INされた側も(音源内蔵であれば)同時に鳴る、ユニゾン演奏となる。
物理層
MIDIケーブルの物理層には、5ピンのDINコネクターを使用する。
誤挿し防止の突起を上にして時計の12時とすると、信号ピンは3時、4時半、6時、7時半、9時の位置にある。ピン番号は、3時から時計回りに順に、1ピン、4ピン、2ピン、5ピン、3ピン、となる。そして、ケーブル側がオス、楽器側がメスとなる。
DIN自体は汎用規格だが、MIDIにおいて実際に使われているのは中央の3ピンのみで、左右の各1ピンは未使用である。このため、いわゆるMIDIケーブルは3本しか結線されていないことがある。
1ピン ‐ 未使用
4ピン ‐ 信号
2ピン ‐ GND (MIDI OUTが接地する)
5ピン ‐ 信号
3ピン ‐ 未使用
電気的には、データの状態を
電流
の有無で表わす、5mAのカレント・ループ(電流ループ)方式である。送信側は、4ピンから5ピンに対して電流を流す。受信側はそれをオプトアイソレータ(
フォトカプラー
)で取り出す。なお、2ピンはグランドで、必要に応じて
信号線
のシールド線を接続する。
負論理であり、電流が流れている時=論理0として設計されている。
MIDI OUTを作ることは需要があるが、これも簡単で、古くは
RS-232C
(
EIA-574
)→MIDIがパーソナルコンピューターで良く使われた。作成する場合、
ダイオード
と
抵抗器
を介して
電流
-
電圧
変換をする必要がある。
また電子工作でも
PIC
などを使って簡単に作ることができる。4ピンは抵抗器を介して5Vに、5ピンは抵抗器を介してPICのI/Oポートに繋げれば、あとはプログラムを書くだけで出力できる。
プロトコル
階層構造
MIDIを、
OSI参照モデル
に対応させると、次のようになる。
物理層
MIDIケーブル (最近では
USB
や
IEEE 1394
なども使われる)
データリンク層
31.25kbps、シリアル通信
ネットワーク層
基本的にブロードキャストのみ
トランスポート層
(特になし)
セッション層
ACK
などは戻さず、非同期で一方的に送りつける
プレゼンテーション層
いわゆるMIDIのデータ
命令は不定長で、命令+
パラメーター
で構成される
アプリケーション層
シンセサイザー
演奏者
通信方式
MIDIは5ピンの
DINコネクター
により、シリアルでデータを送受する。
仕様は次の通り。
速度 ‐ 31.25kbps(MIDI標準)、38.4kbps(シリアルMIDI)
方式 ‐
全二重
(ケーブル1本は
単向
だが、二本用いる)
同期 ‐ 調歩同期(
非同期
)
データ長 ‐ 8ビット
スタートビット ‐ 1ビット
ストップビット ‐ 1ビット
いわゆる「N81」である。パリティチェックなどはない。
データは8ビット長で、MSB(ビット8)が0で「データバイト」、1で「ステータスバイト」とする。つまり、1バイトで表現可能なデータは7ビット分、0〜127(0x00〜0x7f)となる。
データ自身はパケットを単位として送受信が行なわれる。
データの内容
MIDIで伝送されるデータは、音の「波形」
ではない
。
「音の高さ(ピッチ)」「音の強さ(ベロシティ)」「音色」、「その他の機能」に番号を付け、その番号を転送する方式である。情報は0から127の範囲である。
鍵盤を叩けば、叩いた鍵に対応するピッチとベロシティが出力される。鍵盤を離せば、音の強さ(ベロシティ)=0となり、音は止まる。
また音色(楽器音)の変更のための「プログラムチェンジ」、ピッチの上下を行なう「ピッチベンド」、あるいはピアノのフットペダル相当の機能など、様々な情報を送受信する「コントロールチェンジ」といった機能がある。
これらの信号は全て規格化されているため、MIDI機器同士であれば、メーカーなどを問わずに接続して用いることができる。
データ値と機能については「
GM
」を参照。
チャンネル
MIDIでは、チャンネルと呼ばれる概念がある。
一つのインターフェイスで16チャンネルが用意されており、それぞれで異なる信号を扱うことができる。
例えば、チャンネル1ではピアノ、チャンネル2でギター、といったように楽器音を変え、それぞれで異なる演奏をすることが可能となっている。
SC-88のような装置では、MIDI INを二つ用意することで32チャンネルに対応させている。
音色
MIDIの情報は0から127の128種類だが、楽器音も同様である。
基本的な音色は128種類あり、番号と音色の対応は「
GM
」という標準仕様が存在する。
実際には、更に
バンク切り替え
という方法で音色の拡張が可能で、次のような拡張仕様が存在する。
GS
(
ローランド
)
XG
(
ヤマハ
)
GM2
これらは、互いに互換性がない。
なお、プログラム番号は1から128で呼ぶ習わしで、実際にケーブルを流れる情報と1つ値が変わる。注意が必要である。
補足
USB
MIDIの仕様は殆ど変更がなく、長く使われている。現在でも標準であり、広く使われている。
しかし、電子計算機(
パーソナルコンピューター
など)で扱うには、色々と不便があった。
MIDIへの変換装置が必要
16チャンネルでは足りない
そもそも速度(31.25kbps)が遅い
電子計算機で楽器を鳴らす場合、DTM音源の多くのチャンネルを使って大量のデータを流すような用途が少なくない。このため通信速度が足りずに「もたる」と呼ばれる現象が発生したり、のみならず「取りこぼし」なども起こった。
その解決として、DTM音源などではMIDIの端子の他にUSBを搭載している。
MIDIより遥かに高速で、接続も簡単である。但し、
デバイスドライバー
が必要となり、利用可能なオペレーティングシステムが制限されるという弱点がある。
mLAN
ヤマハ
の提唱する音楽用
LAN
。
IEEE 1394
を利用する。
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