RS-232C
読み:アーエス-にーさんにスィー
外語:RS-232C: Recommended Standard 232C

 不平衡シリアル転送の物理層インターフェイス仕様の代表。アメリカ電子工業会(EIA)が、DTEDCEとの接続条件として定めた。
目次

概要

インターフェイス
 古くからある、シリアル通信用のインターフェイスの一つである。
 コンピューターと周辺機器の間を一対一で結ぶ信号経路のことを「ポート」ということから、これは古くから「シリアルポート」とも呼ばれた。
 規格上はDB25(D-Sub 25ピン)が使用される。
 25ピンは大きすぎるため、パーソナルコンピューター(PC)では9ピンが使われ、これは後にEIA-574として規格化された。
 また、Cisco SystemsのルーターではRJ-45を使っている。

機能
 規格上はケーブル長最大約15mで、最高速度20kbpsとなっているが、現実にはそれ以上の高速通信にも使われている。
 同じシリアル通信の姉妹品にRS-422がある。
 RS-232Cの規格は同期通信と非同期通信に対応するなど幅広く、一般の通信ソフトウェアが使用するのはごく一部の機能に過ぎない。特に非同期で使用しているうちは、機能の半分も利用していない。

規格化の歴史
 一般にRS-232Cと呼ばれて広く普及しているが、RSは厳密には規格ではない。
 RS-232Cは後にITU-TのV.23/V.28や、ISO 2110との整合性をとるための拡張が行なわれ「232-D」となり、更にフロー関係の見直しをされ「232-E」になり、さらに「232-F」となった。
 現在の正式な規格名は、ANSI/EIA/TIA-232-Fという。
 日本規格はJIS X 5101(旧JIS C 6361)が該当し、規格名は「データ回線終端装置とデータ端末装置とのインタフェース(25ピンインタフェース)」である。

232E
 昔はとにかく「RS-232C」という用語ばかりであったが、いつの間にか「EIA-232E」という語も普及しているようである。
 パソコンのカタログなどを見ると、「EIA-232E準拠」などと書かれているが、現物を見るとやはり9ピンのD-subである。RS-232Cと呼ぶよりはマシではあるが、しかしEIA-232Eは25ピンの規格なので、厳密にはEIA-232Eですらない。

特徴

接続

ストレート・クロス
 RS-232Cでの接続方法にはストレート接続クロス接続があり、それぞれの場合でストレートケーブルクロスケーブルが使われる。
 具体的には、自分側の受信端子は相手側の送信端子に、自分側の送信端子は相手側の受信端子に、それぞれ繋がるようにケーブルを選択せねばならない。

ストレートを使うケース
 PCなどは通常のピン配置であるが、アナログモデムの場合はあらかじめ送受信が入れ換えられたピン配置になっている。
 このような場合は、ストレートケーブルを使って接続する。

クロスを使うケース
 PC等同士を接続する、あるいはモデム以外の配線が逆になっていない機器に接続する場合は、ケーブルで送受信を入れ換える必要がある。このような時にクロスケーブルが使われる。
 ただし、どのようにクロス結線するかは用途により様々で、市販品でも様々なものが売られていた。
 
 PC同士を繋ぐ場合、原則としては、同じ趣旨の線の送受信を入れ換えることになる。
 上記の上二つは必須で、下二つは必要に応じて行なう。
 なお不足するCD(DCD)は、DR(DSR)に繋がるものを分岐して接続することが多い。同様に不足するCI(RI)は、どうしようもないので諦める。
 資料によっては次のような結線を指定するものもあるが、趣旨の異なる信号線を入れ換えてどのようなメリットがあるのかは不明である。かなり特殊な用途と見込まれる。

信号
 RS-232Cの信号は、CMOSレベルTTLレベルではなく、俗にRS-232Cレベルと呼ばれる、独特のものを使う。

電源供給
 9ピンD-subの場合、9番ピン(CI)を用いて+5Vの電源供給に対応する機器が存在する。
 CIはクロスケーブルでは信号が不足するので結線されず、RJ-45での結線ではCI自体存在しないなど、殆ど使われていない残念な扱いをされている信号である。
 ここに5Vを流すことで電源供給する機器がある。RS-232Cレベルでは、+3V〜+15Vはスペース(0)という信号として扱われる信号の一つとなるので、未対応機器を繋いでも故障することは無いと思われる。

コネクター

25ピン端子のピンアサイン
 
 
 JIS X 5101では、受け側はD-subの25ピンのメスと規定されている。しかしPC/AT互換機の多くは本体側(受け側)がオスになっている。
 この規格はV.24及びV.28で規定されるDCEで用いられる。この規格を採用する、基本仕様を規定する次のITU-T勧告で以下の表が有効である。
 それぞれの仕様で未使用ピンはあるが、その用途を以下に統合して一覧する。なお、機能名についてはJIS X 5101による。
番号名称機能信号方向
232JISITU-T
1AAPG シャーシへの接地 
2BASD103送信データDTE→DCE
3BBRD104受信データDTE←DCE
4CARS105送信要求DTE→DCE
5CBCS106送信可DTE←DCE
6CCDR107データセットレディDTE←DCE
7ABSG102信号用接地又は共通帰線 
8CFCD109データチャネル受信キャリア検出DTE←DCE
9     
10     
11 SSF126送信周波数選択DTE→DCE
12SCFBCD122バックワードチャネル受信キャリア検出DTE←DCE
13SCBBCS121バックワードチャネル送信可DTE←DCE
14SBABSD118バックワードチャネル送信データDTE→DCE
15DBST2114送信信号エレメントタイミング(DCE)DTE←DCE
16SBBBRD119バックワードチャネル受信データDTE←DCE
17DDRT115受信信号エレメントタイミング(DCE)DTE←DCE
18LLLLB141近端ループバックDTE→DCE
19SCABRS120バックワードチャネル送信要求DTE→DCE
20 CDL108/1データセット線路接続DTE→DCE
CDER108/2データ端末レディDTE→DCE
21RLRLB140ループバック/保守試験DTE→DCE
22CECI125被呼表示DTE←DCE
23CHSRS111データ信号速度選択DTE→DCE
24DAST1113送信信号エレメントタイミング(DTE)DTE→DCE
25TMTI142試験表示DTE←DCE
 非同期通信時は、2/3/7が必要最低限結線、2/3/7/20が実用的な必要最低限結線。同期通信時は原則として全線結線させる必要がある。
 なお、公衆電話網及びテレックス用自動呼出装置のV.25、S.16も同じ物理層を使うが、ピンの用途が異なる。

9ピン端子のピンアサイン
 
 
 パソコンでは、D-subの9ピンのオスもよく利用されている。
 これはデファクトスタンダードとして広く使われ、それを追認する形で後からEIA-574(ANSI/EIA/TIA-574)として規格化された。
 この9ピンは、元から非同期通信しか想定していなかったため、同期通信に関する信号線の一切が省略されている。
 なお、本体側がオスになっているのは、当時のIBM PC/ATはディスプレイ端子にもD-subの9ピンを使っており、これが本体側メスだったため、それとの区別および誤接続防止のためにオスとなった。
番号名称機能信号方向
925232V.24JIS俗称
18CF109CDDCDデータチャネル受信キャリア検出DTE←DCE
23BB104RDRxD受信データDTE←DCE
32BA103SDTxD送信データDTE→DCE
420CD108/2ERDTRデータ端末レディDTE→DCE
57AB102SGGND信号用接地又は共通帰線 
66CC107DRDSRデータセットレディDTE←DCE
74CA105RSRTS送信要求DTE→DCE
85CB106CSCTS送信可DTE←DCE
922CE125CIRI被呼表示DTE←DCE
 25ピンと9ピンを相互に変換することは容易である。そのような器具も様々に市販されている。
 

RJ-45のピンアサイン
 近年の小型化志向に伴い、小型機器に搭載するために一部の装置でRJ-45を使うものが登場した。
 しかし、これは標準が存在せず、機器やメーカーごとに互換性が無い。ただ、採用しているのがCisco Systemsのルーターということもあり、その圧倒的な普及率からCisco Systems方式が半ば業界標準となっている。
 これも何種類かあるとされるが、うち一般的と考えられる結線を紹介する。
 参考のため、25・9の相当ピン番号も併記する。
番号名称機能信号方向
RJ925232V.24JIS俗称
174CA105RSRTS送信要求DTE→DCE
2420CD108/2ERDTRデータ端末レディDTE→DCE
332BA103SDTxD送信データDTE→DCE
457AB102SGGND信号用接地又は共通帰線 
5
623BB104RDRxD受信データDTE←DCE
766CC107RSDSRデータセットレディDTE←DCE
885CB106CSCTS送信可DTE←DCE

変換
 RS-232Cはレガシーであり、今や搭載していない方が一般的である。そこで、RS-232Cと他のインターフェイスを変換する装置が使われる。
 一般的なのは、RS-232C‐USB変換アダプターであるが、他には、RS-232C‐Wi-Fi変換アダプターなども市販されている。

再検索