熔融塩原子炉
読み:ようゆうえん-げんしろ
外語:MSR: molten salt reactor

 原子炉のタイプの一つで、一次冷却材による分類の一つ。冷却材に溶融塩を使うもの。
目次

概要
 熔融塩原子炉というのは概念であって、固有の構造を表わすものではない。従って、様々なものがある。
 例えば、四弗化ウラン(UF4)などを溶融状態とした弗化物塩の混合物を燃料とする。
 核分裂の熱により高温となった燃料は炉心外に導かれ熱交換機で二次冷却材と熱を交換する。二次冷却材もまた弗化物塩である。これを水蒸気発生器に導き、二次冷却材の熱でお湯を沸かし、水蒸気でタービンを回すことになる。

特徴

基本構造
 トリウム熔融塩炉として研究されているものは、燃料はフリーベにトリウム等を混入したもの(7LiF-BeF2-ThF4-UF4)が使用される。
 減速材は黒鉛などが使われるため黒鉛炉の一種となるが、一般的な黒鉛炉とは機構がまったく違う。
 小型熔融塩炉FUJIを例にすると、まずこの混合燃料の融点は約500℃、沸点は1400℃以上で、運用中の炉心出口付近の温度は700℃程度である。このため、核分裂反応が起こり加熱すると液体となり、704℃になった燃料は炉心外に導かれ、一次熱交換機で二次冷却材と熱を交換し、565℃に冷めて再び炉心に戻る。
 二次冷却系はNaBF4-NaFで、454℃が一次熱交換機に入り燃料と熱交換し、633℃に加熱されて出てくる。これが水蒸気発生器に入り熱でお湯を沸かした後、再び一次熱交換機に戻ることになる。
 タービンを回す系統は、水蒸気発生器とタービンの間を水蒸気が巡る。水蒸気発生器で、水は二次冷却系からの熱で538℃に加熱される。

利点欠点

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