ニッケル56
読み:ニッケル-ごじゅうろく
外語:56 Ni

 ニッケル同位体の一つ。核融合で作られる最大の原子核である。
目次

情報

概要
 恒星の核融合の経路に存在する同位体である。
 恒星内では最後となる反応、珪素燃焼過程での生成物の一つで、中でもその最後の生成物となる。従って、これが作られた時点で、珪素燃焼過程のアルファ反応は終了し、後に待つのは重力崩壊超新星爆発である。
 ニッケル56はβ+崩壊でコバルト56に崩壊、コバルト56もβ+崩壊で鉄56に崩壊する。このため、鉄56の存在量は鉄のうち91.754%にもなり、宇宙では比較的ありふれた元素となっている。
 また、極超新星が超新星爆発する際(r過程)でも大量に作られる。

特徴

Ia型超新星
 Ia型超新星の親星となる白色矮星は、恒星時代の核融合反応で作られた炭素と酸素から構成されている。それぞれの主要な安定同位体は炭素12と酸素16で、両同位体は共に同数の陽子と中性子を持つ。
 このため、超新星爆発のさいに合成されるも、陽子と中性子が同数になりやすく、中でも多く作られるのがニッケル56である(陽子数=中性子数=28)。
 ニッケル56は上述の通り、56Ni→56Co→56Feという崩壊経路を経て、半減期約3ヶ月で鉄56に変わる。

二重魔法の同位体
 陽子数28、中性子数28が共に魔法数である二重魔法の同位体である。
 この同位体自体は不安定な核種ではあるものの、これよりり小さい質量数の核種は安定性が急激に低下するため、その境界となる核種であるとも言える。

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