386BSDと4.4BSD-Liteをベースとしたオープンソース系BSDの一つ。
ネットワーク専門なのでNetBSDというわけではない。他のBSDと同様、汎用のOSである。
NetBSDの開発は、インターネットを通じ、電子メールやチャットにて連絡を取り合いながら行なわれている。またCVS等のバージョン管理システムを用い、遠隔でのソースコード管理も行なわれている。
NetBSDプロジェクト曰く、インターネットの存在こそがNetBSDをこの世に存在たらしめた技術であり、このインターネットへの賛辞として「Net」の名が選ばれたのだ(意訳)、としている。
NetBSDは比類ない「設計のきれいさ」を追求している。
その分、他のBSDやPC UNIXより「刺激的な新機能への対応」が遅いことをプロジェクトも認めている。しかし、NetBSDはサーバーや組み込み用OSが主な使途なので、実際にはそれほど困ることは無いようである。
NetBSDで特に驚くべき事実は、単一のソースツリーを元に、動作を想定するほぼ全機種、全環境に対応し、もってほぼ全てのプラットフォームで同時リリースを可能としている点である。このようなことは、他のOSでは絶対にありえない。NetBSDだからこそ出来ることである。
NetBSDは古いアーキテクチャーから、最新の64ビットアーキテクチャーまで幅広く対応する。
アーキテクチャーは抜本的に違っても、単一のソースツリーをもとに実現されている点がNetBSDである。
この設計ゆえ、新しいマシンが登場したとき、そのプラットフォームへ移植をすることが比較的容易となっている。
NetBSDはBSDライセンスのもとで配布されている。
ライセンスがGPLであるGNUツールも同梱はしているが、NetBSDのソースとは完全に分離しており、同時配布以上の両者の混在はない。
GPLと最大の違いはソースの公開義務の有無で、必ずしも成果を公共に供する必要はない。もちろん、ソースツリーに還元すれば多くの人がその利益に浴することが可能だが、企業秘密などの都合もあるはずなので、その公開を無理強いすることはない。利用者が、やりたいようにする権利が尊重されている。
NetBSDはオープンソースであり、全ソースが公開されている。
「BSD」としては、FreeBSDと比べマイナーであることは否めないが、しかし世界で最も移植性の高いOSとして知られる。
NetBSD 5.0.2のソースツリーに含まれる対応機種(ポート)だけでも56機種が存在している。
ゲーム機や評価ボードなど、その実用性が不明なものが多いが、恐らく開発サイドに、移植することに喜びを見出す人たちがいるためだと思われる。それでも、これは似たようなハードウェアを用意すれば組み込みOSとしてNetBSDが利用可能ということでもあり、実際に専用に設計されたネットワーク機器等で使われて実績を上げている。その活動は有意義なものであるといえる。
例えば、SH-4を搭載したネットワーク機器を作るとすると、NetBSD/landiskポートが有用であり、このハードウェアと同じように設計されていれば無改造ないし僅かな改造でNetBSDを動かすことができることになる。
但し、一度対応したものが永久に対応し続けるわけではなく、残念ながら保守されずポートから外された機種などもある(例えば、PlayStation2など)。
以下は、NetBSD 6.1時点で、スナップショット(snap)やnoneであるものも含み、CPUごとに分類する。
★が付いている8つのportはTier I statusのもの。それ以外はTier II statusである。
5.1時点と比して、1増0減となっている。
- Alpha
- alpha ‐ Digital Alpha(64ビット)
- ARM
- acorn26 ‐ Acorn Archimedes、A-series、R-seriesシステム
- acorn32 ‐ Acorn RiscPC/A7000/NCおよび互換機
- cats ‐ Chalice TechnologyのStrongARM評価ボード
- ★evbarm ‐ ARM評価ボード
- ★hpcarm ‐ StrongARMベースのWindows CE PDAマシン
- iyonix ‐ Iyonix ARM pc
- netwinder ‐ StrongARMベースのNetWinderマシン
- shark ‐ Digital DNARD(shark)
- zaurus ‐ SHARP C7x0/C860/C1000/C3x00シリーズ PDA
- HP PA-RISC(hppa)
- hp700 ‐ Hewlett-Packard 9000/700シリーズ
- i386(IA-32)
- i386(IA-32)、x86_64
- Itanium
- ia64 ‐ Itaniumファミリーのプロセッサー
- M68000(m68k)
- amiga ‐ Commodore Amiga、MacroSystem DraCo
- atari ‐ Atari TT030、Falcon、Hades
- cesfic ‐ CESのFIC8234 VMEプロセッサーボード
- hp300 ‐ Hewlett-Packard 9000/300と400シリーズ
- luna68k ‐ オムロンTateisi ElectricのLUNAシリーズ
- mac68k ‐ Apple Macintosh
- mvme68k ‐ Motorola MVME 68k SBC
- news68k ‐ SONYのm68kベースのNETWORK STATIONシリーズ
- next68k ‐ NeXT 68k「黒」ハードウェア
- sun2 ‐ Sun 2
- sun3 ‐ Sun 3と3x
- x68k ‐ SHARP X680x0シリーズ
- MIPS
- algor ‐ Algorithmics MIPS 評価ボード
- arc ‐ Advanced RISC Computing仕様に準ずるマシン
- cobalt ‐ Cobalt NetworksのMicroserver
- emips ‐ Extensible MIPS仕様に準ずるマシン
- ★evbmips ‐ MIPSベースの評価ボード
- ews4800mips ‐ NECのMIPSベースEWS4800ワークステーション
- hpcmips ‐ MIPSベースのWindows CE PDAマシン
- mipsco ‐ Mipsワークステーションおよびサーバーファミリー
- newsmips ‐ SONYのMIPSベースのNETWORK STATIONシリーズ
- pmax ‐ Digital MIPSベースのDECstationとDECsystem
- sbmips ‐ Broadcom SiByte評価ボード
- sgimips ‐ Silicon GraphicsのMIPSベースのワークステーション
- SH-3/SH-4
- dreamcast ‐ セガ ドリームキャスト ゲーム機
- evbsh3 ‐ Renesas SH3とSH4 CPUを使用している評価ボード
- hpcsh ‐ Renesas SH3とSH4ベースのWindows CE PDAマシン
- landisk ‐ アイ・オー・データのSH4ベースのNAS製品
- mmeye ‐ BrainsのmmEye Multi Media Server
- PowerPC
- amigappc ‐ PowerPCベースのAmigaボード
- bebox ‐ Be Inc.のBeBOX
- ★evbppc ‐ PowerPCベースの評価ボード
- ibmnws ‐ IBM Network Station Series 1000
- macppc ‐ Apple Power Macと互換機
- mvmeppc ‐ Motorola MVME PowerPC SBC
- ofppc ‐ Generic OpenFirmware compliant PowerPC machines
- prep ‐ PReP(PowerPC Reference Platform)とCHRPマシン
- rs6000 ‐ MCA-based IBM RS/6000 workstations
- sandpoint ‐ MotorolaのSandpointレファレンスプラットフォーム
- SPARC
- sparc ‐ Sun SPARC (32ビット)
- ★sparc64 ‐ Sun UltraSPARC (64ビット)
- VAX
- x86_64(x64)
個人で移植して公式のポートになったものもあれば、企業が自社製品用として設計、開発したポートが寄贈される例もある。
- NetBSD 0 ‐ 初版
- NetBSD 1 ‐ 最初の正式版
- NetBSD 2 ‐ 対称型マルチプロセッシング(SMP)への対応
- NetBSD 3 ‐ GbEやSATAドライバーの更新、NetBSDトースターへの正式対応
- NetBSD 4 ‐ Xen仮想マシンモニター3、Bluetooth対応
- NetBSD 5 ‐ マルチプロセッサー対応を改善
- NetBSD 6 ‐ マルチコアシステム上でのスケーラビリティ改善
NetBSDの全てのリリースバージョン一覧は、次のとおりである。
日付は、原則としてアナウンスを発した現地時間における、アナウンス発表日である。
- NetBSD 6.1.4 (2014(平成26)年4月12日)
- NetBSD 6.1.3 (2014(平成26)年1月27日)
- NetBSD 6.1.2 (2013(平成25)年9月30日)
- NetBSD 6.1.1 (2013(平成25)年8月22日)
- NetBSD 6.1 (2013(平成25)年5月18日)
- NetBSD 6.0.4 (2014(平成26)年1月27日)
- NetBSD 6.0.3 (2013(平成25)年9月30日)
- NetBSD 6.0.2 (2013(平成25)年5月18日)
- NetBSD 6.0.1 (2012(平成24)年12月26日)
- NetBSD 6.0 (2012(平成24)年10月17日)
- NetBSD 5.2.2 (2014(平成26)年1月27日)
- NetBSD 5.2.1 (2013(平成25)年9月28日)
- NetBSD 5.2 (2012(平成24)年12月3日)
- NetBSD 5.1.4 (2014(平成26)年1月27日)
- NetBSD 5.1.3 (2013(平成25)年9月28日)
- NetBSD 5.1.2 (2012(平成24)年2月11日)
- NetBSD 5.1.1 (未リリース)
- NetBSD 5.1 (2010(平成22)年11月19日)
- NetBSD 5.0.2 (2010(平成22)年2月12日)
- NetBSD 5.0.1 (2009(平成21)年8月2日)
- NetBSD 5.0 (2009(平成21)年4月29日)
- NetBSD 4.0.1 (2008(平成20)年10月14日)
- NetBSD 4.0 (2007(平成19)年12月19日)
- NetBSD 3.1 (2006(平成18)年11月4日)
- NetBSD 3.0.2 (2006(平成18)年11月4日)
- NetBSD 3.0.1 (2006(平成18)年7月24日)
- NetBSD 3.0 (2005(平成17)年12月23日)
- NetBSD 2.1 (2005(平成17)年11月2日)
- NetBSD 2.0.3 (2005(平成17)年10月31日)
- NetBSD 2.0.2 (2005(平成17)年4月14日)
- NetBSD 2.0 (2004(平成16)年12月9日)
- NetBSD 1.6.2 (2004(平成16)年3月1日)
- NetBSD 1.6.1 (2003(平成15)年4月21日)
- NetBSD 1.6 (2002(平成14)年9月14日)
- NetBSD 1.5.3 (2002(平成14)年7月22日)
- NetBSD 1.5.2 (2001(平成13)年9月13日)
- NetBSD 1.5.1 (2001(平成13)年7月11日)
- NetBSD 1.5 (2000(平成12)年12月6日)
- NetBSD 1.4.3 (2000(平成12)年11月25日)
- NetBSD 1.4.2 (2000(平成12)年3月19日)
- NetBSD 1.4.1 (1999(平成11)年8月26日)
- NetBSD 1.4 (1999(平成11)年5月12日)
- NetBSD 1.3.3 (1998(平成10)年12月23日)
- NetBSD 1.3.2 (1998(平成10)年5月29日)
- NetBSD 1.3.1 (1998(平成10)年3月9日)
- NetBSD 1.3 (1998(平成10)年1月4日)
- NetBSD 1.2.1 (1997(平成9)年5月20日)
- NetBSD 1.2 (1996(平成8)年10月4日)
- NetBSD 1.1 (1995(平成7)年11月26日)
- NetBSD 1.0 (1994(平成6)年10月26日)
- NetBSD 0.9 (1993(平成5)年8月23日)
- NetBSD 0.8 (1993(平成5)年4月20日)
関連するリンク
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BSD
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