F-12C
読み:エフ-じゅうに-スィー
外語:F-12C

 NTTドコモの、富士通製のAndroidスマートフォン。特別なペットネーム(製品愛称)は付けられていない。
目次

概要
 NTTドコモの2011(平成23)年夏モデルの一つである。2011(平成23)年8月3日発売。
 特徴的な愛称も付けられておらず、夏モデルの中では地味な端末である。派手さはないが、良い機種である。価格が安いことに加えて特殊な機能を持ち、マニア人気が高い。
 2011(平成23)年冬モデル発表以降、スマートフォンの分類として、多機能シリーズである「docomo with series」に分類された。

製品仕様
 採用されたオペレーティングシステム(OS)はAndroid 2.3.4でAPIレベル10である。
 色は、黒(Black)とローズゴールド(Rose Gold)の2色。
CPUSnapdragon MSM8255 1GHz
ディスプレイ色数など1677万色、約3.7インチTFT液晶、WVGA(480×800ドット)
タッチパネル静電容量方式、マルチタッチ対応
通信機能音声通話3G:W-CDMA (バンドI、バンドV、バンドVIバンドIX)
2G:GSM (GSM900、GSM1800、GSM1900)
データ通信3G:FOMA(HSDPA・HSUPA)
2G:GSM
無線LAN(IEEE 802.11b/g/n)
Bluetooth 2.1+EDR (HFP/HSP/A2DP/AVRCP/PBAP/OPP/SPP/HIDP/OBEX/SDP)
赤外線通信 (注: IrSimpleとIrSSには未対応)
カメラアウトカメラ有効画素数約810万画素/CMOS(AF)
インカメラなし
質量約107g(バッテリー装着時)
外形寸法約119×60×9.8mm(最厚部約10.5mm)
接続端子USB 2.0/microUSB(防水パッキン付き)
ステレオイヤホン端子(防水対応)
ストラップホール(左下)
カードスロットmicroSDカードスロット(microSDHC 32Giバイトまで対応)
標準USIMカードスロット
連続通話時間3G約320分以上
GSM約350分以上
連続待受時間3G約450分以上
GSM約290分以上
フル充電時間約180分(電源OFF時)
防水IPX5/IPX8

特徴

添付品
 本体やマニュアル以外の添付品。
 ACコンセントに差し込む充電器は標準添付されていない。USBからの充電ケーブルのみである。必要なら市販品が利用できる。なお、添付の卓上ホルダ F34は、入力がDC5.4V 700mAまたはDC5.0V 1.0Aに対応しているとのことである。
 本体に最初から内蔵されているmicroSDカードは公称「試供品」で、2Giバイト。F-12Cは、microSDHCで32Giバイトまでに対応している。

主な機能

特記点
 筐体右下に、ストラップホールが付いている。
 日本語入力システムは、ATOKをベースに富士通が開発した「NX!input powered by ATOK」である。NX!inputは手書き入力などにも対応しており、使いやすい。

エリアメール
 F-12Cはエリアメールに対応しており、緊急地震速報などを受信できる。ドコモのSIMを使用している場合はもちろん、IIJmio高速モバイル/D契約のSIMでも受信できる。
 受信設定の場所が分かりにくいが、「アプリケーション」から「メッセージ」を選択、「MENU」→「設定」の一番下にあるチェックボックスで受信するかどうかを選択する。標準では受信する設定になっているだろう。

おサイフ
 フィーチャーフォンユーザーをスマホに移行させるための必須機能とされた、おサイフケータイ機能に対応した。
 IC位置を背面中央に設置する機種が多いが、F-12Cの場合はカメラの横なのでベタ付けする必要が無くタッチしやすいとされている。
 おサイフケータイアプリの「マイサービス」には「iD 設定アプリ」と「マクドナルド」がプレインストールされている。iDはともかく、マクドナルドは要求する個人情報量が尋常ではなく、よほどのマクドナルド好きでなければ迷わずアンインストールする対象になるものと思われる。

ワンセグ
 ワンセグは搭載されていない。
 おサイフケータイがあって、ワンセグがないことに魅力を感じる人もいるようである。
 NHKの人が自宅訪問してきても、ワンセグがないこの端末を見せれば、諦めて帰って行くらしい。

長押しリセット
 Androidは誤作動が頻発する。これはF-12Cだけの責任ではない。
 もしハングアップしてしまった場合、左の電源ボタンを15秒間程度長押しすると、電源が切れる。その後もう一度電源ボタンを押せば再起動する。

欠点
 強いて欠点を挙げるなら、次のようなものがある。

ソフトウェア

沿革
 知られる範囲内。比較的短期間に次々とバージョンアップしたことが分かる。
 V20以降は、日本通信でのテザリングが不可能となるほか、rootを奪うことが難しくなる。

不具合等
 初期のバージョンでは、電源ON時にフリーズするという問題が知られた。
 ソフトウェアの更新で修正されており、現在はこの問題は発生しない。
 なお、ロック解除画面でフリーズするという問題は、恐らくTuboroidonなどのアプリケーションが影響している。他のアプリケーションを使用するか、ロック画面を表示しないようなソフトウェアを併用するかが必要である。

マニアックな利用法

開発環境構築

準備
 Windows PCとAndroid端末を接続することを想定し、そのために最低限必要なソフトウェアは次の通りである。
 自作ソフトウェアの開発、あるいは、いけないこと(謎)をするためには、開発環境構築が必須要件である。
 Windows PCとF-12Cを繋ぐのは、USBケーブルである。製品に1本添付されているUSBケーブルまたは同等品(USB 標準A‐microB USB)を使用する。

Android SDK
 まず、Android SDKをインストールする。これは、開発者向けの環境を、自身のWindows PCなどに構築することを意味する。
 その後、次の場所にあるadb_usb.iniを手動で書き換える必要がある。
 ここにあるadb_usb.iniを、メモ帳や愛用のエディタで開き、最後の行に次を1行書き足して保存する。
 0x04C5
 この作業をしないと、F-12Cに接続できない。

USBドライバー

ダウンロード
 USBドライバーは、富士通の公式サイトからダウンロードできる。
 しかし、このドライバーは、簡単にはインストールできない。
 F-12Cを繋ぐと、Windowsは全自動でドライバーをインストールし「Fujitsu Mass strage」として認識する。これでは何もできない。そこで、次のようにする。

デバイスマネージャー
 F-12Cを、USBデバッグモードにする。
 まず、「MENU」→「設定」→「アプリケーション」→「提供元不明のアプリ」にチェックを付ける。次に、同じ画面一番下の「開発」→「USBデバッグ」にチェックを付ける。
 これで、Windows側にドライバーがあれば、繋がる準備が出来た。
 ここで「Fujitsu Mass strage」としてしか認識されていない場合、この誤認識を手動で訂正する必要がある。予め、ダウンロードしたUSBドライバーを任意のフォルダーに展開しておき、デバイス マネージャーを開く。
 ここで、「USB(Universal Serial Bus)コントローラ」の中に紛れ込んでいる、USB大容量記憶装置を探し出す。複数あるかも知れないが、その中にF-12Cが紛れ込んでいる。製造元が富士通になっているものを探し、「ドライバ」→「ドライバの更新」→「一覧からインストール(これはOSによって表示が違うので注意)」の順に選ぶ。
 「互換性のあるハードウェアを表示」のチェックを外し、製造元「富士通」、モデル「Fujitsu USB Composite Device」を選び「次へ」を押す。警告が出るが「はい」を選べば、それは「Fujitsu USB Composite Device」となる。
 すると、Android Phoneの下に「Android Composite ADB Interface」が登場するため、これを選択、富士通のサイトからダウンロードしたデバイスドライバーで更新すると、インストールが完了する。

スクリーンショットの撮影
 標準でスクリーンショット撮影機能が搭載されていないため、他の手段を用いる必要がある。
 Android SDKを使えば、他のツール無しで、F-12C(に限らずAndroid端末すべて)の画面を、そのまま画像化できる。
 32ビットのWindows XPなら「C:\Program Files\Android\android-sdk\tools」、他のWindowsでも似たような所を開くと、中に「ddms.bat」というファイルがあるので、これを実行する。
 端末一覧が左にあるのでこれを選択し、しばし待つ。次に、メニューの「Device」→「Screen Capture」を選択すると、端末のスクリーンショットが表示される。ここで「Save」をクリックすれば、PNGでファイルが書き出される。

root化
 F-12Cは、root権限を取得することが可能である。
 F-12Cのroot化により、不要なアプリの削除などが可能。

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