FeliCa
読み:フェリカ
外語:FeliCa
ソニーの近接型
非接触ICカード
。ISO/IEC 18092(
NFC
)で規格化されている。
目次
概要
特徴
容量
寿命
通信
暗号化
用途
技術
IDm
ファイルシステム
関連製品
主な用途
交通機関
eコマース
概要
環境に配慮した
PET
系素材を基材にしたカード内に、小型のアンテナとICチップ(
フラッシュメモリー
や8ビットRISC CPU)が搭載されている。
カードサイズは85.60mm×53.98mm×0.76mmで、ISO/IEC 7810:2003のID-1に準拠する。また、受信電波を電力とするため、電池などは不要である。
特徴
容量
フラッシュメモリー容量は様々なものがある。
単体製品では、2Kiバイト(空き容量1.2Kiバイト)、4Kiバイト(空き容量2.4Kiバイト)程度の製品が存在するようである。
用途が多様化して以降は大容量の製品も続々と導入され、とくに携帯電話機等に搭載されるモバイルFeliCaチップは、初期の第1世代が5Kiバイト、後の第2世代では15Kiバイトに拡張された(いずれも実容量ではなく公称容量)。
NTTドコモ
のFOMA端末で言えば、
902iS
までが第1世代、
903i
から第2世代が採用されている。
寿命
寿命は、書き込み10万回またはデータ保存7年間(0℃〜50℃)のうち、どちらか早く到達した期間とされている。
この寿命のうち、10万回という制限は、使用されている
SLC
の書き換え可能回数に由来するものと思われる。
7年については、FeliCaチップ自体の経年劣化はほぼ無視できる時間だが、FeliCaチップとアンテナとの間の結合で接触不良が生じるとされており、時間での寿命が設定されているようである。
通信
通信には13.56MHzの電波を用いる。通信速度は、第1世代が211kbps、第2世代が倍の424kbpsである。
カードリーダー/ライターがカードを認識し、相互認証を行ない、データを読み書きするのに必要な時間は約0.2秒であり、駅の
改札
やコンビニエンスストアのレジでの支払いなど、高速性が要求される状況にも利用できる。
暗号化
通信データは暗号化されている。
認証時には
3DES
(三重DES)、データ通信時には
DES
が利用されるため、実用上問題のない安全性が提供されている。
暗号は
AES
ではないが、これはFeliCaが開発されたのがAES選定よりも前だからである。
キャッシュカード
アプリなどでは、通信は規格どおり3DESだが、カード内の情報はAESで暗号化するものも存在するようである。
将来的にAESに対応する可能性はあるが、現時点では不明。対抗の
MIFARE
はAES対応のものがあるが、速度面での制約か、暗号計算のためのコプロセッサーが搭載されているものがあるようである。
用途
FeliCaには、複数の情報を保存できる
ファイルシステム
がある(詳細後述)ため、一枚のカードで様々な用途に利用出来る。
電子マネー
定期券
テレホンカード
社員証
タイムカード(出退勤管理)
ルームキー
技術
技術仕様のうち、
公開されているものもある
。
IDm
FeliCaにおける製造IDを
IDm
という。8オクテットであり、これは任意に読み取ることができる。
8オクテットのうち上位2オクテットが製造者コード、下位6オクテットがカード識別番号である。カード識別番号は製造者コードごとに異なる体系となるが、体系によってはIDmでFeliCaを一意に特定できないことがある点に注意が必要である。
ファイルシステム
FeliCaは、一枚のカードを複数の目的で利用できるよう、データを
フォルダー
と
ファイル
構造で管理できる
ファイルシステム
がある。
ファイルシステムは、「エリア」と「サービス」によって階層状に構成されており、次のような階層構造となっている。
システムコード (System code)
エリア (area) フォルダーに相当するもの
サービスコード (Serivce code)
ブロック単位のデータ (1ブロック16バイト)
上は全て、複数が可能。多目的なカードであれば、システムコードが複数あるということになる。
たとえばカード内のイメージとして、システムコードが一つの「
らんでんカード
」では以下のようになっていた。
システムコード = 8B98
エリア = 8
Area: 0000 ‐ FFFE
Area: 8000 ‐ 927F
Area: 8040 ‐ 80BF
Area: 8840 ‐ 887F
Area: 8980 ‐ 89BF
Area: 8AC0 ‐ 8AFF
Area: 8BC0 ‐ 8BFF
Area: 9240 ‐ 927F
(エリアとサービスのマッピングは不明)
サービスコード = 計18個 ()内は使用するブロック数
8048 (255) : 不明 : Random Access R/W (Protected)
804A (255) : 不明 : Random Access Read only (Protected)
804B (2) : 不明 : Random Access Read only
8088 (255) : 不明 : Random Access R/W (Protected)
808A (255) : 不明 : Random Access Read only (Protected)
8848 (255) : 不明 : Random Access R/W (Protected)
884A (255) : 不明 : Random Access Read only (Protected)
884B (3) : カードの残額情報 : Random Access Read only
898C (255) : 不明 : Cyclic Access R/W (Protected)
898E (255) : 不明 : Cyclic Access Read only (Protected)
898F (20) : 入出場記録と履歴 : Cyclic Access Read only
8AC8 (255) : 不明 : Random Access R/W (Protected)
8ACA (255) : 不明 : Random Access Read only (Protected)
8BC8 (255) : 不明 : Random Access R/W (Protected)
8BCA (255) : 不明 : Random Access Read only (Protected)
9248 (255) : 不明 : Random Access R/W (Protected)
924A (255) : 不明 : Random Access Read only (Protected)
924B (20) : 不明 : Random Access Read only
他にも、ビュー・スイカカードのある提携カードでは、次のような構造になっていた。3つのシステムコードを持つことが分かる。
システムコード = 8B98
エリア = 8個
サービスコード = 計50個
システムコード = FE00
エリア = 3個
サービスコード = 計5個
システムコード = 86A7
エリア = 3個
サービスコード = 計4個
関連製品
カードとしてではなく、その中の核となる部品のみも製品として販売されている。
FeliCa Plug (電子機器組み込み用モジュール)
FeliCa Lite
(ICカードチップ)
FeliCa Plugは、電源、メモリー、CPUなどを搭載しない小型低コストのモジュールである。組み込まれた電子機器から電源を供給し、電子機器のCPUやメモリーと組み合わせて使用される。接続インターフェイスには、独自仕様の3線式半二重通信が採用されている。
FeliCa Lite
は、セキュリティ機能やファイルシステムを簡易化したチップである。通常のFeliCaと互換性がないが低コストで済み、会員証、ポイントカードといったコスト重視の商品への組み込みに適する。
主な用途
交通機関
交通乗車券としては、鉄道会社で構成される日本鉄道サイバネティクス協議会が規定した「自動改札システムに用いる
ICカード乗車券
規格」に対応している。
これは、
JR東日本
がFeliCaを採用したことに端を発するもので、以降、日本のICカード乗車券は、ほぼFeliCaで統一された。
当時、既にヨーロッパで普及が始まっていた
MIFARE
も存在したが、JR東日本がFeliCa採用を決定した最大の理由は、通信速度だった。FeliCaは価格が高いが速く、MIFAREは価格は安いが遅かったのである。結果、FeliCaのおかげで、ICを使ってもなお利用者の足を止めることのない、スムーズな
自動改札機
が実現できたのである。
言い換えれば、FeliCaがここまで超高性能化できたのはJR東日本あってこそである。東京の通勤電車の自動改札機用途以外、世界中のどこにも必要性のない超高性能である。
eコマース
eコマース用途としては、各種電子マネーで使われている。
2007(平成19)年7月現在、次のようなカードがよく知られている。
楽天Edy
(楽天Edy株式会社)
nanaco
(セブン&アイ・ホールディングスなど) 2007(平成19)年4月23日より開始
WAON
(イオン) 2007(平成19)年4月27日より開始
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