MS-DOS
読み:エムエスドス
外語:MS-DOS: MicroSoft Disk Operating System
16ビットMPUである
8086
用のオペレーティングシステムで、
フロッピーディスク
ベースでも実用になるコンパクトな
オペレーティングシステム
(OS)。
目次
コンセプト
特徴
普及
各バージョンの特徴
派生品等
互換
非互換
補足
由来
パクリ?
EPSON PC版MS-DOS
コンセプト
特徴は
コマンドライン
・インターフェイスを採用した
シングルタスクオペレーティングシステム
である点である。これがOSそのものの軽量化に貢献している。
またパソコン用のOSということもあり、シングルユーザーOSである点も特徴的。
CP/M
互換という点もあり、8ビットOS的概念をそのまま受け継いでいる。
特徴
普及
MS-DOSは
x86
を搭載したパーソナルコンピューターにおける標準的な環境となった。これは、Windowsに環境が移行するまで続いた。
その後、MS-DOS互換のオペレーティングシステムは色々と登場したが、Microsoftに潰されてきたため、残ったものは僅かだった。
各バージョンの特徴
MS-DOS 1
最初のバージョン。
ディレクトリ
機能が存在しなかった。
MSX-DOS
1は、MS-DOS 1相当の機能を有する
MSX
用のOSである。
MS-DOS 2
ディレクトリ機能や
ボリューム ラベル
に対応した。
CONFIG.SYS
による
デバイスドライバー
の組み込みに対応した。
パイプ
(|)に対応した。
MS-DOS 3
FAT16
に対応した。但し利用可能な
セクター
は従来同様16ビットだったため、32Miバイト以上の
パーティション
を切ることができなかった(32Miバイトの壁)。なおPC-9801用のDOS3.3は独自拡張で128Miバイトまで対応した。
ネットワーク対応が始まる。
MS-DOS 4
DOSの歴史の中で、最も特殊なバージョン。これまでと異なりIBM主導で作られ、
OS/2
的な機能が満載された。それゆえにOSは肥大化し、またバグの量が非常に多かった。
このバージョンからセクター数が20ビットに拡張され、1
パーティション
あたり512Miバイトまで対応した。
PC-9800シリーズ
用としてはNECからは販売されず、EPSONからは細々とリリースされたが普及はしなかった。
その一方、
PC/AT互換機
用としては、パソコン史の金字塔
DOS/V
(IBM DOS version 4.0/J)が生まれた最初のバージョンである。
EMS/XMSに公式に対応した最初のバージョン(3.3はサードパーティーのドライバーで対応可能)。
MS-DOS 5
MS-DOS 4から、不要な機能の一切を削除し、まともにしたバージョン。セクター数は32ビットとなり、MS-DOS 4から対応した大容量ハードディスク対応も、このバージョンから実用化される。
このバージョンから、DOS SHELLが追加される。
このバージョンで事実上、MS-DOSは完成の域に達したと言える。
MS-DOS 6
単体製品としては最終版となるMS-DOS。
基本的な機能拡張は殆どなく、特定のキーを押すことで
CONFIG.SYS
を読み飛ばす機能などが付いたにすぎない。
MS-DOS 7
Windows 95
および
Windows 98
に内蔵(?)されているバージョン。
MS-DOS 8
Windows Me
に内蔵(?)されているバージョン。
事実上の、MS-DOS最終版といえる。
派生品等
互換
MS-DOSとバイナリ互換性のあるもの。
製品
PC DOS
DOS/V
DR-DOS
PC-Engine
(
PC-88VAシリーズ
搭載)
TownsOS (
FM TOWNS
搭載)
フリーソフトウェア
FreeDOS (旧称PD-DOS)
その他
PTS-DOS (ロシア連邦軍の制式OS)
非互換
MS-DOSとバイナリ互換性はないが、影響を受けているもの。
MSX-DOS
(MSX用の
CP/M
互換OS)
Human68k (X68000用)
補足
由来
MS-DOS誕生のエピソードは伝説となっている。
かつて
IBM
がIBM PCを開発中、OS開発までは手が回らないため、
Microsoft
の
ビル・ゲイツ
に
BASIC
インタープリターのライセンスを依頼してきた。
しかしBASICはOSではなかったため、ビル・ゲイツは
ディジタルリサーチ
の
CP/M
を勧める。しかしディジタルリサーチの社長のGary Kildallがゴルフに行きIBMとの契約をすっぽかした為、怒ったIBMが急遽MicrosoftにOS制作を依頼した。
頼まれたMicrosoftも急だったため、仕方がなくMicrosoftの近所のSeattle Computer Products社で開発していたCP/M風のOSである86-DOS(QDOS: Quick and Dirty Operation Systemとも呼ばれる)を5万ドルで買収し、86-DOS開発者であるTim Paterson自身も加わってMS-DOS ver1.xxを完成させたと言われる。
この買収劇は
20世紀
最大の買収、あるいは20世紀最大の
窃盗
などと呼ばれている。
ちなみに、その後のディジタルリサーチの社運は下落の一途を辿り、最後はNovell社に吸収され生涯の幕を閉じることになる。自業自得であろうか。
パクリ?
MS-DOSの前身である86-DOS(QDOS)は
CP/M
をモデルとして開発されていたとされ、類似点は多い。このため86-DOSや後のMS-DOS(PC DOS含む)はCP/Mのパクリだというのが通説であった。
しかし、IEEE Spectrumは、コードの相違点や著作権侵害を解析するツール「CodeSuite」を使ってフォレンジック解析を実施した結果、「MS-DOSはCP/Mのコピーではない」と結論づけた。
解析では、「The Unofficial CP/M Web site」で公開されているCP/Mのソースコードと、「Howard's Seattle Computer Products SCP 86-DOS Resource Website」で公開されている86-DOS 1.0のソースコードを利用。また、MS-DOS 1.11も入手し、そのバイナリを用いての比較も実施したという。しかし、結果としてQDOSやMS-DOSがCP/Mのコードを流用したという証拠は発見できなかったという。
EPSON PC版MS-DOS
NEC版の
日本語入力FEP
はシリーズを通して
NECAI
だったが、EPSON PC版は毎回特徴的なものが付いていた。
バージョン
付属FEP
2.11 (Rel.1.30 以外)と3.1 Rel.1.x
EGBRIDGE
V2.01
3.1 Rel.2.xと4.01 Rel.1.x
EGBRIDGE V3.0
2.11 Rel.1.30
WXR Ver.1.0
4.01 Rel.2.x
WXA
Ver.1.50
3.3 Rel.1.x
WXA Ver.1.52
3.3 Rel.2.xと5.0
WXA Ver.1.53
ちなみに、PC-286NOTE executiveに内蔵のDOSは、2.11 Rel.1.30である。
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