燐酸オセルタミビル
読み:リンさんオセルタミビル
外語:Oseltamivir phosphate
抗インフルエンザウイルス剤(ノイラミニダーゼ阻害剤)。A型とB型の
インフルエンザウイルス
感染症及びその予防薬。
目次
物質の情報
基本情報
誘導体、関連物質の例
薬品の情報
薬効薬理
作用機序
用法、用量
副作用など
規制区分
製法
製品例
物質の情報
基本情報
分子式: C
16
H
28
N
2
O
4
・H
3
PO
4
分子量
: 410.40
比重
: ‐
融点
: 192℃〜195℃(分解)
沸点
: ‐
CAS番号
: 204255-11-8、196618-13-0(フリーベース)
ICSC番号: (登録なし)
外観:
白色
〜微黄白色の結晶性の粉末
溶解性:
水
に溶けやすい
メタノール
に溶けやすい
エタノール
(95)にやや溶けやすい
N,N-ジメチルアセトアミドに溶けにくい
アセトニトリルに殆ど溶けない
誘導体、関連物質の例
オセルタミビル
薬品の情報
薬効薬理
燐酸オセルタミビルは
プロドラッグ
(ドラッグの前駆体)であり、体内で
代謝
されることで活性化し、抗ウイルス効果を示す。
作用機序
本剤の活性体は、ヒトA型及びB型の
インフルエンザウイルス
のノイラミニダーゼを選択的に阻害し、感染細胞からの遊離を阻害することでウイルスの増殖を抑制する。
用法、用量
治療に用いる場合、成人及び
体重
37.5kg以上の小児にはオセルタミビルとして1回75mgを1日2回、5日間経口投与する。
予防に用いる場合、成人及び13歳以上の小児にはオセルタミビルとして1回75mgを1日1回、7〜10日間経口投与する。
年齢・症状に応じて適宜増減する。
副作用など
タミフル
のカプセル剤における
副作用
で、頻度が0.5%のものは、次の通りとされている。注記なきものは0.5%以上。
消化器系
腹痛 (6.8%)
便秘 (5.5%)
嘔気 (3.9%)
嘔吐
腹部膨満
便異常
口内不快感
食欲不振
精神神経系
頭痛
傾眠
不眠症
目眩
肝臓
AST(血清GOT)上昇
ALT(血清GPT)上昇
γ-GTP
上昇
Al-P上昇
腎臓
蛋白尿陽性
血液
好酸球増加
極まれに、肺炎や意識障害、
血小板
の減少などを起こすとされる。
本剤は
尿
として
排泄
されるため、高齢者や腎不全の患者には注意して使用する。腎臓病患者では急性腎不全を起こす可能性がある。
規制区分
処方せん医薬品
製法
中華料理材料トウシキミの果実「八角」が原料で、その成分シキミ酸より10段階もの工程を経て合成されているとされる。このため合成には時間がかかる。
また、原料が
天然
物ゆえに確保可能な原料量は限られ、タミフルは世界各国が備蓄を進める中で慢性的な品不足状態が続いている。量産には他の方法の開発が必要だった。
そんな中、東大大学院薬学系研究科の柴崎正勝教授らのグループにより、植物原料を使わず化学的に製造する方法が開発された。報道によると、
石油
から生成される安価な物質
1,4-シクロヘキサジエン
を原料とし、シキミ酸なしで燐酸オセルタミビル(タミフル)の合成に成功したとされる。
合成法は2006(平成18)年2月23日に特許出願されているため、ここから合成手順を知ることができる。但し製造販売権はロシュにあるため、生産についてはロシュの許可が必要である。実用化研究についてはロシュと話し合って進められるとされる。
製品例
タミフル
(中外製薬)
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