インフルエンザウイルス
読み:インフルエンザ-ウイルス
外語:influenza virus

 インフルエンザ感染症を引き起こすウイルス。BSL-2(バイオセーフティーレベル2)に分類される。
目次

情報
 現在のウイルス学では、次のように分類される。

分類



特徴

分類
 インフルエンザウイルスは、核蛋白複合体の抗原性の違いによって、A型/B型/C型/D型の4属に分類されている。うちヒトに感染するのはA型/B型/C型の3属で、特に流行しているのはA型とB型である。
 A型ウイルスの粒子表面には、赤血球凝集素(HA)とノイラミニダーゼ(NA)という糖蛋白がある。それぞれ複数の亜型が確認されており、現時点では、HAには16の亜型が、NAには9の亜型が知られる。

感染性のインフルエンザ
 一般にインフルエンザウイルスと呼ぶ場合は、特に流行しているA型とB型のみを指し、中でもヒトに感染するものを言うことが多い。
 インフルエンザ・ワクチン接種である程度の予防は可能だが、ワクチンはA型とB型を対象としており、C型や、ヒトに感染しないD型などは対象としていない。
 ヒト以外のインフルエンザの場合は、分離された宿主動物の名前を付けて呼ぶが、ヒトの場合は略される。

命名法
 ウイルスは、様々な「変異株」がある。年や地域により遺伝子に変異があるため、それらを正確に区別する必要がある。
 そこで、宿主から分離されたインフルエンザウイルスは、次の情報を含めて命名される事となった。
 例えば「A/whooper swan/Akita/1/2008(H5N1)」の場合は、大白鳥(whooper swan)から分離された、秋田(Akita)で2008(平成20)年で1番目のA/H5N1亜型インフルエンザウイルス、ということになる。

予防接種と免疫
 インフルエンザの感染が防げるか否かは、体にウイルスの突起に対応する抗体を持っているか否かに掛かっている。
 既にインフルエンザの免疫を持っていたとしても、それとは異なるスパイク蛋白を持つウイルスには効果がない。

増殖
 インフルエンザウイルスは、表面のある「ヘマグルチニン」により、宿主細胞膜上にあるガングリオシド(シアル酸を持つ糖鎖)やシアル酸含有糖蛋白質受容体へ結合し、細胞に感染する。
 シアル酸を持つ糖鎖は、ウイルスが宿主細胞に結合する上で必要なものだが、そのままでは遊離できない。そこで、シアル酸を切断する酵素「ノイラミニダーゼ」によりシアル酸を切り離すことで、インフルエンザウイルスは細胞から遊離する。
 タミフルなどの抗インフルエンザウイルス剤(ノイラミニダーゼ阻害剤)は、このうちノイラミニダーゼの機能を阻害することでウイルスの増殖を抑える薬品である。

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