コバルト60
読み:コバルト-ろくじゅう
外語:60 Co

 コバルト同位体の一つ。
目次

情報

概要
 γ線源として、医療用や工業用として広く使われている。
 コバルト60(60Co)のγ線は人体の深部まで透過可能なため、医療用としては、がんの放射線治療に使用されている。
 天然には、60Feのβ崩壊で生成しうるが、そもそも60Feが自然には存在しない。現在は、59Coに中性子を照射することで中性子捕獲し60Coとする製法により人工的につくられている。

特徴

崩壊
 半減期は5.271年で、β崩壊してニッケル60になる。
 このニッケル60は励起状態にあり、γ崩壊をして通常のニッケル60となる過程で1.17MeVと1.33MeVのγ線を放出する。これが、コバルト60がγ線源となる理由である。

生体への影響
 科学技術庁告示第五号 平成十二年科学技術庁告示第五号(放射線を放出する同位元素の数量等)における、ラジウム226の実効線量係数(ミリシーベルト/ベクレル)は、次のとおりである。
 つまり、(酸化物、水酸化物及び無機化合物以外の化合物を、10,000ベクレルを経口摂取した時の実効線量は0.034ミリシーベルト(34マイクロシーベルト)である。

補足
 投棄されたコバルト60線源が鉄屑に混入し、リサイクル鉄鋼となり、鉄筋として建築物に使われてしまうような事故が度々発生している。
 例えば台湾ではコバルト60混入の鉄筋が、アパートなど約1700の建物の鉄筋として使用されたことが発覚した。およそ1万人の人々が9〜20年間居住し、平均約400mSvの放射線を被曝したことが2004(平成16)年3月21日から5日間行なわれた第14回環太平洋国際会議(PBNC)で台湾の研究者の健康影響調査で発表された。
 この調査結果の興味深いところは、住民がみな健康になってしまったということで、中でもアパート居住者のがん死亡率は、台湾の一般公衆の3%にまで大幅に低下、先天性奇形も同7%に大幅低下したと発表された点である。もちろんこの発表は会議で大きな話題となり、後日、米国エネルギー省(DOE)などの仲介による再調査が行なわれた。
 再調査では、特にがんの増減は見いだされなかったとする。白血病が僅かに増えたことが確認されたとするが、放射線によって増えないことがわかっているCLL(慢性リンパ性白血病)を除く白血病は症例数6人で有意な上昇とは言い難い。女性の乳がんも有意な差は見られず、甲状腺がんの増加は観察されなかった。

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