尿崩症
読み:にょうほうしょう
外語:DI: diabetes insipidus
尿
の濃縮力に問題が生じ、身体に必要な
水分
まで尿として
排泄
(排出)してしまうため多尿となる
病気
。
目次
概要
病態
病因
特徴
初診に適した診療科
治療方法
概要
病態
正常時では
抗利尿ホルモン
(バソプレシン)(ADH)により
腎臓
での
水
の再吸収が促進される。しかしその分泌が減ったり作用が低下すると、腎臓での水の再吸収が低下し、結果として多尿となる。
低張多尿を主徴に、その水分不足を補うための口渇、多飲などが生じる。
多尿となるため、昼間では
頻尿
や
尿失禁
、夜間でも
夜尿症
(
おねしょ
)を生じることがあり、これは大人でも子供でも同様である。主訴が夜尿症(おねしょ)の子供であっても鑑別すると中枢性尿崩症が見つかることもあり、時にランゲルハンス細胞組織球症(LCH、小児がん)が判明することもある。
病因
大きく、
抗利尿ホルモン
の分泌低下による「中枢性尿崩症」と、
腎臓
の
尿細管
での抗利尿ホルモン反応低下による「腎性尿崩症」とに大別される。
抗利尿ホルモン
(バソプレシン)は
視床下部
で作られ、
脳下垂体
の後葉に貯蔵される。これが放出されると腎臓の
尿細管
での水の再吸収が促進、もって水分の排泄が抑制され尿が濃縮される。
中枢性尿崩症は、ホルモンが抗利尿ホルモンの分泌低下による。これは視床下部や下垂体の損傷、脳の外傷や腫瘍などにより生じうるが、原因不明のこともある。
腎性尿崩症は遺伝的な要因でこのホルモンが腎臓で機能しない病態で、ホルモン受容体(ADH受容体)や腎臓の水チャンネルの遺伝子異常によるものが知られている。
特徴
初診に適した診療科
内科
または
小児科
。
治療方法
原因が脳の障害や遺伝子異常の場合、残念ながら治療法はなく、根治は不可能と思われる。しかしそれ以外の要因であれば、早期発見が腎機能の回復に役立つ。
対処療法として、中枢性尿崩症では抗利尿ホルモン剤(DDAVPなど)を点鼻することでホルモンを補い、尿量を調整する。
腎性尿崩症ではチアジド系利尿薬やサイアザイド系利尿薬、非ステロイド性抗炎症薬(
NSAIDs
)などを用い、腎臓が再吸収するナトリウムと水分を増やし、尿量を減らす。
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