小児科
読み:しょうにか
外語:pediatrics

 診療科の一つで、子供の病気を専門に扱う診療科。診察内容は全科。
 原則的には18歳までは小児科領域とされている。
目次

扱う内容
 小児の先天性疾患のほか、あらゆる後天性疾病や予防接種、加えて成長に関する相談(成長が遅い、おねしょがなおらないなど)も扱う。
 小児科は、診るべき患者は主として小児、それも多くは乳児であるが、納得させるべき相手は母親である。
 母親を納得させるのは至難の技であるということから、医者の間では小児科は母科であるなどとも囁かれている。その上、昨今は馬鹿親が著しく増加しているので大変である。

小児科の現状

過酷な小児科
 そもそも小児科は多くの病院にとって不採算部門である。地域差もあるので一概には言えないものの、多くの場合、小児科医は他科医より著しく待遇が悪く、労働が厳しく、休みは少なく、給料が安く、揚げ句の果てにはリストラされやすいという過酷なものである。
 大体、事件が絶え間ないほど日本には子供好きが多いのに、小児科医は少ない。
 この矛盾が既に、小児科というものが如何に他の科と違っているかを如実に表わしているのである。以下この点について長々と説明をすることとする。

診察内容
 まず診察内容だが、診察は非常に難しく、子供に好かれるキャラを演じないとダメである。
 子供は自分の症状等を訴えることはできず、その上薬を飲むのも嫌がり、注射一本にも苦労する。医者以外としての資質が多すぎるのも実情である。半ば強制的に他人の子育てに参加させられる存在ともいえる。

訴訟の問題
 にも関わらず子供は体力が弱いので少しミスをすると、すぐに死んでしまう。ミスをせずとも正しい診察は困難であり、結果として子供は死ねば億単位の賠償金を取られるなど、旨みが無いのに責任重大でリスクが大き過ぎるのも問題であろう。
 割り箸事件、心筋炎5000万賠償訴訟、腸閉塞男児死亡事故あたりで、官民挙げての医者バッシングが起こった事から、絶対に小児科医にはならないと誓う医学生が溢れたと伝えられる。
 どんなにハイレベルな医師になったところで、診察しようのない件で訴えられていたのでは、どうしようもない。
 これでは小児科医が増えるわけがなく、少子化が叫ばれる現代でも医師不足が深刻なのである。

医者不足
 患者や子持ちの親の立場からすると無くてはならないものながら、現実は赤字や医者不足から小児科を廃止する病院もあり小児科は激減、小児科だけの病院はほぼ皆無となるなど、小児診療が危機的状況にある事は疑えない。

小児科医に求められるスキル
 そもそも、小児科の患者である新生児や子供は自覚症状を伝えられないことも多くあり、医師は泣き方や顔色などで判断する必要がある。
 そして子供の機嫌を取りつつ診療にあたる必要があるため、大人の数倍の労力を要する。
 また体が小さい分、外科手術などでは緻密な作業を要するとあって、小児科医には深い知識と熟練した経験が必要不可欠となる。

医者がいない
 しかしこれだけの人材と人員確保は困難なのが現実であり、小児科は減ることはあっても増えることは現時点では望めそうもない。
 人命を助ける職業といっても、医者も生活のために仕事をしているのであり、給料のために働くわけであって、別に聖人君主だから医者をしているわけではない。職として魅力がなければ、その職に就くものが無いのは自明である。
 身を削って人命救助にあたっても、救命の過程でその状況においてやれるだけのことをやって、その結果の死亡も「殺人罪」とされ、前科者にされる状況であるなら、敢えて小児科医になろうとする者は余程の奇特者であろう。
 こうして現在の小児科は連続24時間以上の労働を月に何度も要するほどに深刻な人手不足の中、患児を診ながら自分の命も削っているような医者によって支えられているのである。
 しかし、そんな献身的な医師も、最後には無実の罪で訴えられ病院を去らねばならない。

今後について
 それにしても、小児科志望だった医学生を絶望させ、結局他科にしてしまうような日本の現在の風潮は、小児科医療の崩壊に手を貸しているという点で犯罪に近いだろう。
 特に日本のマスコミは、医者は楽してボロ儲け、などとありもしないことを書き立てるわけだが、現実と乖離していることである。
 儲からず、仕事はキツく、そして最後には犯罪者にされて病院を去らねばならない。なり手のない貴重な小児科医を失って、小児科を閉鎖する病院は全国規模である。
 このままでは遠からず、小児の病気はまじないで癒さざるをえなくなるに違いない。

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